暮らしの中のしあわせ
ある日、家のコンロがぴっかぴかに磨かれていた。
なし崩し的に、同居人と暮らすようになって数年が経つ。
紆余曲折あって、一緒に住んだり住まなかったり、を繰り返してきた。
相手にムカつきまくって、勝手にイライラしたり
お互いそんなことを繰り返してきたけど、最近はうまくできるようになってきた。
家事については、料理とそれに関する買い物は同居人。
わたしは、掃除洗濯など、料理以外の家事と日用品の買い足しを担当している。
そうすると、「水回り」がグレイゾーンになるらしい。
わたしにとっては、「洗い物と水回りの掃除は、”料理以外の家事”に当たるので、わたしがやるべき」と思っているし、
同居人は同居人で、「”料理まわりのこと”に該当する、洗い物や水回りの掃除は自分の領域」と思っているらしい。
そもそもふたりとも、洗い物も水回りの掃除も好きではないので、
できるときに、できることをお互いにやる。
やらなかったことで、相手を責めない
やってもらったことで、自分を責めない
というルールのような、ルールになっていないような形ではあるが
お互い過不足なく過ごしている。(と、わたしは思っている)
コンロがピカピカになっていたときは、本当に驚いた。
今まで、洗い物をして、跳ねた水や油を拭いてくれることはあっても
コンロが、こんなにピカピカになっていることは、今までなかったと記憶している。
わたしが、極稀に磨いて、また汚して、を繰り返していた。
ピカピカのコンロを見て、
わたしは、大変にすこやかな気持ちになった。
「ああ、コンロがきれいって、こんなに気持ちがいいんだ…」
言葉にするとなんだか妙な感じだが、うっとりするような気分だった。
それから、日常的な掃除の中に「コンロを磨く」を加えた。
ふたりとも喫煙者で、
喫煙所は換気扇の下、つまりコンロの部分になるので、煙草の灰が飛んでいる。
煙草を吸い終わったあと、3回に1回くらいは濡れたティッシュで拭く。
それだけできれいになる。
一度きれいにしてもらったので、古い汚れがついていない、というのもあるだろうけど
たったこれだけ
10秒にも満たない行為で、コンロはピカピカになる。
そうしてわたしは、「ああ、よかったなあ」と安堵する。
今日もコンロがきれいで、わたしは大満足だ。
それは、チョコレートひとつぶで自分を幸福にする様子と、似ているかもしれない。
photo by amano yasuhiro
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