見出し画像

過去の自分を埋める

 今日もだらだらと動画を見て過ごした。気が付いたら日は暮れていて、無為に一日が終わったように感じている。せっかく長い休暇をもらったのに時間を有効に使っていない気がして居心地が悪い。

 橋口亮輔監督の作品が好きで一時期何度も何度も見ていた。レンタルしやすかったというのもあって、『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』『恋人たち』の三作は次のセリフが言えるくらいには見ている。そのうち監督自身のことが知りたくなってエッセイを3冊買った。どれにも付箋がたくさんついている。付箋部分を読み返してみると気になる部分があった。

「自分の中に何が足りないのか?」ということを、自分自身と格闘して見つけるべきだ。
 自分の中の満たされないものを探して、埋めてあげる。その空白を埋めることができたときに、人は癒されるのだと思う。そこで初めて次の一歩を踏み出す勇気が生まれるのではないか。
『渚の~』を撮ることで、僕は17歳の頃の自分を埋めることができた。だから僕は今、そんな勇気を自分の中に感じることができるのだ。

『無限の荒野で君と出会う日』(2004年、情報センター出版局)

「そうか、橋口君は、ずっと映画で自己紹介してるんだね」とおっしゃった。
 僕は、「あ、ほんとにそうだな」と腑に落ちた。いまさらだが。
 僕がなりたかったもの。それは、自分だったのかもしれない。

『「まっすぐ」』(2016年、ele-king books)

 ゲイである橋口さんは多感な時期を今よりも理解のない人が多い世の中で生き抜いてきた。作品には堂々と自分らしくいることのできないものを内に抱えながら、社会の隅っこで健気に生き、最後には自分なりの救いやひらめきを得て次に進んでいく姿を描いている。それはきっと橋口さん自身の過去を振り返り、埋められなかったパーツを埋めていく作業だったんだろう。僕もそんなことをやってみたい。

 今日だらだらと見た映画の一つ『ハケンアニメ!』の主人公の斎藤監督は、「昔の自分みたいな子たちに届くアニメを作りたい」ということを指針にしていた。作中には「この世界には魔法なんてないんだよ」といって憮然として一人で公園の木を描く斎藤監督の子供時代のシーンが出てくる。彼女はあの頃の自分に届ける作品を作ろうとした。

 僕は音楽をやりたいけど、どんなつもりで音楽を作っていけばいいのかわからず、何年も悶々としている。今まで自分が経験したことや考えたこと、その時の気持ちを表現すればいいと考えていたけど、それではあまりにも独りよがりで広がりがないとずっと思っていた。橋口監督や斎藤監督みたいに、過去の自分に足りなかったものを埋めるという方向なら、何かできるかもしれないと今日おもった。以上。
 

いいなと思ったら応援しよう!