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身から出たさび

残暑の午後でした。

強い日差しで熱せられたアスファルトは、体を横たえるにはあまりにも熱く、とがって硬いものでした。

痛い。
熱い。
息ができない。

それでも、どうすることもできませんでした。

医師である私は、患者さんに何度も言ってきました。

「体の異変を放置してはいけません」
「無理をせず、早めに受診してください」
「症状が強いときには、救急車を呼んでください」

けれど、そのときの私は、救急車を呼ぶことさえできませんでした。

携帯電話を取り出す力も残っていませんでした。
身から出た錆(さび)というべき自分の状態を恨めしく感じながら
まさに八方塞がりでした。

人は本当に限界を超えると、自分で助けを求めることすらできなくなる。
私は、熱いアスファルトの上で、初めてそのことを知りました。

「誰か、気づいて」
声にならない声で、そう願いました。

けれど、駐車場は静まり返っていました。

もし、このまま誰にも見つけてもらえなかったら。
そんな考えが、一瞬だけ頭をよぎりました。

怖いと思う余裕さえ、もうありませんでした。
ただ、呼吸を続けることだけで精一杯でした。

からだに重大事件が起きている。

日本酒を5合、朝はドーナツ2個、つまみにポテトチップス毎晩1袋
こんな生活を続けて、身体によいわけがないのです。

症状がないから、大丈夫だろう。
いつもと同じ明日が来ると健康であることのありがたみを忘れていました。

自分は病気を治す人。病気になるわけがない。

ここでもアインシュタインの名言が登場します。
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」

自業自得。身体が耐えきれないところまで来てしまったのです。

まさに「身から出たさび」でした

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