衝撃的すぎて、ハチクロの花本はぐみを思い出した「ヒルマ・アフ・クリント展」
過去最大の衝撃がわたしを襲った……。
お、落ち着いて書くしかない。
いや、「抽象画もけっこう好きだし(パウル・クレーとか)、ちょっと観にいくか」くらいの軽い気持ちだったんだ。
気持ちを落ち着けるために、会場に着くまでの話をさせてください。
場所は、東京国立近代美術館。

最寄りの駅は「竹橋駅」だけど、「九段下」から北の丸公園を通って行くのがおすすめ。

九段下~神保町のあたりには美味しいお店がたくさんある。
昔、この辺に勤めていたのだけど、ランチには本当に不自由しなかった。

日本武道館のある北の丸公園は、緑がたくさんあって落ち着く。

散歩したり、ぼんやりするのにちょうどよくて、ここに来ただけで満足してしまったくらいだ。
目的地はここじゃないのに、心地よくて動きたくない。読書でもするか。
— FIREの精霊、焔(ほのむら) (@rockstar_narite) June 7, 2025
ポケカが栞w pic.twitter.com/OE33ZiqqrO
過去最大の衝撃が待ち受けているとも知らずに……。
寄り道しながら、現地に到着。

美術展に入る前に、ヒルマ・アフ・クリントについてちょっと説明しておきたい。
ホームページの情報を読むだけでも、かなり異色のアーティストであることがわかる。
ヒルマ・アフ・クリント(1862–1944)スウェーデン出身
神秘主義などの秘教思想やスピリチュアリズムに傾倒し、交霊術の体験を通してアカデミックな絵画とは異なる抽象表現を生み出します。
交霊術?
スピリチュアリズムはまだいい。そういうアーティストの人多そう。
だけど、交霊術ってなかなか聞かない。
このパワーワードとともに、アフ・クリントの世界へ。

初期の作品をベースに考えていくのがよさそう。

職業画家としての綺麗な絵。
北欧って感じがする!
その後、どんどん交霊術が使用されていくのだけど、そもそもここで言うスピリチュアリズムとは?
スピリチュアリズム(心霊主義:人は肉体と霊魂からなり、肉体は消滅しても霊魂は存在し続け、現世へ働きかけてくるという思想)
当時は、神智学(しんちがく)というスピリチュアル思想が有名で、アフ・クリントも非常に影響を受けたとのこと。
トランス状態やら、霊的メッセージやら、自動書記が駆使されるようになった。
ひとつの完成形はこういう絵。

ここまでの展示を見て、わたしが想像していた抽象画とは、どうやら根本が違うことがわかってきた。
抽象画は、いっけんさらっと描かれているように見えても、背後に複雑な論理がある。
わたしがパウル・クレーが好きなのは、難しいことをしているのに表面ではさらっと見せる、引っかかりのある美しさのようなところなのだが、アフ・クリントは違う。
物語があふれ出てしまっている。一冊の書物のようであり、音楽でいえば、プログレのコンセプトアルバムのようだ。
ストーリー抽象とでも呼びたくなる。
そして、圧巻はこのシリーズ!
1907年、アフ・クリントは、人生の4つの段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)についての「楽園のように美しい10枚の絵画」を制作する啓示を受けます。
おお、そんな啓示を、受けてしまったのか!
異色の展示スペースに、異色の作品たち。
絵画が大きい! 現場はすごい迫力!

巨大な絵画が、4面の壁を取り囲む!

やばいぞ、心の奥に未知なる力が侵入してくる!

なお、音声ガイドでは、本コーナーでこの曲が流れる趣向だった(スウェーデンの作曲家)。
これこそがスピリチュアルなメッセージの力なのか?
いや、違う。ここに具現化されたものは、アフ・クリントの才能だ。
わたしは、この4面の壁を永遠にぐるぐる回っていたくなった(※ 実際に回ったのは5回くらいです)。
圧倒的な力に、すでに亡くなっている女性を好きになりそうになった。
才能を通じて人を好きになることは起こり得るんだろうなと直感した。このとき思い浮かんだのは花本はぐみ。
「ハチミツとクローバー(羽海野チカ)」の登場人物。
才能炸裂! ちんちくりんなのに(※作中の表現です)、モテモテ。
昔はよくわからなかったけど、なるほどなあ、そういうこともあるのかも……。
まさか「ハチミツとクローバー」の世界を垣間見るとは思わなかった……
そういうこともあってかなくてか、今回はポストカードに加えて、思わずフレームまで買ってしまった。

しかし、ポストカードからは、あの心に侵入してくる力が消えている。不思議なものだ……。
いったい、どうやったら、あんなにスゴイものが描けるのか?
最後にわたしの考察を書きたい。
答えは、展示の一番最初のところにある。

このスケッチ。
これ、立体物に見えませんか?
わたしは二度見してしまったのだけど、これは平面に描かれた絵。
光と質感の、この表現力!
恐ろしい技術だ。
キャリアの初期に基礎スキルがこのレベルに達してしまっている。加えて、商業画家としてのセンスと構成力(最初のほうの絵をもう一度見てみてください)。
圧倒的なスキルとセンスがあるから、複雑なストーリーを芸術に昇華できてしまう!


むしろ、ストーリーは複雑なほうがいいのだろう。
すべてのスキルとセンスを吐き出さざるを得ないくらいに。
アフ・クリントをスピリチュアルなアーティストととらえてしまうと、本質を半分以上ロストしてしまうように思う。
彼女は、才能を誰よりも解き放った人だ。
圧倒的な才能で、高次の存在に駆けあがった人。
スピリチュアルが彼女をアーティストにしたのではない。
彼女は才を燃やして、まぶしい光になっただけ。
その状態をスピリチュアルと呼ぶのなら、それはまったく間違っていない。

なお、アフ・クリント展、6月15日(日)までです。
どうぞ、どうぞお早めに!
【開催概要】
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
会期:2025年3月4日(火)~6月15日(日)
休館日:月曜日(ただし3月31日、5月5日は開館)、5月7日
開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)入館は閉館の30分前まで
詳細はホームページをご参照

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