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KVIとは何か | KPIでは測れない価値を、どう設計するか

数字は伸びているのに、なぜか良くなっている気がしない。

人は増えているのに、街が豊かになっている感じがしない。

都市や場づくりに関わっていると、そういう瞬間に何度も出会う。

来訪者数は増えている。売上も伸びている。
滞在時間も伸びている。KPIはすべて達成している。

それでも、どこか違和感が残る。

その違和感の正体は、たぶんシンプルで、
「何を良い状態とするか」が曖昧なまま最適化していることにある。

そこで最近、強くしっくりきているのが
KVI(Key Value Indicator)という考え方である。



KVIとは何か

KVIは、
そのプロジェクトや都市が、何を価値とするのかを定義する指標である。

2024年の研究では、KVIは
「価値に関わるアウトカムを評価するためのフレーム」として整理されている。

従来の評価が「どれだけ達成したか」を見ていたのに対して、
KVIは「何を達成すべきと考えるか」を扱う。

つまり、
• KPI:どれだけうまくいったか
• KVI:何をうまくいった状態とするか

である。



なぜKVIが必要なのか

効率化や最適化は、都市を確実に便利にしてきた。

ただ同時に、街は少しずつ似てきている。

どこも同じように整備され、同じように消費され、
同じように使われて、同じように忘れられていく。

このとき必要なのは、さらに最適化することではなく、

何を価値として残すのかを決めることだと思う。

KVIはそのための考え方である。



KPIとの違い

KPIはパフォーマンスを測る。
KVIは価値の方向を決める。

本来の順序はこうなる。

KVI → KPI → 結果

だが現実は逆転しやすい。

測りやすいKPIが先に立ち、
その結果として価値が後追いになる。

すると、数字は良くても、
どこか手触りのない空間ができあがる。



インパクト評価との関係

ここで重要なのが、インパクト評価との関係である。

インパクト評価は、
活動が社会や人にどのような変化をもたらしたかを見る。

ただし、その前に必要なのは、

どの変化を「良い」とみなすかの定義である。

ここにKVIが入る。
• KVI:価値の定義
• インパクト評価:変化の検証

この順番があることで、評価が単なる結果報告ではなく、
価値に基づいた設計になる。



都市で考えるとどうなるか

たとえば都市を評価するとき、
• 来訪者数
• 売上
• 滞在時間

だけで見てしまうと、
「使われているかどうか」しか分からない。

しかし実際には、
• なぜそこにいたくなるのか
• なぜ寄り道したくなるのか
• なぜまた来たくなるのか

といった、別の層の価値がある。

KVIは、その層を扱うための入口になる。



少しだけ個人的な話

自分は都市を、機能や経済だけでなく、
体験や雰囲気、記憶や関係の立ち上がりから捉えたいと思っている。

だから、
• 効率的であること
• 最適化されていること

だけではなく、
• 少し無駄があること
• 偶発的な出来事が起きること
• 誰かとの関係が始まること

を価値として扱いたい。

KVIという考え方は、
そうした価値を設計の中に持ち込むための、
ひとつの言語として使えると感じている。



その先にあるもの

ただ、KVIだけではまだ足りない。

価値を定義することと、
それが都市の中でどう現れているかを捉えることは別だからだ。

このあたりは、
別で整理している「まち感性指標」の話にもつながってくる。

価値を定義することと、
その兆候を感じ取ること。

この二つをどうつなぐかが、
これからの都市設計にとって重要になってくると思っている。



まとめ

KVIは、単なる新しい指標ではない。

それは、
何を良い状態とするのかを先に決めるためのフレームである。

KPIが達成度を測るのに対して、
KVIは価値の方向を定める。

そしてその先に、
どんな都市をつくりたいのかという問いがある。

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