近いようで遠かった、ヨーロッパの話
結婚10年の記念に、
ヨーロッパへ行ってみたいと思っていました。
ただ、
当時の私にとって、
ヨーロッパは近いようで遠い国でした。
時間もかかる。
コストもかかる。
特にビジネスクラスは、
自分には関係ない世界だと思っていました。
でも、
調べていくうちに、
少し驚くことを知りました。
ビジネスクラスに乗っている人の約半分は、
ちゃんとお金を払って乗っているわけではなかったり、
ということです。
ファーストも似たようなものだったり。
最初は、
「どういうこと?」
と思いました。
でも実際に見ていくと、
ビジネスクラスに乗っている人の中には、
マイルを使っている人もかなりいる。
コツを身につけただけで、
それらを増やしている人がいる。
そして、使い方を知っている人がいる。
知らなかっただけで、
世界にはいろんな行き方があるのだと知りました。
もちろん、
最初から詳しかったわけではありません。
むしろ逆で、
何を見ればいいのかも、
よく分かっていませんでした。
でも、
少しずつ調べて、
試していくうちに、
「もしかすると、誰にでも余裕かも」
そんな感覚が出てきました。
そして気づけば、
旅の計画そのものが、
少しずつ楽しくなっていました。
新しいおもちゃです。
結果としてその旅は、
フランス、
ドイツ、
オーストリア、
イスラエル、
トルコ、
そして台湾を巡る、
2週間の旅になりました。
もちろん、
ビジネスクラスでした。
昔の自分からすると、
そんな旅は、
もっと特別な人がするものだと思っていました。
でも実際には、
知らなかっただけでした。
世界には、
知っている人が静かに使っている仕組みがある。
そして、
それを少しずつ楽しんでいくことで、
見える景色が変わっていく。
私は、
あの旅でそのことを納得した気がしています。
もちろん、
今振り返って強く残っているのは、
金額のことだけではありません。
パリの空気。
ミュンヘンの落ち着き。
ザルツブルグの静けさ。
エルサレムの独特な空気感。
イスタンブールの混ざり合う感じ。
そして、台北の親しみやすさ。
移動しながら、
ずっと二人で同じ景色を見ていたこと。
その時間が、
今でも静かに残っています。
たぶん私は、
ただ海外へ行きたかったわけではなく、
大切な人と、
普段と違う時間を過ごしたかったのだと思います。
今の自分が、
移動やホテルやマイルを自由に使えるようになったのは、
たぶんあの旅がきっかけでした。
旅の質は、
金額だけで決まるわけではない。
知ること。
整えること。
そして、
誰と時間を過ごすのか。
その重なりで、
旅の記憶はずいぶん変わる。
私は、
あの2週間で、
そんなことを少しずつ知っていったのだと思います。
