【詩】今年の春は、遅れて冬を溶かす
心地良くて 留まりすぎる境界線。
冬に封じられた春は ついに動き出すーー
「今日の放課後に 言いたいことがある。」
ぼーっとしてた朝7時 その目に吸い込まれて
凍えていたはずの心が 微かに音を立てた
「ここはテストに出るから よく復習するように。」
ぼーっとしている朝10時 ノートを書くスペースがない
冬の影が ずっと追いかけてくるの
「今日のお弁当も 美味しそうだね。」
いつものように午後1時 右隣に座ってくる
春風のような 少し暖かい空間
……春は終わるから いっそ冬のままがいいの
「それじゃあ 早く帰るように。」
余裕のない午後4時 鼓動のせいで聞き取れない
大丈夫と ポケットのハンカチを握ってみた
「君を 守らせてほしい」
……
「私は弱いの」
もう消えない傷跡は嫌なの
「私は怖いの」
消える春は 一度だけでいいの
「私は……」
傷を刻めるような きれいなとこはもうないの!
「知っている。それでも君がいい。」
逸らしたままの目を 無理やり合わせるのね
「……っ」
もう知らないから 勝手に決めてっ
俯いていたのに 気づけば腕の中にいた
春が粉雪に飾られたまま 春に傷跡が残ったまま
弱くも確かに 心は音を立てた
