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【第60話 ルイルイの過去➀】『ネガティ部!』~美男美女ばかりなのに普通?の俺が入部しても大丈夫なのか!?~

第5章 謎めいた合宿編

第60話 ルイルイの過去➀

「あれは約二十二年前、あの日から始まったんだ……」

 ルイルイが、珍しく真面目な顔で語り始めた。

「私が五歳、幼稚園の年中だった頃の話だ。

 当時の私は――超が付くほど可愛くて、

 誰もが目に入れても痛くないくらい愛らしい子だった」

 ……はいはい、自分で言うか普通。

「でも、その可愛さが原因で女の子達から嫉妬されてな。

 『ブス』『超ブサイク』なんて毎日のように言われ続けた。

 やがて男子まで同じことを言うようになって……

 私は完全に自分をブスだと思い込んでしまったんだ」

 いつものルイルイからは想像もできない話だった。

 あの毒舌女が、そんな過去を抱えていたなんて……。

「それからの私は、人の顔色ばかり気にして生きる毎日だった。

 何をするにも怖くて、一歩も前へ出られなかった」

 ……本当に同一人物なのか?

 今のルイルイしか知らない俺には、とても信じられない。

「そんなある日だ。

 私の幼稚園へ『名染伊太学園』のポジティ部がボランティアで来た」

 おっ!

 ついにポジティ部が登場か!

「みんな明るくて優しくて面白い人達ばかりだった。

 その中でも一際目立っていたのが部長――」

 ……嫌な予感しかしない。

 ポジティ部部長と聞くと、どうしてもテンテン部長の顔が浮かんでしまう。

 あのテンションで園児相手とか、想像しただけで胃がもたれそうだ。

「その人こそ――私の初恋の人、『ヒトヤン様』だ」

「『様』ぁ!?」

 思わず大声が出た。

「ルイルイが人を『様』付け!? どれだけ尊敬してたんだよ!」

「失礼な奴だな。私だって本当に認めた相手には敬意を払う」

 ルイルイは少し照れくさそうに笑う。

「ヒトヤン様は、他の部員とは比べものにならないくらい

 超ポジティブな人だった」

「テンテン部長よりも?」

「バカ野郎!!」

 即答だった。

「あんなクソ野郎と一緒にするな!!」

 ……テンテン部長。

 あなた、ルイルイにここまで言われても慕ってるんですよね。

 なんか少しだけ同情してしまった。

「ヒトヤン様は、あっという間に園児達の人気者になった。

 取り合いになるほどだった」

 それは納得だ。

 少なくともテンテン部長だったら、園児達が逃げ回っていたかもしれない。

 ……いや、本当にごめんなさいテンテン部長。

「もちろん私は、その輪に入れなかった。

 ただ遠くから指をくわえて見ているだけだった」

 今のルイルイからは考えられない姿だ。

「すると突然、ヒトヤン様が私に気付いて笑顔で近づいて来た」

 ルイルイの表情が少しだけ柔らかくなる。

「そう――あれが私達の運命の出会いだった」

 ……ちょっと盛ってないか?

 それに、いつものルイルイとは話し方まで違うから、聞いているこっちがむず痒くなってくる。

「さあ、それでは当時の様子を見てもらおう」

「別にテレビ番組じゃねぇから!」


【二十二年前 幼稚園 ルイルイ視点】

 ど、どうしよう……。

 あのお兄ちゃん、私の方へ来る……。

「お嬢ちゃん、名前なんて言うん?」

「……クチガワ、ルイ……」

「おぉ、ルイちゃんか! 名前も顔もめっちゃ可愛いやん!」

 ……え?

 可愛い?

 みんなは私のこと、ブスって言うのに……。

「お、お兄ちゃんのお名前は?」

「お兄ちゃんは『ひとし』や。

 でもみんなには『ヒトヤン』って呼ばれてる。

 ルイちゃんもそう呼んでええで」

「……ヒトヤン?」

 なんだか変な呼び方。

「そうそう! よう言えたな!」

 ヒトヤンは満面の笑みで頭を撫でてくれた。

「ほんなら今日から、お兄ちゃんはルイちゃんのことを

 『ルイルイ』って呼ぶわ!」

「ル、ルイルイ……?」

「ええやろ? 可愛くて覚えやすい!」

 ……正直、あまり好きじゃない。

 でも、ヒトヤンが嬉しそうだから……

「……うん。気に入った……と思う」

「ハハハ! ほんま素直でええ子やな!」

 そう言って笑うヒトヤンを見ていると、不思議と胸が温かくなった。

「ところでルイルイ。なんで一人でおるん?」

「……だって、私みたいなブスが行ったら、みんな嫌がるから……」

「えぇっ!?」

 ヒトヤンは本気で驚いた顔をした。

「そんなわけあるか! ルイルイ、めっちゃ可愛いやん!」

「違うもん……。みんな『超ブサイク』って言うもん……」

「……そういうことか」

 ヒトヤンは少しだけ真剣な顔になると、遊んでいた園児達へ向かって大きく手を振った。

「みんなー! ちょっと集まってくれー!」

 あっという間に園児達が集まってくる。

「ヒトヤン、どうしたのー?」

「何して遊ぶのー?」

 ヒトヤンは全員の顔を見渡し、大きく息を吸った。

「みんな、今からヒトヤンお兄ちゃんの話を聞いてや!」

「「「はーい!」」」

「よし!」

 ヒトヤンは満面の笑みで言った。

「実はな、お兄ちゃんはさっきルイルイと、

 とっても大事な約束をしたんや!」

 えっ……?

 約束……?

 私、そんな約束してないよ……。


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