【男性不妊(無精子症 × TESE2回の失敗実録)】──告知、崩壊、手術、喪失、そして“希望”へ至るまで──
■プロローグ
医師の口から発せられた言葉は、今も胸の奥で鈍く響いている。「残念ながら、いませんでした」。ただ、それだけだった。だが、その一言で世界の色が消えた。“自分は種無し。人間として終わった。”そんな言葉が脳内で暴れ続けた。しかし検査室を出た瞬間、世界は何事もなかったように動いている。駅に向かう人の流れ、店の明かり、車の音。自分だけが立ち止まったまま、世界から取り残されていく感覚だけが残った。
■1|無精子症の告知
最初の精液検査は2022年。妊活がうまくいかず、妻が先に検査を受けたが異常なし。では自分はどうなのか。軽い気持ちで受けた検査のはずが、医師は淡々と伝えた。
> 「残念ながら、いませんでした」
その後の説明は覚えていない。頭が真っ白のまま歩いた帰り道だけが異様に長かった。
■2|告知直後の精神状態
こんなにも簡単に、人の思考は壊れるのか。
種無し、不完全、人間失格、価値がない──そんな言葉が永遠にループした。それでも身体だけは勝手に日常をこなす。食事をし、寝て、出勤し、仕事をする。
当時の職場は裁判所。静かで人間関係のストレスも少なかった。だからこそ、外側の静けさと内側の崩壊の落差が痛かった。
■3|前妻との関係
告知直後、前妻は「2人で生きていこうよ。子どもがいなくてもいいよ」と言ってくれた。あの優しさに勝る言葉は、他にないと思う。しかし自分は壊れていた。酒に逃げ、平日は缶ビール6本、休日は朝から飲む生活に。前妻は心から心配していたが、当時の自分には届かなかった。
そして離婚。前妻は最後まで「私は別れない」と言い続けていた。人生で最も取り返しのつかない罪だと思っている。
■4|初回TESEへ
「治療に踏み出す」という決断は、人生の大きな転換点だった。
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(初回TESEの“手術室に入る直前”から先を収録。実名で病院、医師名掲載します)
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