Hapbeat 活動報告 2026年4月
Hapbeat の山崎です。4月はほぼ開発に集中し、SDK が実際にデモで使えるレベルに到達しました。5月上旬には Studio やドキュメントサイトを公開できる見込みです。
各トピックは以下のカテゴリに分類しています。
(該当なしの場合は打ち消し線)
プロダクト関連:販売するプロダクトの開発や進捗など
イベント関連:イベントや展示会への出展報告・準備など検証・広報・その他:今後の方針に関する検討や広報活動など
プロダクト関連
Hapbeat SDK 開発

先月に引き続き開発を進めてきた SDK が、だいぶ実用的になってきました。構成は大きく、Hapbeat 側の設定や振動波形を組み込む「Studio」と、イベントと触覚を紐づける「Unity SDK」に分かれます。
Studio 側は Windows と Mac の両対応を容易にするため、UI はブラウザをメインとし、ブラウザが扱えない低レベルネットワーク機能(mDNS 発見・UDP 送信・TCP ソケット)を常駐サービス(Daemon)である Helper で補う形にしています。Studio (Web) からの WebSocket リクエストを受けて、Helper が PC のネットワークスタックを使って Hapbeat デバイスと通信する流れです。
公開に伴い、試用キャンペーン(無償で無線版 Hapbeat を長期貸し出し、条件を満たせば無線版 Hapbeat をプレゼント)も予定しています。5月中旬ころを予定していますので、ご興味あればぜひ Hapbeat X アカウントをフォローしてください!

左下:デバイスの設定画面/右下:ドキュメントサイト見本
SDK 活用:Unity Hands Interaction Demo への触覚実装

左下:SDK Event map/右下:コンポーネント例
SDK の使い勝手を検証することを主目的に、XR Interaction Toolkit (XRI) の Hands Interaction Demo をベースに、ロジックには手を加えず触覚イベントのみを適用する形でデモを構築しました。
このサンプルシーンを選んだ理由は二つあります。
一つ目は、VR HMD(Quest 3S)にインストールしたアプリから Hapbeat と通信できることを示すため。
二つ目は、LBE(Location Based Entertainment)用途への提案です。LBE ではユーザーがコントローラを持たないケースが多く、その場合、本来コントローラから得られていた触覚フィードバックが失われます。Hapbeat はその代替手段になりえる、ということを伝える実用的なデモという位置づけです。
実装した触覚フィードバックの種類:
$$
\def\arraystretch{1.4}\begin{array}{ll}
\text{インタラクション} & \text{触覚設計} \cr \hline
\text{Grab(掴む)} & \text{掴む&離す瞬間に短い衝撃} \cr
& \text{$\to$ 保持中は重さに応じた振動を再生} \cr
&\ast \text{重いほど低周波、重力なし=振動なし} \cr
\text{Snap(スナップ)} & \text{Grab と区別する高めの周波数の振動} \cr
\text{クリック(平面 UI)} & \text{軽めのクリック感} \cr
\text{クリック(3D UI)} & \text{やや重めのクリック感} \cr
\text{スクロール/スライダー} & \text{一定の値ごとにカチカチ感} \cr
\text{ボタン押し込み} & \text{押し込み具合によって振動強度を変化} \cr
\text{オブジェクト擦り} & \text{擦り移動の速さに応じて振動強度を変化} \cr
\end{array}
$$
このデモは今後も積極的に展示していきます。規約上サンプルシーン自体を GitHub などで配布することはできませんが、SDK の EventMap や振動波形の配布は可能なので、以下の手順で手元で試せるように準備を進めていきます。
Package Manager から XRI と HandDemo シーンを入れる
Hapbeat Unity SDK を入れる
Hapbeat → Samples → "Augment XRI HandDemo with Haptics" をクリック(名称は変わる可能性あり)
余談ですが、Unity 開発において、Claude Code にシーンを丸ごと生成させようとするのは思うように進まない、という知見を得ました。コライダー設定が抜け落ちたり状態が戻ったりするためです。「シーンは人間が作り、ツール・コンポーネント制作やロジック付与、検索・解析の補助に AI を使う」というスタンスのほうが、安定して開発を前に進められると感じています。
Bluetooth 版 — LE Audio (Auracast) 受信検証

