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皮膚呼吸ができなくなったあの日。

夏ってあたたかいイメージ。

心もぽかぽかする。

ある夏の日、私はサッカーのワールドカップ・ブラジル戦を見るために、深夜1時55分にアラームをセットして眠りについた。ハイボールを飲んだせいか、その日は夜の22時には爆睡していた。そしてアラームの音とともに目を覚まし、布団をキックしてベッドから起き上がる。そのまま、そそくさとテレビのある部屋へと駆け上がった。

キックオフは午前2時からだ。試合が始まるまで少し時間があったので、なんとなくスマホを眺めていると、一つの質問がたまたま、目に飛び込んできた。まさにサッカーだけに球球(たまたま)だった。


「教えて!あなたの夏の思い出」


なんとなくスクロールしていた指が、ぴたりと止まる。

「夏の思い出か……。」そういえば去年は、切ってみたら真っ白なスイカが採れた。今年は赤いスイカで夏を終えられるといいな。

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【関連記事:スイカにわくわくしてた去年の夏】


夏の思い出を聞かれると、答えは海や花火か。深夜のドライブも最高だな。けれど、その言葉を見た瞬間、誰も笛を吹いていないのに、脳内では記憶のキックオフが始まっていた。

テーブルの上には、飲みかけの麦茶の入ったガラスのコップと、コンビニでもらった割り箸が転がっている────といえば生活感があって雰囲気も出るかもしれないが、残念ながらうちのテーブルにはそんな気の利いたものは置いてない。

足元では小さな扇風機が、弱い風を同じ場所に送り続けていた────といえば小説の冒頭のようで、風情があっていいが、その日は台風が通り過ぎたあとで、そこまで暑くない。

窓際には洗い終えたタオルが干してあって、どこか湿った熱気だけが部屋に漂っている────といえば、世にも奇妙な物語のようで雰囲気が出るけど、そんなこともない。

せっかく思い出すなら、あの頃の空気まで一緒に引きずり出してみたい。そう思って記憶をたどり始めると、忘れたはずの景色が、ひとつ、またひとつと浮かび上がってきた。

それはどれも、なんか二の腕の辺りがヒリヒリする思い出ばかりだった。


そんなこんなで、私を含めた男1人だけの物語が始まる。────「教えて!あなたの夏の思い出」

夏と聞いて思い出すのは、青い海でも、花火でもなかった。真っ先に浮かんだのは、シャワーが地獄だったこと。ここだけ聞いたら、「なんそれ!?」となるでしょう。

毎年のように日焼けをしすぎて、肌がヒリヒリ。
当時の私は、肌を焼くのがカッコイイと思っていた。

海で思いきり日焼けをして、家に帰って、シャワーを浴びる。
身体にお湯が当たるたびに────「痛っ!!」と、一人で大騒ぎしていた。だからシャワーを浴びるのが苦痛で仕方なかった。それなのに、その痛みさえ、夏を全力で遊んだ証拠のような気もして、どこか生き甲斐すら感じていた。日焼けでめくれていく皮膚を見ていると、自分が少しずつ孵化しているようで、何故か心地よかった。

あれだけ海ではしゃいでいたのに、夜になると急に現実が襲ってくる。お肌へのダメージが一気に押し寄せてくる。当時の私はお肌のシミなんてまったく気にしていなかった。裸の王様のように、「自分だけは大丈夫」と思い込みながら暮らしていた。


昼の自分は、
「海に入るより日焼けしたい。」
(なんかカッコイイ気がしてたから)

夜の自分は、
「あんなに焼かなきゃよかった…」
(この痛さが最高なんだよ、と強がっていた)

20代の頃は、よく海へ行っていた。

砂浜では埋められたし、埋めた。
「埋めよう」と言わずに、無言のまま、イマはもう結婚して遠くへ行ってしまった友達を埋め出す。よく怒られた。

理由はない。人間はたぶん、意味がないことほど本気になれる。埋められている本人も笑っているし、埋めている側も笑っている。冷静に見ると、なかなか狂気じみた光景だ。誰も得していないのに、最高な瞬間だった。


夜になると、花火を楽しんだ。
線香花火で戦ったあの日。花火で文字にならない文字を書いていた。

あの小さな火に、なぜか全力で感情移入してしまう。
なぜか『♡』とか、当時付き合ってた子の名前を何もない暗闇の中に、自分の才能を無駄に発揮して、描いていた。私は臆病者なのに、そんな変なことに何の抵抗感もない変わり者。



イマ思えば、花火を見ていたというより、あの時間そのものを楽しんでいたんだろうな。打ち上げ花火だって、口では「めちゃくちゃ綺麗。」って言ってるけど、心の中には常に皆がいた。


そういえば、水族館にもよく行っていた。外は灼熱、中は別世界。涼しい。魚相手なら、私の眼力で目を逸らさせられると本気で思っていた。

クラゲを見て、
「シャキッとせい!!」

魚を見て、
「俺の眼力に目を逸らしたなコノヤロー。」

暑さでこちらの思考も少し溶けていた。ぐにゃぐにゃにバグってた。


スイカ割りだけは、一度もやったことがない。夏の定番なのに、なぜか経験がない。人生の中で経験することはあるのだろうか。

でも会社では、よくスイカを食べていた。社会人になると効率が優先される。だから、わざわざ目隠しなんてしない。非効率な夢より、現実的な時短。

少しだけ大人になった気がしたあの夏の日。


こうして振り返ると、夏の思い出って、大きな出来事ではなかった。

肌が痛かった、海で笑った、砂に埋まった、花火で描いた、寿司を思い出す水族館、会社で食べたスイカ、真夜中のドライブ、真っ白なスイカ。
そういえば、倖田來未のライブも楽しかったな。


どれも一つひとつは小さな出来事なのに、全部が繋がって、「夏」という一つの記憶になっている。

夏は、かき氷で涼むよりも、誰かと笑いあっている時間のほうが、心を涼しくしてくれるのかもしれない。

全部混ぜる。


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のぞみんさんの企画に参加させていただいています。🍉🍉🍉

今日も読んでいただきありがとうございます。

では、また次の記事で。
素敵な一日を。

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