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『華のないふたり』

「君たち。おい、君たちだよ。そう、そこの華のないふたり。良かったら私のところに来ないか?」

僕たちは、施設育ちだった。早くに親を亡くしたから…というわけではないのだろうが、僕たち兄妹には圧倒的に華がなかった。いや、華がないなんて可愛いものではなく、存在感が全くなかったのだ。

もしかしたら、両親は僕たちを愛してくれていたかもしれないが、僕たちにはほとんどその記憶はなく、唯一僕たちの存在を認識してくれていた、孤児院の園長にしても、点呼した時、その数が足りているかどうかで確認できる程度でしかなかった。

それなのに、あの人は僕たち兄妹を“華がない”ということも含めて、その存在を認識してくれた。
それが嬉しくて、僕と妹は声をかけてくれたあの人の家で過ごすことにした。

「お兄ちゃん、今よ」

インカムから聞こえる妹の声に即座に反応した僕は、素早く標的に近づき確実に息の根を止める。

「任務完了」

僕たちは今、殺し屋として生きている。
あの人に引き取られた後、様々な訓練をさせられた。中には思い出すだけでも苦痛を伴うような訓練もあった。
めげそうになる僕たちに、あの人はいつも優しく声を掛ける。

「君たちほど華のないふたりはいない。その存在感のなさは、この業界にとっては貴重だ。君たちは、いずれ伝説になる」

本当に華のない僕たちでも伝説になれるのだろうか?

そんな事を考えながら、今日も誰に見咎められることもなく、標的の要人にひっそりと近づき仕事をこなす。


今回も参加させていただきました。
#アマノ文筆クラブ

“華がない”でイッチバン最初に浮かんだのは、M-1で優勝したのに、華がなくていまいち売れきらなった芸人さんコンビでした(笑)
が、私には芸人さんの世界観を書き切ることはできないなって思って、脳内で即却下した後に浮かんだのが、
『華がない(=存在感がない)なら、暗殺者に向いてるよね』
っていう、なんともアブノーマルな考え🤣

でも、そもそも華がないって何?
『華のない=存在感がない』は、成立する🤔っ思って、調べてみると同一ではないにしても、意味合いとしては遠くないってことだったので、その線で話を組み立てていきました。
物語に出てくる兄妹は、甘野さんが描かれた(今回私も使わせていただいた)表紙のイラストの二人なんですよね。
なんか、映画『誰も知らない』みたいな。まぁ、見るのしんどそうで、未だに見てないですが😅でも、私の中の誰も知らないの世界観が、そこにあって。
今回のストーリーも、長編になるときっと兄妹は、世間には幸せと言われるような描写にはならないだろうし、殺し屋となった後も、果たして伝説になるのか。もし、伝説となった時、彼らは満たされるのか。
そもそも、私はこの続きを書くのか🤣
おっと…。作品部分よりあとがきが長くなってしまいましたが😅

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