右:使用イメージ
3月に基板動作確認まで終えた Bluetooth(以後、BT)版は、4月に Auracast(LE Audio の放送機能)を含めた基本的な接続処理および簡易的な EQ 切り替え機能を搭載し、デモとして使える状態になりました。
これまで開発ボードレベルでは Auracast 受信を確認できていましたが、市販品での動作確認はできていませんでした。せっかく LE Audio 対応の BT モジュールを使っているからには、フルワイヤレスイヤホン+Hapbeat という理想的な構成で体験したかったというのが今回の動機です。
結論から言うと実現できました(冒頭図)。ただし、iOS は LE Audio 非対応のため Auracast 放送を直接送信することはできません(OS としての Auracast アシスタント機能も持ちません)。そのため、まず送信機を選ぶことから始めました。いろいろ調べた結果、接続性に定評がある FLOOGOO FMA121 という Auracast 送信機ドングルを購入し検証しました。PC アプリで細かく設定変更ができるほか、サポート対応が活発でドキュメントがしっかりしている点が決め手です。
試しにHapbeatと接続しましたが、あっさりと上手くいきました。
一方、Auracast 対応のヘッドホン探しは手間がかかりました。まず「LE Audio 対応」と「Auracast 対応」は一対一に対応しません。LE Audio には大きく CIS(1:1、現行 BT に近い接続形式)と BIS(1:n、Auracast に対応)があり、CIS のみに対応している製品もあるためです。
加えて、私の手元に LE Audio 対応のスマホがないこともネックでした。iOS が LE Audio 非対応であることは広く知られていますが、Auracast アシスタント(接続制御のリモコン役)はイヤホン側のアプリが BLE コマンドを送る仕組みでも実装可能なため、Sony や Sennheiser など LE Audio 対応を公式に謳うイヤホンであれば原理上は使えるはずです。しかし、実際にはそう簡単にはいきませんでした。
例えば Sony WF-1000XM5 を iOS で接続すると、アプリ上で表示されるコーデックが AAC になり、LE Audio 関連の項目が表示されません。LE Audio 対応スマホであれば事情は違うかもしれませんが、検証のためだけにスマホを買うのは避けたいところでした(最安で Pixel 9a あたりです)。
このような制約があるため、実機で試すまではイヤホンを安心して購入できませんでした。最終的に iOS 環境でも接続できたのは Technics EAH-AZ100 だけでした。下図のとおり、設定画面に LE Audio/Auracast が明示されておりしっかり接続できるという安心感があります。

実際に試したところ、普段の Bluetooth と遜色ない品質で利用でき、時間同期も問題ありません。
とはいえ現状では、LE Audio および Auracast 関連は市場製品への導入が着実に進んでいるものの、実用面では環境・機種依存の制約が多く、使用感としても試験段階の域を出ない印象です(LE Audio 接続モードにするために一度ペアリングを解除する必要があるなど)。
正直なところ、BLE ライセンス費用の問題(これが一番のネック)も含めて、現状の環境で BT モデルを発売してもリターンが見込めるかは自信がないというのが本音です。Hapbeat SDK を開発する中で、Wi-Fi が使える環境であれば BT 版でできることはすべてできるという感触も得られています。Wi-Fi 版は販売面の制約もないため、当面は現状の無線版(Wi-Fi 版)のブラッシュアップを優先する方針です。
それでも、LE Audio & Auracast でちゃんと動作することを確認できたのは大きな収穫ですし、開発を通して DSP の扱い方の知見も得られました。Hapbeat の将来的な体験の選択肢として、こちらも今後のデモで積極的に展示していきます。
イベント関連
LODGE XR Talk Vol.38(4/22)

LODGE XR Talk Vol.38 にて、Hapbeat SDK の初公開デモを行いました。今回展示した内容は以下のとおりです。
Hand Interaction Demo(SDK)— Unity + Quest 3S でのハンドトラッキング触覚体験(本記事のもの)
Duo 2 + タブレット(従来の音楽+ゲームのデモ)
FPS Shooter デモ(旧版)
ESPNOW ストリーミング
Duo BT デモ(Bluetooth 版プロトタイプ)
SDK を使ったデモを初めて実際の来場者に体験いただき、スマートグラス回であったにも関わらず、良い反応をたくさんいただき手応えを確認できました。また、普段あまり VR HMD を使ったデモを行ってこなかったため、映像キャスト用の大きめのタブレットがあると便利だと感じました。次回から持っていこうと思います。
5月の LODGE XR Talk にも出展予定です。
5月の予定
Hapbeat SDK 公開(開発者向け Beta)
無線版 Hapbeat 試用キャンペーンの実施
LODGE XR Talk 出展予定
ここまでお読みいただきありがとうございます。少しでもご興味をお持ちいただけましたら Hapbeat X アカウントをフォローいただいたり、この記事を SNS 等でシェアしていただけると嬉しいです!
まだ Hapbeat を未体験の方は、ぜひレンタルをお試しください!
法人のお客様も大歓迎です!Hapbeat の試用・ご購入、イベント活用、その他 Hapbeat に限らず触覚技術の活用にご興味がある場合はぜひ下記フォームよりご相談ください!
