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「なんか好きだった場所」が、まちから消えていませんか? | まち感性ラボについて

「なんか好きだった場所」って、
いざ説明しようとすると、うまく言葉にならない。

なぜかいいと感じるまちの景色

便利だったわけでもないし、
おしゃれだったわけでもない。
でも、なぜか歩くスピードが少し変わる場所。
用事がなくても、通ってしまう場所。

たとえば昔の阿倍野駅周辺には、
そんな雰囲気があった気がします。

誤解のないように言っておくと、
最近の開発を否定したいわけではありません。
街は明るくなり、使いやすくなり、
新しい人が入りやすくなった。
それは間違いなく、良い変化です。

ただ同時に、

先人たちの暮らしや営みが、
時間をかけて積み重なってきた
「なんかいい街のムード」が、
更新の仕方を見つけられないまま、
少しずつ薄れていったようにも感じています。

問題は、良い/悪いではありません。
時間をかけて育ってきたムードを、
どう引き継げばいいのかが、
共有されてこなかったこと
だと思うのです。


言葉にできない豊かさを、あえて言葉にするという矛盾

掴みどころのない「感覚」が、言葉と光となって形を成す。

「感覚は言葉にできないからこそ大事」
そう言われることがあります。

それはその通りだと思います。
でも僕は同時にこんな違和感も持ってきました。

言葉にできなかったから、
計り取ることができなかった。
計り取れなかったから、
議論することも、引き継ぐこともできなかったのではないか。

だからこそ、
言葉にできない豊かさを、
あえて言語化したり、数値にしたりする。

一見すると矛盾した、この態度を、
僕たちは引き受けようとしています。

数値化は、管理のためではありません。
評価やランキングのためでもありません。

立場の違う人たちが、
「それ、たしかに大事だよね」と
同じテーブルにつくための、
対話の道具として使いたいのです。


「いまなら、できるかもしれない」と思えた理由

少し前までなら、
この試みは「理想論」で終わっていたと思います。

でも、いまは違う。

世界的に、
ウェルビーイングやウェルネスといった
主観的な感覚を、正面から扱おうとする流れがあります。

まちづくりの現場でも、
行政や企業が一方的に決めるのではなく、
生活者と一緒につくる「共創」が
当たり前になりつつあります。

そして、センサーやAIといったテクノロジーが、
複雑なものを、複雑なまま扱うことを
少しずつ可能にしてくれています。

これらが重なったことで、
僕は思うようになりました。

「いまの僕たちなら、感覚を使いこなせるかもしれない」と。


まち感性ラボとは何か

──「答え」を配る場所ではなく、「問い」を育てる場所

ここで、少しだけ
まち感性ラボについて説明させてください。

まち感性ラボは、
あらかじめ決められた指標を
「これを使いましょう」と配るプロジェクトではありません。

生活者、企業、自治体、行政。
アーティスト、研究者、クリエイター。

立場も専門も異なる人たちと一緒に、
まちの中にある言葉にならない感覚を探り、
少しずつ扱える形にしていくための「ラボ」です。

たとえば、

  • なぜか立ち止まってしまう場所

  • 用事がなくても歩きたくなる道

  • 季節や時間帯で、印象が変わる空気

  • ふと会話が生まれる瞬間

そうした感覚を、
五感のどこかを入り口にして拾い上げ、
言葉にしてみたり、数値にしてみたりする。

そのプロセス自体を、
みんなで実験しているのが、まち感性ラボです。


まち感性ラボの全体像

多様性のあるチームで指標を作り、まちごとに指標を編集をする

この図はあくまでイメージです。
実際の形は、関わる人やまちごとに変わっていきます。


まち感性指標という考え方

──指標は「答え」ではなく、「考えるための道具」

まち感性ラボの中で生まれてくるのが、
まち感性指標という考え方です。

これは、
まちを評価したり、点数をつけたりするためのものではありません。

まち感性指標の特徴

大切にしているのは、
「正しい指標」を決めることではなく、

「私たちのまちの感性って、どれだろう?」
と考える時間そのもの
です。

行動や身体感覚から見える指標。
時間や季節の移ろいから見える指標。
寄り道や余白、偶然の出会いに関わる指標。
五感で感じる、詩的な指標。
コミュニティや商いの関係性から見える指標。

こうした多様な切り口の中から、
その町にとって意味のある指標を選び、編集していく。

まち感性指標は、
一度つくって終わりではありません。

使われ、問い直され、
更新されながらアーカイブされ、
また次のまちで参照されていくものです。

だからこそ、
「どの指標を使うか」以上に、
「どんなことを対話して、どうやって選んだか」が重要だと考えています。


行動・身体感覚の指標

行動・身体感覚の指標


感覚的・詩的な指標

感覚的・詩的な指標

他にも「時間・季節」「余白・寄り道」「コミュニティ」など考えられます。


まち感性ラボは、完成形ではなく実験です

まち感性ラボは、
完成した答えを持っている場所ではありません。

指標そのものよりも、
指標を選び、問い直し、使いこなそうとするプロセス
いちばん大切にしています。

「このまちの“なんか好き”って、何だろう?」

その問いを立てること自体が、
まちを次につなぐ行為だと考えています。


一緒に、実験しませんか?

問いを育み、共に紡ぐ。まち感性ラボは、変化し続ける実験の場。

もし、あなたが
企業や自治体、行政の立場で
まちづくりに関わっているなら。

いま使っている指標の外側に、
判断のヒントが落ちていないか。
そんな視点を、少しだけ持ち帰ってもらえたら嬉しいです。

もし、あなたが
どこかのまちで暮らす一人の生活者なら。

理由は説明できないけれど、
「なんか好きだった場所」を
思い出してもらえたら、それだけで十分です。

それは、
この実験の立派な参加だから。

感じる人。
言葉にしてみる人。
測ってみる人。
ただ、立ち止まる人。

それぞれの関わり方で、
一緒に試していけたらと思っています。

「いまの僕たちなら、
感覚を使いこなせるかもしれない。」

その仮説を、
これからも、まちの中で確かめていきます。

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