君の名前はずっと忘れずにいたいよ
先日帰省した際に、みどりのゆびを持つ叔母のご自慢の花盛りの庭を目の当たりにしてわたしの目が驚いた。あ、あざやか!ゴールデンウィークのこの時期は多くの花がいっせいに満開を迎える時期で一番の見頃なのだそう。これまでお正月やお盆の帰省の際にもたびたび訪れて、その時々の季節の花々を堪能してはいたのだけれど、こんなにもたくさんの花たちが我も我もと競うように咲き誇っている様を目にしたのは初めてかもしれない。山に囲まれた田舎の「イメージ画像です」みたいな立地なので、庭と言うにはあまりにも壮大すぎる裏山まで含めて作り上げられたその景色は圧巻であった。目を閉じるとまぶたの裏に鮮やかなあの景色がよみがえる。



ジブリよりもジブリの世界。
せっかく咲いた花は人にも見て欲しいから、というかわいい叔母の願いにより、たっぷりと一時間ほどかけてひとつひとつの花の名前や育ち方(叔母によると特別な世話はしなくとも植物は勝手に育つのだという)を教えてもらいながら庭をめぐる。ひとそれぞれ好みはあるけど、どれもみんなきれいだね。中でもわたしが目を奪われたのがランタナ(何度だってその名前を忘れてしまい毎回検索して必至の捜索)。同じクラスにランタナがいたら嫉妬が止まらなかっただろうなと思うくらいに可憐な作りで色もかわいい。
ランタナに思い出し嫉妬しながら過ごしていた先日、最寄りのスーパー(イオンです)で母の日商戦で売れ残った花に目が留まった。ひとつ398円。つぼみがたくさんついた赤と黄色をそれぞれひとつ、花の名前も確認せぬまま安易に購入した。ファンダメンタル・ラブモードに乗じて買ってやがて枯らしたパンジーのために買ったかわいい鉢をふたつ持て余していたので、ちょうどいい。さっそく植え替えて愛でている。
ラッピングフィルムに記載されていた情報によると、赤はミリオンスター、黄色はカランディーバという植物らしい。色ち買いだと思っていたので、それぞれが別の名前をもつ違う品種だと知って軽~く驚いた。葉っぱの形は酷似というか一致しているので、同じグループではあるんだろうな。ミリオンスターの花言葉はときめき、カランディーバの花言葉は記載がないのでわからない。わからないけれども、小さいバラのような八重咲の繊細な花がひとつふたつとじわじわ開いてきて夢のようなかわいさ。赤いミリオンスターもカランディーバの隣で健気に小さい星のような(ナイスネーミング!カランディーバが咲く前はどちらかというと黄色いほうがミリオンスターっぽいな、なんて思っていてごめん!)花をたくさん咲かせていてかわいい。みどりのゆびを持たないわたしに買われた赤いミリオンスターと黄色のカランディーバ、その運命やいかに。
「お子さんはもう大きいんですか?」と聞かれることが増えた。この1~2年で白髪とともに急激に。わたしだけに特有の現象かと思っていたら、先日久々に飲んだかつての職場の同期でわたしよりひとつ年上の美人の友達(彼女こそランタナである。)も「最近よく『お子さんはもう大きいんですか?』って聞かれるんだよね。」と話し始めて、完全に我々の年代のあるある話であることがわかった。「あらいやだ、子どもはおりませんし、そもそも結婚もしていないんですよぅ」と山猫廻しのおぎん風(巷説百物語を読んでいるところなので)に答えた時にただよう質問者のややきまりの悪そうな様子にこちらが申し訳ない気持ちになってしまう。「お綺麗なのにもったいない」とか云われても全然嫌な気持ちになったりしないタイプなので、ひとつください。
ランタナはかつてわたしがその激務と重責に耐えかねて7年でドロップアウトした企業で現在も働いており、着々と昇格して、もうじき勤続20年を迎えるのだという。ずーっと辞めたいと思っているんだけど、給与の面でどうしても辞める決心がつかずに今まで続けてきてしまっただけなんだとランタナは云うのだけれど、それってすごいことだよとわたしは思う。上司がメンタルの不調で休職したり、部下が突然辞めたりという苦境を何度も乗り越えてきたランタナは、すでに悟りの境地に達しており、最近は観劇が趣味なのだとか。いつもだいたい15,000円くらいのチケットを買ってひとりで観に行くんだって。自分のためだけにお金や時間を使っていていいのかなって気持ちに時々なるよ、と話す言葉にわかりみが止まらない。去年くらいから急激に体形が気になり始めてパーソナルジムに通い始めたんだよ、と話すので「多いよね最近。でも月に2万円とかするんでしょ?」と聞くと「わたしが行ってるところは月4万。」と云うので「よ、よよよ、よんまん!」と驚いて椅子から転げ落ちた。悟りを開いた女の自分への投資すごい!家では全然お酒は飲まないと云っていたので、わたしも家では飲まない人になってランタナへの第一歩を踏み出してみよう。ひとまず、炭酸水をビールだと思い込む訓練を始めました。強めの炭酸水をください。
