二度目の春
♪仰げば尊し 我が師の恩
この季節を迎えるのは、今年でもう二度目。
私は、窓から入る心地良い風に吹かれながら、かつて卒業式のテーマソングだった歌を口ずさんだ。
「本当に、いいのか?後悔はしないか?」
あなたは、鏡の中の私に、そうやって何度も問いかけた。
「絶対後悔なんてしない」
私の決意は頑なで、あなたに強い眼差しを向けて誓った。
それなのに……。
「あら、何?しんみりしちゃってんの?これからオープンなんだから気合入れていきなさいよ」
屈強なママの腕が、私の肩に『バシン』とエールを送る。
「いったー!ちょっとママ、男の部分出てるから!」
「なぁに、美鈴ちゃん。あんたがまた、おセンチになってるから、戻してあげたんじゃない!ひどい言い草ね!」
私達のやり取りに、他の子達も、クスクスと笑い出す。
そうね。私らしく生きるって決めたのは、私。
私は、涙の跡に新たなファンデーションを塗る。
鏡の中の“あなた”は、もう何も言わない。
ドレスの裾を整え、控え室をあとにした。
今回は、なみあさむさんの企画に参加させていただきました🥰
いつもは、ヌメッとした作品ばかり書いている私ですが、春らしく、今回は割と軽やかな雰囲気で書けたのではないでしょうか🤔
