「靴、反対だよ」と言いたくなくてたどり着いた関わり
子どもが自分で履いた靴が反対だった時、みなさんはどうしていますか?
【子どもの気持ち】✖︎【子どもの育ち】✖️【保育動き】これらを大切にしていくためには?
日々の中で子どもたちがイヤ!や
「こうがいい!」「じぶんで」を
自己主張してくれることで教わったこと
試行錯誤の反応で気付かされたことをもとに
【主体的保育】✖︎【少ない保育者で集団保育】
の両立についても考えていきたいと思います。
靴反対だよと言いたくなくてたどり着いた関わり
〜主体的保育と集団保育を両立させる「環境」と「言葉」〜
保育の中での「靴」
「靴反対だよ」と教える。「お靴反対だから直そうか」「直すね」と言って履き替えるのを手伝うなど、様々な関わりがありますよね。
保育者のねらいや状況によって、「自分で靴を履く気持ちを尊重したい」「自分で靴を履けるようにしたい」「時間がないから早く履かせたい」「正しく靴を履かせたい」様々な思考がその裏にあることと思います。
一対一ではない状況で保育する上では、履く前に伝えることができず、すでに履いた靴が反対だった、という場面も多いかと思います。
そして、クラス全員が靴の左右を間違えずに履けるようになるまでには、本人の発達だけではなく靴のデザインや履く環境などにもよって数年の差がありますよね。
子どもの発達は本当に差があるものです。
ですが、1人で何人もの子どもをみてサポートしていくとすると、無防備に全員に個別対応する時間もないことが多いですね。
靴を自分で履こうとする姿は0歳児クラスでも見られますが、まだしばらくは大人のサポートがないと完全に履くことは難しいですよね。
1歳児クラスになると、だんだん自分で足を靴にはめられるようになる子もいますが、左右の理解はまだ難しく、靴を正しく履くためにも、ここへのサポートは必要ですよね。
2歳児、3歳児クラスでは自分で履けるようになる子は増えていくものの、左右の違いはあって当たり前の年齢です。
子どもが自分で靴を履くとき
足を靴にはめるだけでなく、力を入れる方向、靴を持つ位置、『靴を履く』という行動の中にはたくさんの動作、思考が含まれます。
子どもにとっては容易いことではない、特に小さな子にとってはまだ短い手を目一杯伸ばして、転がりそうになる体のバランスをとりながら、指先の力の入れどころまで、一度に色々な全身を駆使する動きです。
だからこそ、簡単にその頑張りを否定したくない気持ちが生まれました。
服の前後などの場合は、様々な事前の配慮も必要に応じてしつつも、その子の頑張りや、自分で全部できた!ということを優先したいなと考えています。
靴も同じではありますが、その後30分〜1、2時間ほど履いて行動すると考えると、毎回反対であると足の発達や歩行動作、動きやすさなども考慮していかなければならず、私はそれに対して全く介入しないでいいという判断は、基本的にはしづらいです。

主体的な保育につながる支援方法
まずは一生懸命にやったあとにやり直すように伝えるよりも、
【事前に伝える】【環境を整える】ことが優先ですよね。
保育の中で、結果から学ぶということも大切にしていきたいですが、考える内容を、子どもが考えられるちょうどいい課題に調整しておくことが、健やかな育ちを支えることにもなります。
それが、放任と主体的保育の違いにも関わってくるかと思います。
それが「頑張ったらできた」と試行錯誤の根となり、
できなかった場合にその気持ちを伝えて依頼することも自律のひとつで、
成功体験ややり抜いたことは自己効力感やレジリエンスにつながります。
【環境・履く前の伝え方】
⚫︎支度の時間を加味してスケジュールをする
0.1.2(3)歳は生活の場面もより丁寧に関われるようなスケジュールを。
⚫︎おしりが少しだけ高くなるような低い椅子や台を用意する(牛乳パックで作る場合が多いですよね)
⚫︎靴の中底に一枚のシールを半分に切ったものを貼り付け、正しく履くと一つの絵が完成するようにするなど、視覚的目印をつける
→保護者の方にお願いしたり、許可を取ったりする必要がある、それをするには自分以外の保育者や管理者と相談する必要があり、できない場合もある
★靴に何もつけられないが、まだ左右揃えるのは難しい、片側からのマジックテープの場合の言葉掛け
「お靴、鳥さんになってるかな?」

