天国の美しい三羽の鳥
Trois beaux oiseaux du Paradis,
(Mon ami z-il est à la guerre)
Trois beaux oiseaux du Paradis
Ont passé par ici.
Le premier était plus bleu que ciel,
(Mon ami z-il est à la guerre)
Le second était couleur de neige,
Le troisième rouge vermeil.
Beaux oiselets du Paradis,
(Mon ami z-il est à la guerre)
Beaux oiselets du Paradis,
Qu’apportez par ici?”
J’apporte un regard couleur d’azur
(Ton ami z-il est à la guerre)
Et moi,sur beau front couleur de neige,
Un baiser dois mettre,encore plus pur.”
Oiseau vermeil du Paradis,
(Mon ami z-il est à la guerre)
Oiseau vermeil du Paradis,
Que portez vous ainsi?
Un joli coeur tout cramoisi.”
(Ton ami z-il est à la guerre)
Ah! je sens mon coeur qui froidit...
Emportez-le aussi.”
ラヴェル (Maurice Ravel,1875-1937)
天国の美しい三羽の鳥たちが
私の友は戦場にいる
天国の美しい三羽の鳥たちが
この場所に寄った
1番目の鳥は空よりも青く
私の友は戦場にいる
2番目の鳥は雪のように白く
3番目の鳥は赤く鮮やかだった
「天国の美しい小鳥たちよ
私の友は戦場にいる
天国の美しい小鳥たちよ
ここから何を持っていくのか?」
11月6日
私は初台のオペラシティを訪れた。
ナタリー・デセイとフィリップ・カサールのデュオコンサートを聴くためだ。
私にとって、3年ぶり2度目のデュオコンサート。引退ツアーと銘打たれていて、この形での来日は今回が最後らしい。
コントロールされた歌声、素晴らしいpp…!
モーツァルトから始まり、フランス歌曲に、最後には英語でミュージカルの楽曲を歌う。コンサート冒頭ではカサールとピアノを弾いてみたり、合間に英語でのMCが挟まれたり、今のデセイを全身で浴びた。そして、3年前衝撃を受けた「モンテカルロの女」も再び聴ける日が来るとは。やはりデセイは歌う役者だと改めて実感した。
素晴らしい音楽の時間のその中でも、私の心を掴み離さない楽曲があった。
“Trois beaux oiseaux du Paradis”
静かなピアノの音の上に、デセイの澄んだ歌声が重なる。
“(Mon ami z-il est à la guerre)”
まるで教会で聴いているかのような静謐な音楽。祈りのうただと思った。
「Trois beaux oiseaux du Paradis」
天国の三羽の美しい鳥
解説を読むと第一次世界大戦のさなかに作られた楽曲らしい。作曲者のラヴェルはこの大戦にトラック輸送兵として参戦していた。
「私は群青のまなざしを持っていこう
君の友は戦場にいる
ならば私は、雪のように白く美しい額に
口づけをよりいっそう無垢に際立たせよう」
私の父は病院にいる。
家に帰ってくることを祈っている。
「天国の鮮やかな赤い鳥よ
君の友は戦場にいる
天国の鮮やかな赤い鳥よ
そこに何を抱えているのか?」
私の父は病院にいる。
家に帰ってくることを祈っている。
でも、以前の日常が戻ってこないことも分かっている。
手足がようやく動くようになっても、しゃべれるようになっても、ひとりでは立てない歩けない、食事もできない。たくさんの介助が必要。介護、これが現実だ。
「真っ赤に染まる綺麗な心臓を
君の友は戦場にいる
あぁ 私の心臓が冷たくなっていく…
この心臓も持ち去ってくれ」
私の父はまだ病院にいる。
家に帰ってくることを祈っている。
それでも、あの日どうすればよかったのかと考える。選択は正しかったのかと、考えるが答えはない。
降りかかる現実にひとつ、ひとつ向き合っていく他はない。
天国の美しい三羽の鳥よ。
どうか、私の心も持ち去って。
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最後までお読みいただきありがとうございます。娘のおやつ代にさせていただきます…!