散歩でリードをグイグイ引っ張って困るなら読んでほしい
散歩の時間は、本当は楽しみなはずだった。
家の中ではあんなに可愛いのに、リードをつけた瞬間からスイッチが入る。
玄関を出た途端、ぐいっ、と前に引かれる。
腕が伸びきって、肩が痛い。
「ちょっと待って」と声をかけても、まるで聞こえていないみたいに前へ前へ。
一日だけなら、まだ頑張れる。
でも散歩は、毎日のこと。
朝も、夕方も。
忙しい日も、疲れている日も。
雨の日だって、気分が落ち込んでいる日だって、散歩はやってくる。
周りの人の目も気になる。
「しつけできてないのかな」
「ちゃんと教えてないと思われてるかも」
そんなふうに勝手に想像して、胸がざわつく。
電柱を見つければ一直線。
犬を見つければ猛ダッシュ。
自分が散歩させているのか、散歩させられているのか分からなくなる。
本当は季節の匂いを一緒に感じながら、
「今日は気持ちいいね」なんて話しかけながら、
穏やかな時間を過ごしたいだけなのに。
でも現実は、常に綱引き状態。
散歩が近づくと、少し憂うつになる自分もいる。
どうして分かってくれないんだろう。
どうしてうまくいかないんだろう。
やり方が悪いのかな。
好きだからこそ、悩む。
大切だからこそ、落ち込む。
引っ張られるたびに、
腕だけじゃなくて、心も少しだけ引っ張られている。
中・大型犬ならリードを張る力は相当なものです。
女性の飼い主さんであれば、かなり苦労されていることでしょう。
犬がリードを引っ張るのは、反抗でも、わがままでもありません。
そして、あなたの努力が足りないからでもありません。
むしろ、大変な思いをしながらも、
雨の日も、疲れている日も、気持ちが乗らない日でさえ、
「行こうか」とリードを手に取る
あなたは、本当にすごい。
この記事は、
あなたの頑張りを否定するためではなく、
あなたを少しでも軽くするために書きました。
明日の散歩が、ほんの少しだけラクになるように。
「また引っ張られるかも」ではなく、
「今日は少し違うかもしれない」と思えるように。
その一歩を、一緒に作っていきましょう。
引っ張りには“理由”があります。
そして、理由があるということは、必ず「整え方」があるということです。
力で抑える方法でも、叱り続ける方法でもなく、
毎日の散歩が少しずつラクになっていく現実的な方法。
ここからは、現役のドッグトレーナーであり、これまで10数年に渡り数多くのご家族にアドバイスしてきた内容を、科学的なアプローチで犬の行動の仕組みを理解しながら、飼い主さんの心も守る具体的なステップをお伝えします。
まずはどこで?どんな状況で?から見てみよう
まずはリードを引っ張る理由を知るために、どんな場面でリードを引っ張っているか?
「あるある」で、飼い主さんからよくご相談いただくような場面をピックアップしてみます。
家を出る瞬間
・リードを見せた瞬間からジャンプして興奮
・ドアが開いた瞬間に体ごと前へダイブ
・マンションの廊下を全力疾走
・エレベーターのドアが開く前から引き始める
・階段を一段飛ばしで降りようとする
→ すでに“散歩=大興奮イベント”になっている状態。
電柱・草むらゾーン
・電柱を見つけた瞬間、一直線
・草むらに顔を突っ込み、引き戻そうとするとさらに踏ん張る
・匂いを追ってジグザグに進む
・他の犬のマーキングの上書きをしようと必死
・ゴミ袋に向かって急加速
→ 「そこに行けば何かある」
他の犬を見つけた瞬間
・犬を発見 → 体が前のめりに固まる
・そのままグイグイ一直線
・リードが張ると二足歩行になる
・相手が小型犬でも大型犬でも関係なく突進
・挨拶できないと地面をバタバタする
→ 興奮か不安かで意味がまったく違う。
人・子ども・自転車
・走っている子どもにロックオン
・自転車を追いかけようとする
・「かわいい〜」と声をかけられた瞬間ダッシュ
・コンビニ前で立ち止まる人に近づこうとする
・作業着の人や帽子の人だけに反応する
→ 予測不能な動きに反応する
目的地が近づいたとき
・いつもの公園が見えた瞬間に加速
・ドッグランの入り口で制御不能
・動物病院の前では逆方向に全力
・自宅が見えた瞬間、今度は帰宅ダッシュ
→ 「場所」が結びついている。
怖いものが出たとき
・バイク音で急に逆方向へ引っ張る
・工事現場を避けようと道路側へ
・カラスが飛び立ってパニック引き
・見知らぬ大型犬に会い、必死に逃げる
・雷や花火で家に戻ろうと全力
→ “近づきたい引っ張り”と“離れたい引っ張り”は別物。
行動には役割がある
先ほどあげた「リードを引っ張る」ような場面
ではなぜ犬が、そのような行動を取るのか?
それは、リードを引っ張ると、何かしら目的を果たすことができるからです。
つまり「行動には役割」があります。
まとめると、以下のようになる。
・匂い嗅ぎしたい
・歩きたい・走りたい
・チェックしたい
・外へのアクセス(環境の変化)が楽しい
・行きたい場所へいける
・その場所から逃げたい
・嫌なものを排除する
このように、行動をしたあとに
「得られる」or「避ける・退ける」
このどちらかの結果が起きています
まずは先に「得られる」ケースの場合から説明していきます。
これを知っておくと、対応方法が見えてくる
まずシンプルに
「行動」は繰り返すほど上手になります。
皆さんもそうですよね。スポーツでもなんでも、練習すると上手になります。
上手になった行動は、よりスムーズにできるようになり、頻度もたくさん起きるようになる。
行動を分解して見ると、以下のような流れになります
◽️「行動の直前」→→「行動」→→「行動の直後」
これをわかりやすく言うと
◽️「きっかけ」→→「行動」→→結果
つまり
◽️「いつ?」→→「何をして」→→どうなった
「行動の前(いつ)」「行動(何を)」「行動の後(どうなった)」の3つ並べたものを「三項随伴性(さんこうずいはんせい)」といいます。
先ほどのリードを引っ張るような場面にも当てはめてみましょう
玄関を飛び出すケース
いつどこで?【玄関】
⇩
行動は?【飛び出す】
⇩
結果は?【外に出る】
電柱に向かってリードを引っ張るケース
いつどこで【電柱が見える】
⇩
行動【引っ張る】
⇩
結果【電柱の匂いを得る】
このように、行動の結果「何かを得る」ことで、その行動が繰り返されることを応用行動分析では「正の強化」と呼びます。そして
・行動が増える・繰り返し起きることを「強化」といいます・
・強化子:行動を増やす、繰り返し起こす(維持する)ような刺激・出来事のことを「強化子(きょうかし)」といいます
つまり
電柱に向かってリードを引っ張る場合
◽️強化されている行動は:「リードを引っ張る」
◽️強化子は:「匂い」
「玄関を飛び出す」例では
◽️強化されている行動:「飛び出す」
◽️強化子:「外の匂い・景色・身体の動き」
このような分析になります。
どちらも正の強化で維持され、繰り返されてより上手になっている状態。
さて、ここからが本題ですよ
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