何故なら、僕はベロアシャツを着ているからである。
全く似合っていないベロアシャツが風に靡いている。風に靡くと聞くとどうも爽やかな印象を受けるが、全くそんなことは無い。何故なら、僕はベロアシャツを着ているからである。
大聖堂にパイプオルガンの重低音が響き渡る。数の知れない肉体が斉しく聖母マリアに祈りを捧げているが、俺は祈らない。何故なら、俺は無神論者だからである。
青空いっぱいに人煙がこびりつく。皆が口いっぱいに肉を頬張るから私も模倣して頬張るが、頬が落ちるどころか頬から落ちた。何故なら、
何故なら、何故なら、、
君は言った。
「子供がいるから離婚しないは親のエゴだ。」
君も言った。
「子供がいるから離婚しないは親の愛だ。」
君と言った。
「エゴは私だ。」 「愛は私だ。」
僕を殺したのは俺と私。
俺を殺したのは私と僕。
私を殺したのは僕と俺。
死んでいるのに殺しきれないこの思いを抱えながら死んでいて、生きている。
まるでベロアシャツの明暗の様に。