と、靴のマジックテープをパタパタさせて鳥に見立てる。
ちょうどこの年齢の子どもたちは見立てる能力が高まっている時期なので、マジックテープを鳥に見立てることで、伝わりやすい。
指摘ではなく、合言葉のように柔らかく使うことができる。
→複数人への言葉掛けでも「お靴、鳥さんになってるかな?って履いてみようか」と一対一対応でなくても活用可能
※日頃からこの関わりをしておくとで、後述の、「左右反対に履いた後の関わり」に大きく効いてきます
★足の甲が前面マジックテープ、またはスポッと履くタイプで左右がかなり分かりづらい場合
→左右の靴を洗濯バサミで止め、反対になりづらくする
→完全には防げないものの、過度な個別対応の必要性や、履き直しの頻度は減る
靴の向きの写真を貼り意識できるようにするなど
♪ 鳥さんを始めたばかりの時には、鳥さんの世界観を伝えても楽しいかもしれません
「鳥さんも一緒にお散歩連れて行ってあげようか」
「鳥さんになったらみんなの足がぴったんこになってうれしいって♪」
【靴の正しい履き方】
⚫︎サイズがあっていること
⚫︎フィットした履き方であること
キッズシューズのシューフィッターの方から教えていただいた履き方です。
靴を履いた後、かかとを床に軽くコンコンとしてかかとの方へ足を詰めてから、マジックテープをしっかり留めます。そうすることで、足の甲だけが拘束される履き方から、足首に靴がフィットしている状態になります。
また、靴の中で足が前にズレて、それに対抗して足の指を使うなどを防ぎ、正しい履き方で、望ましい足の使い方をサポートすることができます。
ソールが硬い靴などを持ってこられる保護者の方もいらっしゃいますが、そういったことについて文句を言うのは専門職の関わりとは言えません。
お便りや掲示などで靴の正しい履き方や、子供の足の発達に適した靴の選び方などを発信することも大切だと思います。
保護者の方に周知する資料を作る際には保育者の学びともなり、保育の質の向上の一つと言えると思います。
【左右反対に履いた後の関わり】
ここで大切にしたいことは、
⚫︎本人の達成感
⚫︎意欲
⚫︎適切に靴を履くこと
①受容、フィードバック
「靴履けたね」「靴自分で履いたんだね」「頑張ったね」など本人が頑張ったことやできたことを言葉にして返す、目を合わせて微笑む(承認の行動)
→[子どもの心の動き]見てもらえた、分かってもらえた、自分がしたことってそういうことなんだ、嬉しいなど
②その子にあった受容的や言葉掛け
「ぴったんこにして足が嬉しい〜ってなるようにしてもいいかな?」
「もっともっと歩きやすいーってなるようにしてみてもいいかな?」
などでもいいですが…
★普段事前の言葉掛けをしていると
「お靴、鳥さんになってるかな?」で、保育者が指摘することなく、問いかけるだけで自分で気付くことができる
→[子どもの心の動き]指摘を否定と受け取ったり、頑張って履いたのに、ということにつながりづらく、自分で気付き、「自分でできた」で終えることができる。日々の小さな積み重ねで楽しい雰囲気の中、正しい履き方を学ぶ

冒頭で「基本的には介入する」と書きましたが、例外としては、
・保育者が靴を履くことに介入することに強い拒否感を抱いている(まだそこまでの信頼関係が構築されていない)
・保育者が靴を履くことに介入することに強い拒否感を抱いている(こだわり的な側面が強く、納得しないと安心できない)
など、【基本的信頼感】【安心感】が脅かされる場合には、そちらを優先します。
どの年齢においても、養護の上での教育のスタンスを忘れずに保育していきたいです。
まとめ
【基本的信頼感】【安心感】がある上で、
その場では【意思の尊重】【納得感】を大切にしながら工夫し
【適切な靴の履き方】を【環境調整と事前の言葉掛けやサポート】を前提とした関わりで
【達成感】や【意欲】を保証。
そして【自己効力感】【レジリエンス】【自己肯定感】【挑戦心】などに繋がるようにしていきたいと思っています。
靴を履くという生活の一部を通して、子どもたちの試行錯誤を十分に認めて安心の中で、お散歩や運動などへの活力となることを願っています。
このようなことを大切にできる関わり、きっと他にもたくさんあるかと思います。
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日常の何気ない場面で、子どもたちの気持ちを尊重しながら成長に繋がる関わりを日々模索しています。
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