短編小説「スワンプマン」
スワンプマン
事故が頻繁に起こる危険な工事現場で無茶な働き方をしてるけど、おれはスワンプボックスを持ってるから平気だ。死ぬのなんてこわくない。頭の上にふよふよ浮いている十センチ四方の箱を撫でてやる。
スワンプボックスは不死のための機械だ。常に所有者のそばで、こうして所有者の見聞きしたことや考えたことを、再生センターのバックアップ用クローンである「スワンプマン」に送り続けている。もしおれが死んだり、再生不能なくらいの傷を負ったりした時は、その時点の「おれの全情報」が、おれ専用のクローンに送り込まれ、「新しいおれ」がはじまるってわけだ。 価格は目玉が飛び出るほど高かったけど、こうして稼ぎのいい現場で働けるんだから、何百回のローンだってなんでもない。何だってできる。
三日徹夜してエナジードリンクばっかり飲んで命綱なしで鉄骨を組んでいたら、四階から落ちて腰骨が砕けた。でもおれは平気だ。スワンプボックスが真っ赤に光って「新しいおれ」のスタートを知らせてくる。
スワンプボックスが人工音声でおれに告げた。
――スワンプマンが起動するため、コピー元を消去します。
よし、説明書き通りだ。プロセスは正常に進行している。
おれは笑った。
ほら見ろ。おれは死な
※涌井の創作小説です。
