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【読書感想】『100冊読んで分かった仕事ができる人のシンプルな特徴〜できないぼくが学んだ社会の本質〜』を読んで: 悩んでばかりだった自分に渡したい本

今回拝読したのは、noteで見つけたこの本です。


50代後半になって、ビジネス書や自己啓発書はもう何十冊と読んできた。若い頃は流行りのビジネス書を片っ端から買い込み、付箋だらけにして満足していた時期もある。それでも仕事の壁にはしょっちゅうぶつかる。プロジェクトを回すのも、後輩の指導も、正直まだまだ手探りだ。むしろ経験が長い分、頭でっかちになって余計なことを考えすぎている自覚すらあった。会議で誰かが簡単に片付けている問題を、自分だけあれこれ理屈をこねて遠回りしている、なんてこともよくある。

そんなときに本書に出会った。若い著者が100冊もの本を実際に試し、そこから本当に効いた部分だけを絞り込んだという触れ込みに惹かれ、半分すがるような気持ちで読み始めた。正直、最初は「また意識高い系の本か」と斜に構えていたところもあったのだが、読み進めるうちにその見方は変わっていった。

読んでいて一番驚いたのは、巻末に並ぶ100冊の名著が頭の中で勝手に整理されていくことだった。自分が昔読んだ『アドラー心理学』関連の本や『夢を叶えるゾウ』も、まだ読んだことのない本の話も、著者というフィルターを通すと一本の線でつながって見えてくる。あちこちの本に散らばっていた「成功法則」や「ノウハウ」が、著者自身の実践を経ることで、無駄のない一つの考え方にまとまっている。理屈っぽくなりがちな頭の中がすっと片付く、あの感覚に近い。積読になっていた本を今さら引っ張り出して読み返したくなったほどだ。

読みながら思ったのだが、個人出版の著者から学べることは案外多い。商業出版にありがちなページ稼ぎの寄り道や、必要以上の装飾がない。個人出版だからこそ、伝えたいことだけを極限まで絞れたのだと思う。この潔さが、この本の一番の価値だ。値段以上のものを持ち帰れた、というのが率直な感想でもある。

途中でハッとしたのは、「仕事ができる人」というのは特別な才能の話ではなく、誰でも明日からできる行動の積み重ねに過ぎない、ということ。若い頃の自分なら、この手の話を「綺麗事だ」と切り捨てていたと思うが、いろいろな失敗を重ねてきた今だからこそ素直に受け止められた気がする。

家で日本語を教えている妻にこの話をしたら、「日本語の教え方も同じよ。難しい理屈を並べるより、言葉や動作をとことんシンプルにしたほうが、結局伝わるの」と言われた。分野は違っても、突き詰めれば行き着く先は「シンプルさ」なんだなと妙に納得した。夕飯を食べながらのそんな他愛もない会話が、思いのほか本の内容と重なって、しばらく二人でその話で盛り上がってしまった。

この本のいいところは、ただのノウハウ集で終わっていないところだと思う。「できない自分」と向き合い、泥臭く悩んできた著者だからこそ、上から目線にならない。特別なスキルもいらない。書かれている通りに行動をひとつ変えるだけで、翌日からの職場の見え方が変わってくる。実際、読み終えた翌週の会議で、いつもなら黙って聞いているだけの場面で一言だけ意見を挟んでみたら、思いのほかすんなり受け入れられて拍子抜けした、なんてこともあった。

これから積み上げていく若い人にはもちろん、自分のように指導や今後の働き方に悩んでいる世代にも読んでほしい。50代の自分にとっても、これからの人生に持っていける知恵になった。「できない」と一人で抱え込んでいた3か月前の自分に、そっと渡したい一冊。

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