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ひとりの患者になりました

入院が決まり、私は病室へ運ばれました。

白衣を着て働く側ではなく、病衣を着て治療を受ける側になりました。

検査値の意味も、治療の必要性も、ある程度は理解できます。
けれど、知識があるから不安が消えるわけではありません。

むしろ、悪い可能性まで想像できるぶん、怖くなることもあります。

自分はどうなるのだろう。
いつ退院できるのだろう。
娘たちのところへ戻れるのだろうか。
仕事は続けられるのだろうか。

そして何より、

「なぜ、こんなことになったのだろう」

と考えました。

けれど、答えはすぐ近くにありました。

お酒を飲み、毎日ポテトチップスを食べ、ドーナツが主食だったこと。

特に救急車で運ばれる前の1週間は
朝ドーナツ2個を食べながら家族の朝食づくり、
子どもにご飯を食べさせて身支度しているともう出発する時間です。
ドーナツだけが朝ごはんでした。

昼ご飯は職場近くの食堂で。
これが唯一のバランスの取れた食事のはずでした。
しかし選ぶメニューはラーメンチャーハンか、カツカレー。
注文するとすぐに配膳され、短時間で食べ終われるからです。

ドーナツ2個食べながら夕食の支度。一旦、お腹いっぱいです。
子どもにご飯を食べさせて、お風呂に入れて、絵本を読み聞かせて、子どもも遊びに付き合って。

子どもが寝た頃、お腹がすいてきます。それから、日本酒とポテトチップスで至福の時。

眠らずに仕事をし、家では母親として踏ん張り、夫婦関係の苦しさを誰にも打ち明けなかったこと。

体の声を聞くより先に、やらなければならないことを優先してきたこと。

私は突然、病気になったのではありません。

少しずつ自分を後回しにし続け、その積み重ねが、ある日、限界を超えたのです。

あの日、救急治療室で告げられた「入院ですね」という言葉は、病気の診断であると同時に、私の生き方への強制停止命令でした。


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