失恋再生工場
【プロローグ】
『恋愛が成就するかどうかは、キューピッドがどれだけ自分の心にピッタリな矢を放つかどうかにかかっている』
by とある恋愛マスター
***
夜の公園。潮が引くように、周囲の喧騒が遠ざかっていく。シンと静まり返った空気の中で、タケシは冷たいブランコに座り、ガックリと項垂れていた。
「はぁ。今度こそ付き合えると思ってたんだけどなぁ」
飲み会で出会って、いい雰囲気になった彼女に、今日、思い切って告白をした。
「何なんだよ。“私、タケシ君とはいい友達でいたいと思うの”って。じゃあ、なんであんなに……。ああ、でも、俺がダメだったんだ。何度かあった、告白する絶好のチャンスで、怖くて踏み出せなかったから。くっそー。だとしても…あの女にいいように使われた気がしないでもない。……もう、恋愛なんてこりごりだ!」
タケシは、誰もいない事を確かめ、大声で叫んだ。と同時に、彼の胸から鉛のように重く、鈍くくすんだ矢が一本、音もなく抜け落ち、夜空へ向かってゆっくりと昇っていった。
【天界より地上を視察するキューピッド】
「あー、今、あの子の中から、ゴトリと矢が落ちた。見事なまでに、ぽっかりと心に穴が空いちゃってるよ」
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