人生の縮図
今日は、模様替えをした。
模様替えという言葉は、それほどめずらしいものではないと思うのだけれど、実際に行動するとなると、なかなかに大変なのはわたしだけだろうか……みんなもっと気軽に、模様替えしてない? 気のせい?
いつかやりたいなあ、でも今のままでも暮らせているしなあ。
わたしの部屋の場合、模様替えの核は本棚とハンガーラックなので、どちらも動かすのが面倒。そう、今のままでも暮らせているしなあ……と思っていたのだけれど
Amazonのセールで欲しいものを述べよ。と言ってもらったので、本棚をリクエストしてしまった。
本は、本棚に収まるだけ……と決めていたのだけれど、どれだけ貧乏でひもじくなっても、本を買うことだけはやめられなかった。(化粧品や洋服は全然買わなくなった)
友達から「鋼の錬金術師」を借りて、「やっぱり紙の本って最高だ〜〜〜」と思った勢いで、ワンピースのワノ国から最新刊を一気読みしたらもう、「本を買おう」と思った。これ以上の幸福はないと思えた。
そうしたらお買い物券が贈与され、部屋の隙間(壁の電気スイッチの下)を測ったら、ちょうど低めの本棚が収まりそうだし、セールだし、組み立ても請け負ってもらえそうという諸条件が揃ったので、買ってもらうことにした。
メジャーで、しっかりと長さを測ったので本棚は余白にシンデレラフィット。
まではよかったのだけれど、ドアが開かなくなった。

まじか〜〜〜〜〜模様替えムズすぎない? そういう問題もある? わたしがまぬけなだけ? いやもうびっくりだぜ……
わたしの選択肢は、この時点でみっつ。
ダイニングに本棚を置く
今ある本棚(と呼べないような棚)を解体する
ハンガーラックをサイズダウンする
そうしているうちに、友達から「日曜日のお昼は空いていますか?」「ねるちゃんの行きたいところがもしあればいってね」という連絡が届いた。
この友達は車を持っていて、以前も無理な長距離運搬に対応してくれたので、とりあえず頼んでみた。「洋服を捨てたいんだけど、捨てるのはもったいないので売りに行きたい……車でリサイクルショップまで連れて行って欲しい」
そうしてわたしは、「もちろんいいよー!」と返ってきたその言葉に、全力で甘えることにする。すまん、いつもありがとう。
ということで、洋服を大量に断舎離して、ハンガーラックのサイズダウンを目指すことにした。
むかしは、洋服をたくさん持っていて、そこから気分で選ぶ(これだけたくさんあれば気分に合う服が必ず見つかる)と思っていたのだけれど、実際のわたしは、思ったよりオシャレに興味がなかった。動きづらい服は嫌い、きれいな服は汚しそうで気を使う。いつもの着古したやつとか、らくちんだけどオシャレに見えるワンピースとかニットとか、そういうのが幾つかあれば充分ということに気がついてしまった。可愛いものは好きなんだけどね。
3袋ほど洋服を処分対象とし、これならハンガーラックのサイズダウンできるかも? ということで、新ハンガーラックの設置予定地の測量をする。
Amazon、ニトリ、IKEAを徘徊しているうちに、「隣の部屋で使われていないハンガーラックがちょうどいいのでは?」ということに気がついた。
即座に同居人に許可を取り……それから、1週間が経った。経ってしまった。
模様替えは面倒くさい。信じられないくらい面倒くさい。だって今のままでも暮らせている。
今日、「ようしやるか」と重たい腰を持ち上げたのは、リサイクルショップに行く日が、いよいよ明日に近づいたから。洋服はかなり捨てたけれど、果たしてハンガーラックは予定通り入れ替えができるのか、新しいハンガーラックに洋服は全部収まるのか……と様々な杞憂があったけれど、これこそまさしくシンデレラフィットだった。すごい。
いや〜〜〜あれこれ心配だったんだよ。
窓辺にハンガーラックを置くから、景観が悪くなるんじゃないかとか、設置はできるけれど洋服が引っかからないとか(ハンガーラックの足部分は無事に置けても、ハンガーを引っ掛ける部分の横幅がプラスで必要だと気がついた)
それに伴ってベッドを動かすんだけど、そうすると部屋のデッドスペースが消滅して、部屋自体は広くなる。だけどデッドスペースに置いていた楽器類とか、アウトドアチェアとかの置き場がなくなっちゃうのは大丈夫だろうかとか。
ぜんぶ大丈夫だった。なんとかなった。
それよりも、ベッド下の電源がベッドに引っかかったりとか、隣の部屋にいったハンガーラックがうまくハマらなかったとか(足場の問題と、高さの問題があった。わたしの測量では、シンデレラフィットだったのに)
でも、なんとかなった。
新しい本棚も部屋に引っ張ってきて、無事に収まった。ドアも開く。
大きいものの移動は疲れるし、ホコリもひどかったから途中で心が折れてワンピースの世界に逃げ込んだりしたけれど、すべては無事に終わった。所要時間は1時間とか、1時間半とか……あっというまだった。やってみれば、一瞬だった。
高校生の頃に読んでいたサッカー漫画で、「ファンタジスタ」っていうのがあって、ヴァレンティノ監督が「サッカーは人生の縮図」と言っていたのが印象的だった。……ヴァレンティノ監督じゃなかったかもしれない。彼はイケオジなだけだったかもしれないけれど、この漫画だったことは確かだと思う。
ボールを持ったら、パスをするしない、するなら誰にするのか、その幾つもの選択肢の中から最善のひとつを見出して、ゴールへと繋いでゆく。そのうえで、ボールを持っていないときの動きも考えなくてはいけない。いくつもの可能性からひとつずつ、選択を繰り返してゆく。
サッカーについては、「ファンタジスタ」と「ホイッスル」で学んで、ぎりぎりオフサイドの説明ができる程度の知識しかないけれど、「なるほどな〜」と思った。わたしは、17歳だった。
今日また、「人生の縮図」という言葉を思い出した。模様替えも、そうだと思った。
意を決して本棚を手に入れたら、想像以上に幸福だった。早く買えばよかった。でも、思った場所に設置できなかった。笑った。
でも、本棚は来てしまったし、わたしは心地の良い暮らしを諦めたくなくて、あれこれ考えて、ハンガーラックを買おうと思ったけれど、手持ちのものでなんとかなった。
さあ実際に模様替えだと思ったら、もう超がいくつついてもいいくらいの面倒で、でもやってみればすぐに終わった。
なんだか、そんなことばっかりのように思えた。
早く買って(行動して)おけばよかったとか
行動したあとに考えればなんとかなるとか
手持ちのものでなんとかなるとか
面倒だけどやってみればあっというまだとか
まさしく、人生の縮図と言えないだろうか。
いや、怠惰なわたしだからだろうか。
模様替え、してよかった。ちょっと勇気が出た。なんとかなった。
大きな家具を買うことは、勇気が要る。買ってしまうことより、捨てることのほうが大変だったりすることに、もう気がついている。
でも最初の勇気で、あとはなし崩しでも進んで、ラッキーや人の協力もあって、ここまで来た。
「ああ、良いお部屋」
部屋の前で、うっとりとつぶやく。
高さのあるハンガーラックがいなくなって部屋はスッキリして、デッドスペースがなくなったので広くなった。
ああ、今日のことをしばらく覚えていよう。
本棚を買ってなんとかなったことを、今あるわたしで充分に乗り越えられたことを、これからしばらくの勇気にできたら。
そう思いながら、今日の出来事を記すことにした。
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