【詩】秋前夜、最後のひと時
明日には、街に存在を忘れられる。
祭りが終わり 人混みは去っていく
愛しい指先に しがみ付いていた
花火の残響が お別れの鐘のように
もう 離れなきゃ
遠回りの道を 二人は歩いて
真夜中の公園で 秘密のひと時を
つけた花火は きれいに燃え尽きて
夏の最後の日 秋に攫われる前夜は
ただただ 眩しかった
何度も通ってきた この道に
手を引かれて 最後の足跡を
家の前まで 見つめ合った目と目
最後の最後に 胸に刻み込んだ
少し 切なかった
夜明け前 夏と秋の切れ目
音のない街で 荷物を片手に
そっと夏風に 袖を引っ張られて
そっと秋風に 腕を引っ張られて
きっと二度と 会えないのでしょう
ねぇ さようなら
おかしいね 今更どうして
紅葉色の風から 汐の味がするの
頬が風に 濡らされたのも
そう 気のせい
