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susumusekiguchi
【ピリカ文庫】初夏 【ショートショート】
陽射しが夏に向かって駆け出し始めた気持ちの良い日だった。
それに反して、私の恋はサヨナラに向かって駆けて行った。
⌘⌘⌘
『今、自分の気持ちがよく分からなくてさ。忙しいからかな。もう少し自分の時間が欲しいんだ。』
あなたの言葉を理解しようと、頭の中で何度も反復しながら、食べかけのソフトクリームを眺めた。
「ほら、ソフトクリームが溶けてるよ」
と優しく手を拭いてくれる。
その優しさが罪だっていうこと…
拭いて欲しいのは、手じゃなくて私の涙ということに、気付いてないよね。
⌘⌘⌘
ハッキリ嫌いとか、別れようとか言われた訳じゃないけど、傷つけたくない思いから出た台詞には違いなかった。
あの時から一年経った今も、あなたの温もりはすぐそこにあって、あなたがよく口ずさんだ歌も耳元でリピートしている。
⌘⌘⌘
久しぶりにnoteを流し読みしていると、二人で聞いた懐かしい曲のタイトルが目に止まった。
記事を書いてるのは◉後悔先に立たず◉さん。なかなかユニークなネーミングだ。
選曲をみると気が合うのかもしれない。
試しに何度か当たり障りのないコメントを書いてみた。
◉後悔先に立たず◉さんからも、当たり障りのないコメントが返ってくる。
うん、嫌いじゃない。
【昔の恋人との思い出の曲ばかりで、驚きました!フラれたんですけど…多分(笑)…でもなんか、吹っ切れなくて!
困った!困った!】
こんなコメントを書いている自分に焦った!
ところがコメントへの返信が急に途切れてしまったのだ。
削除しようか?どうしよう?そんな押し問答をしながら、5分おきに通知を確認している自分が滑稽で笑ってしまった。
30分後、◉後悔先に立たず◉さんからコメントが届いた。
【そうなんですね。僕はある人を今でも大好きで、リベンジしたいなって思っているんです。
そしていつか気づいてくれることを願って、毎日思い出の曲をアップしているんです。
ほら、ソフトクリームが溶けてますよ。】
…最後の言葉に一瞬心臓が止まった。
あなたよね…あなただって今気づいた。
私は最後のコメントを残した。
【会いたい】
初夏の陽射しが、嬉し涙に反射した。
〜おしまい〜
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