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【なつかしアニメ】 メガゾーン23 PARTⅡ 秘密く・だ・さ・い

公開:1986年
監督:板野一郎
キャラクターデザイン:梅津泰臣、美樹本晴彦
メカニックデザイン:荒牧伸志
制作:アートランド、アートミック

今回は1980年代後半に展開されたOVA『メガゾーン23』を、特に筆者の好きなPART Ⅱを軸として振り返りたい。


『マトリックス』の先駆?


SFアニメ史における位置付けとしては『超時空要塞マクロス』(1982年)の流れを汲む作品と捉えられるが、いわゆる『超時空シリーズ』とは一線を画した独自のファン層を獲得し、商業的にも当時のOVAブームの波に乗って成功した。

特筆すべき設定として、主人公たちの住む1980年代の東京が実は巨大な宇宙船の中に再現されたモデルシティであり、しかし彼らはそのことを知らずに日常を謳歌している・・・というもの。

マトリックス』にも通じる世界観だが、やはりこの手の"仮想モノ"は古来からSFコンテンツにおいて一定の人気があるように思える。

本作ではその事実が最後のどんでん返しとしてではなく、PART Ⅰの中盤で明かされる。
そして主人公たちは体制に反抗し、さらには外の敵と戦うことに・・・ありきたりにも思える筋書きだが、一方で活力を感じさせる、80年代を彩ったSF名作群の一員だ。


『ゴッドファーザー』のような三部作の評価


  • メガゾーン23』(1985年)

  • メガゾーン23 PART Ⅱ 秘密く・だ・さ・い』(1986年)

  • MEGAZONE23 III』(1989年)

このようなシリーズ構成となっているが、『Ⅰ』と『Ⅱ』が連続した内容であるのに対し、『Ⅲ』はその数百年後と時系列に大きな開きがある。

そのためか、作品ごとに画(え)のデザインが大きく異なることも相まって『Ⅲ』の評価は『Ⅰ』『Ⅱ』と比して芳しくないように思われ、シリーズのファンとしても「『メガゾーン』はやはり最初の二本」という声が多いのではなかろうか。まるで『ゴッドファーザー』のように。

筆者オススメの『Ⅱ』は遠い未来の物語でありながら、どこか80年代を思わせるようなアメリカンテイストが魅力で、特に前半はそれが顕著。
ただしこれは好き嫌いが分かれる要素でもあり、ファンの中にはやはり美樹本色の濃い『Ⅰ』が本家という方も多いだろう。


"始祖の虚人"時祭イヴ


本シリーズから生まれた最大のアイコン、それは間違いなく『時祭イヴ』だろう。

作品世界で絶大な人気を誇るアイドルだが、正体は支配コンピュータが創造した架空の美少女。
だがその存在感は強烈で、プログラムとは思えない人間じみた性格で主人公たちを導く姿は間違いなくシリーズが人気を博す原動力となった。

ところで、本三部作は上述のようにキャラクターデザインの統一性が大きく欠如していることで有名だが、それをイブの造形を通して比べてみよう。

『メガゾーン23』(1985年)

シリーズ全体のコンセプト人物像は美少女デザインの大家・美樹本晴彦が統括し、それを元に『Ⅰ』では平野俊弘が担当。
この時点では美樹本得意の"儚さ"が忠実に再現されており、氏のファンにとっても受け入れやすい出来栄えだったのではないか。

『メガゾーン23 PART Ⅱ 秘密く・だ・さ・い』(1986年)

それが『Ⅱ』では一転、アニメ界の奇才・梅津泰臣にバトンが渡ると、美樹本色は一気に褪せてしまい、かなりエッジの効いた洋風スタイルへと変貌。

特に主人公の矢作省吾は完全に別人と化しており、この急激な変化は『Ⅰ』で獲得したファンを大いに戸惑わせたことだろう。
イヴの雰囲気もかなり大人びたものとなった。

無論、筆者のような梅津ファンにとっては氏のテイストを味わえる貴重な機会であることも事実なのだが。

『MEGAZONE23 III』(1989年)

そして時代設定が大きく下った『Ⅲ』。
ここでは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などでお馴染みの北爪宏幸がデザインを担当。
やはり『Ⅰ』にも『Ⅱ』にも似つかない北爪色が存分に発揮されており、イブに至っては前二作の面影は全くない。

マクロスPLUS』のシャロン・アップル同様、「バーチャルアイドルなのだから」という理由で納得できれば幸せだろうが、本編の途中で居眠りしてしまった当時の視聴者の中には同一人物と気づかなかった者もいたのでは・・・そう心配してしまうのは筆者だけだろうか?

ともあれ、その多彩な風貌と表情で観手を魅了したイヴの功績は大きく、当時の潮流「SFアニメ×美少女」というフォーミュラをさらに加速させる結果となった。

梅津泰臣の流麗な世界


では本頁の核心、梅津泰臣の作品像とは?

アニメーションでありながら瞬間のひとコマが絵画のような美しさで、その特長は他作品でも発揮されている。

代表作は監督を務めた『MEZZO』や『KITE LIBELATOR』が挙げられるのだろうが、筆者が最もオススメしたいのが1987年に発表されたオムニバスOVA『ロボットカーニバル』に収録されている『プレゼンス』だ。

わずか20分ほどの短編作品だが、とにかく美しい。
描き込みも細部まで容赦なく、髪の毛の一本一本まで、まるで命が宿っているかのように生き生きと波打っているのだ。

『プレゼンス』

セルアニメだからこそ実現可能な精密表現で、現在のデジタル編集、特にCG造形ではとてもじゃないが再現できない"ロストテクノロジー"の域に達しており、おそらく数年以内に本格化するであろうAIアニメがこのレベルの作品を作れるのか・・・注目している次第だ。

一時はDVDが2万円近くまで高騰した『メガゾーン23』。
その後Blu-rayが発売されて価格も落ち着き、現在ではサブスクも配信されて安価に鑑賞できる状況に。

80年代OVAの輝きを味わってみてはいかがだろうか。

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