まち感性指標とは何か | 都市の「なんかいい」を可視化する新しい都市指標
都市の魅力は必ずしも数値で説明できない。
歩いていて居心地がいい場所。
つい寄り道してしまう通り。
夕方になると長居してしまう公園。
こうした都市体験は、多くの人が共有しているにもかかわらず、
都市計画やまちづくりの評価軸として扱われることはほとんどない。
しかし実際には、都市の魅力はこうした感覚的な価値によって決まっている。
この感覚を都市研究の対象として扱う試みが
まち感性指標(Machi Sensibility Index)である。
都市は数字だけでは理解できない
多くの都市開発では、次のような数値が評価指標として使われる。
人流
商業売上
地価
投資回収率
観光客数
これらは重要な指標ではあるが、
都市体験のすべてを説明できるわけではない。
例えば、同じ人流がある街でも
なぜ居心地が良い場所とそうでない場所があるのか
なぜ人が滞在する場所と通過する場所があるのか
こうした違いは、従来の指標では説明しにくい。
都市には、数値化されていない価値が存在している。
感性は都市の重要な判断基準である
街を歩くとき、人は多くの判断を感覚的に行っている。
この場所は落ち着く
この通りは歩きたくなる
この店は入りやすい
この広場は長居したくなる
こうした判断は、理屈ではなく感性によって行われている。
つまり都市体験の中心には
感覚的な価値判断が存在している。
まち感性指標は、この価値を都市研究の対象として扱う試みである。
感性を都市データとして捉える
感性は主観的で曖昧だと思われがちだが、
実際には一定の方法で観察することができる。
例えば次のような現象である。
寄り道の衝動回数
夕暮れ滞在率
歩行速度の変化
会話の発生頻度
スマートフォンを触らない時間
滞在時間の伸び
これらは、都市体験の質を示す重要な指標になり得る。
まち感性指標は、こうした行動や感覚を
都市の質を示すデータ
として捉え直す試みである。
まち感性ラボでの実験
こうした研究は、まち感性ラボ(Machi Sensibility Lab)という実験的な都市研究プロジェクトとして進められている。
まち感性ラボは、都市の魅力を
感性という視点から読み解く
ための研究プラットフォームである。
この取り組みは、読売広告社とロフトワークによるプロジェクトとしても展開されている。
参考
また、近畿大学文芸学部との共同研究として、大阪・天満エリアを舞台に感性データの収集も行われている。
Reference
感性都市論(Sensibility Urbanism)
まち感性指標は、より大きな都市思想である
Sensibility Urbanism(感性都市論)の中で位置づけられる。
感性都市論とは
都市を感覚体験から理解する都市理論
である。
都市は単なるインフラではなく
光
音
匂い
空気
人の気配
といった感覚的な要素によって構成されている。
まち感性指標は、この都市体験を
観察可能な指標として扱う試みである。
都市の価値は体験によって生まれる
都市の魅力は、合理性だけでは説明できない。
むしろ
心地よさ
偶然の出会い
記憶に残る体験
といった要素の中に、街の本質が現れている。
まち感性指標は、こうした価値を都市研究の対象にすることで
都市の新しい価値の読み方を提示している。
Author
Kazuto Kojima
Producer / Artist
Loftwork / FabCafe Osaka
