「どうでもいいもの」を「いいもの」に
「どうでもいいもの」を「いいもの」に変える
いつものタオルを、肌触りのいいものに
いつ買ったかわからないお箸を、ちょっと良いやつに
そんなふうに暮らしてみてはいかがだろう。
本に書いてあったことを読んで
そしてもう一度読んで、深く頷いた。
なるほど。
夏の夕べの、河原での出来事だった。
わたしは、思い出している。
いまここにはない、お気に入りのタオルケットのこと。
わたしの、”ライナスの毛布”
購入してから3度目の夏を迎えてなお、わたしを幸福にしてくれるタオルケット。
あんなふうにすてきなもので、満ちていたら。
考えるだけで、うっとりする。
*
でも、そんなに特別でお気に入りのものがすぐ見つかるわけもなく
思い出したのは、会社で使っているボールペンのことだった。
ジェットストリームの、3色入り。
「これいいよ」と、オススメされた。
ボールペンなんてなんでもいいのに、と思ったけれど
ピカチュウの柄で、ポケモンのもたらす買い物の幸福度は計り知れないし、
とりあえず買っておこう。と勢いで買ったら、これがすごくよかった。
会社用にも買って、
それだけでは飽き足らず、持ち運び用のボールペンもこれに変えた。
ジェットストリームは、魔法のペンだと思う。
なんだか、字がうまく書けるような気がする。
最近になって、「松永さんの字、好きなんですよ」と言われたのは、ジェットストリームのお陰だ。
断言できる。
*
だから、インクが切れるのは当然のことだった。
会社の備品コーナーで替えのインクを漁ったけれど、ジェットストリームはなかった。
本屋にもなくて、薬局の文房具コーナーで見つけたのですぐに買った。
そしてすぐに、その違いに気づいた。
インクの太さが違う。
0.5mmじゃない……
買うときに「3色ボールペンに適応しているか否か」ばかりを気にして、インクの太さを気にしていなかった。
でも、まあいいか。
捨てるのももったいないし。
そういえば、フリクションでもそんなことがあった。
いまでも2本持ってるフリクションの3色ボールペンからは、時折太いインクが飛び出してくる。
細いほうが好きなんだけどなァ。
と、意識できたのもようやく最近のことだった。
いままでは太いときに、「なんか書きづらいな」というような気がしていることすら、気の所為にしようとして
なんだか全然、なにとも向き合えていないような日々だった。
*
「どうでもいいもの」を「いいもの」に
魔法の言葉をつぶやいて、フリクションの替芯を探しに行くことにした。
でもやっぱり近所の本屋になくて
Amazonで注文しようかな。
でも困ってるわけじゃないし。
そう思っていたら、セブンイレブンで見つけた。
値段は、100円くらい。
「買わなくても平気な買い物だ」という思考が過ったけれど、ここでも魔法の言葉を思い出す。
いいさ、100円くらい。
「いいもの」にしてみよう。
*
*
*
そうしたら、やっぱりよくてびっくりしている。
ああ、これこれ。そうなんだ。
いままで「太いインクのいいところ」を探したり、「太いインクでもきれいな字を書く方法」なんていうのを考えたりしていた。
そんな自分も否定しない。
前向きで、かなりイイと思う。
でも、気づいちゃったら仕方がない。
わたしが太いインクに感じていたのは”違和感”で、その違和感ってやつを、ずっと”我慢”してたんだなァ。
*
水族館に行ったとき、コルクのコースターを見つけた。
最近、会社に行く前にコンビニのアイスコーヒーを買うことが増えて、机がびしゃびしゃになることが気になっていた。
コースターは、百均でも、ニトリでもイケアでも買えることはわかっていた。
無地の、無難なやつ。
でも、水族館で買った。
400円。
クラゲの絵がついていた。
わたしは、クラゲを愛している。
会社に、このコースターを置いて
何かに絶望して、どうしようもないときに
疲れ果てた自分を甘やかしたいときに
そんなことにこのコースターを見て、クラゲのことを思い出す。
なんなら、仕事帰りにそのまま水族館に行ったっていい。
そう思ったら、生きて行ける気がした。
*
いま、お気に入りのボールペンで文字を綴りながら、
お気に入りのコースターに飲み物を置く暮らしをしている。
ああ、なんだか信じられないかもしれない
言葉にすると、安っぽすぎるかもしれない。
でもわたしは、
「やっぱりこれだな」と思いながらボールペンを握って
絶望的な気持ちでお茶を飲んだあとに見つめるコースターに癒やされて
今日も元気に働いている。
※わたしの"ライナスの毛布"
※now playing
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