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「どうでもいいもの」を「いいもの」に

「どうでもいいもの」を「いいもの」に変える

いつものタオルを、肌触りのいいものに
いつ買ったかわからないお箸を、ちょっと良いやつに
そんなふうに暮らしてみてはいかがだろう。

本に書いてあったことを読んで
そしてもう一度読んで、深く頷いた。
なるほど。
夏の夕べの、河原での出来事だった。

わたしは、思い出している。
いまここにはない、お気に入りのタオルケットのこと。
わたしの、”ライナスの毛布”
購入してから3度目の夏を迎えてなお、わたしを幸福にしてくれるタオルケット。

あんなふうにすてきなもので、満ちていたら。
考えるだけで、うっとりする。

でも、そんなに特別でお気に入りのものがすぐ見つかるわけもなく
思い出したのは、会社で使っているボールペンのことだった。

ジェットストリームの、3色入り。
「これいいよ」と、オススメされた。
ボールペンなんてなんでもいいのに、と思ったけれど
ピカチュウの柄で、ポケモンのもたらす買い物の幸福度は計り知れないし、
とりあえず買っておこう。と勢いで買ったら、これがすごくよかった。

会社用にも買って、
それだけでは飽き足らず、持ち運び用のボールペンもこれに変えた。

ジェットストリームは、魔法のペンだと思う。
なんだか、字がうまく書けるような気がする。

最近になって、「松永さんの字、好きなんですよ」と言われたのは、ジェットストリームのお陰だ。
断言できる。

だから、インクが切れるのは当然のことだった。
会社の備品コーナーで替えのインクを漁ったけれど、ジェットストリームはなかった。

本屋にもなくて、薬局の文房具コーナーで見つけたのですぐに買った。
そしてすぐに、その違いに気づいた。

インクの太さが違う。
0.5mmじゃない……

買うときに「3色ボールペンに適応しているか否か」ばかりを気にして、インクの太さを気にしていなかった。

でも、まあいいか。
捨てるのももったいないし。

そういえば、フリクションでもそんなことがあった。
いまでも2本持ってるフリクションの3色ボールペンからは、時折太いインクが飛び出してくる。

細いほうが好きなんだけどなァ。
と、意識できたのもようやく最近のことだった。

いままでは太いときに、「なんか書きづらいな」というような気がしていることすら、気の所為にしようとして
なんだか全然、なにとも向き合えていないような日々だった。

「どうでもいいもの」を「いいもの」に

魔法の言葉をつぶやいて、フリクションの替芯を探しに行くことにした。
でもやっぱり近所の本屋になくて
Amazonで注文しようかな。
でも困ってるわけじゃないし。

そう思っていたら、セブンイレブンで見つけた。
値段は、100円くらい。
「買わなくても平気な買い物だ」という思考が過ったけれど、ここでも魔法の言葉を思い出す。
いいさ、100円くらい。
「いいもの」にしてみよう。



そうしたら、やっぱりよくてびっくりしている。

ああ、これこれ。そうなんだ。
いままで「太いインクのいいところ」を探したり、「太いインクでもきれいな字を書く方法」なんていうのを考えたりしていた。
そんな自分も否定しない。
前向きで、かなりイイと思う。

でも、気づいちゃったら仕方がない。
わたしが太いインクに感じていたのは”違和感”で、その違和感ってやつを、ずっと”我慢”してたんだなァ。

水族館に行ったとき、コルクのコースターを見つけた。
最近、会社に行く前にコンビニのアイスコーヒーを買うことが増えて、机がびしゃびしゃになることが気になっていた。
コースターは、百均でも、ニトリでもイケアでも買えることはわかっていた。
無地の、無難なやつ。

でも、水族館で買った。
400円。
クラゲの絵がついていた。
わたしは、クラゲを愛している。

会社に、このコースターを置いて
何かに絶望して、どうしようもないときに
疲れ果てた自分を甘やかしたいときに
そんなことにこのコースターを見て、クラゲのことを思い出す。
なんなら、仕事帰りにそのまま水族館に行ったっていい。

そう思ったら、生きて行ける気がした。

いま、お気に入りのボールペンで文字を綴りながら、
お気に入りのコースターに飲み物を置く暮らしをしている。

ああ、なんだか信じられないかもしれない
言葉にすると、安っぽすぎるかもしれない。

でもわたしは、
「やっぱりこれだな」と思いながらボールペンを握って
絶望的な気持ちでお茶を飲んだあとに見つめるコースターに癒やされて

今日も元気に働いている。





※わたしの"ライナスの毛布"


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