休業手当と労災保険(労災補償)の違いとは?|もらえるお金・条件・申請方法まとめ
仕事をしていると、急に休まなければならない日があります。
たとえば――
「会社の都合で休みになった」
「仕事中にケガをした」
そんなとき、お金がもらえる制度があるのを知っていますか?
それが「休業手当」と「労災保険(労災補償)」です。

この2つは、使える場面やお金を出す人が違うんです。
この記事では、その違いを簡単に説明します。
✒️「労災保険」と「労災補償」の違いについては、別の記事で書く予定です。
🟢休業手当とは?
休業手当は、
「会社の都合で働けなかった日があったとき」に
会社からもらえるお金のことです。
たとえば、
・工場が休みになった。
・売り上げが少なくて出勤できなかった。
・店がコロナで休業になった。
❌コロナになって、「自分で休む」と言ったときは、
休業手当はもらえない。
など、あなたのせいではなく、会社の都合で休んだときが対象です。
🔴もらえるお金は?
会社は、働けなかった日について
平均賃金の60%以上を支払う必要があります。
計算方法は、
「直近3ヶ月の平均賃金 × 60% × 休業日数」となります。
✒️詳しい計算方法は、別の記事で書く予定です。
🔴もらえる期間
申請できるのは、発生日から3年以内
例)
2022年6月1日の休業手当 ➡ 請求期限:2025年5月31日まで
🔴もらえる人
・正社員
・パート
・アルバイト
・派遣社員
・外国人(技能実習生や留学生)
雇用契約があれば全ての人が対象です。
❌フリーランスや雇用関係(働く約束をしている)がない人は
対象外、もらえません。
🟢労災保険(労災補償)とは?
労災保険(労災補償)とは、
仕事中や通勤中にケガや病気になったとき
に使える制度です。
たとえば、
・仕事中にケガをした。
・通勤の途中で事故にあった。
・仕事が原因で病気になった。
このようなとき、労災保険からお金がもらえます。
支払うのは、会社ではなく、政府=国(労働保険)です。
国(政府)があなたにお金を支払います。
🔴労災保険のお金の流れ
1️⃣ あなた(労働者)
➡ お金は何も払わなくてOK!(0円です)
2️⃣ 会社(雇用主)
➡ あなたのために、保険料を国に払います。
3️⃣ 国(政府)
➡もし、あなたが仕事中や通勤中にケガや病気になったら、
国があなたにお金(治療費・休業補償など)を支払います。
🔴もらえるお金は?
給料の約80%(自己負担ゼロ)になります。
計算方法は、
あなた(従業員)に払う給料の合計 × 「労災保険率」= 労災保険料
労災保険のためのお金を、会社が国に払います。
※仕事の業種によって保険率は違います。
🔴もらえる人
日本人だけでなく、外国人労働者も対象です。
パートやアルバイトでも、「労働保険」に入っている人がもらえます。
労働保険とは、
「労災保険」+「雇用保険」の2つをまとめた名前です。
※① or ②、どちらかだけに入っていても、「労働保険」といいます。
①労災保険
・会社で働く全ての人が対象。(正社員・パート・アルバイト・外国人)
・1日でも働いていれば、自動的に会社が入れてくれる。
・ケガ・病気・死亡のときに使える。
②雇用保険
・週20時間以上働いていて、契約のときに31日以上働く予定のある人。
・仕事をやめたとき、「失業手当」がもらえる。
✒️労災保険と雇用保険の違いについては、別の記事で書く予定です。
🔴もらえる期間
労災保険では、給付の種類ごとに時効期間があります。
基本は、2年です。
⚠️注意
労災で、給付をもらい忘れたまま2年(5年)経つと、
その分は時効により、もらえなくなります。
会社が労災申請に協力しなくても、あなた自身(労働者)で申請できます。

1️⃣休業補償給付
仕事のケガや病気で休んでいる間にもらえるお金です。
休んで働けなかった分の給料のかわりになります。
時効:2年(休んだ日ごとに数えます)
たとえば、
仕事中にケガをして1週間休んだら、その休んだ日の分のお金をもらえます。
※注意点あり↓
⚠️注意
休業補償給付は、
休んだ日が4日以上になったときにもらえるお金です。
最初の3日間(待期期間)は、
労災保険ではなく、会社が払うことになっています。
✔️1日目~3日目(待期期間): 会社が平均賃金の60%を支払う
✔️4日目から~: 国(労災保険)が 給料の約80%を支払う
(自己負担ゼロ)
たとえば、
あなたが仕事中にケガをして5日間休んだ。
・1~3日目 : 会社から 平均賃金の60%
・4~5日目 : 国(労災保険)から 約80%
このように、最初の3日間は 会社が支払い、
4日目からは 労災保険からお金がもらえます。
⚠️通勤中のケガ(通勤災害)のとき
通勤中のケガ・事故(通勤災害)のときは、
労災保険だけの制度になります。
「会社の責任」がないため、会社が払う義務はありません。
就業規則(会社のルール)で特別な決まりがないときは、
最初の3日間は、お金が出ないこと(0円)になります。
・1日目〜3日目(待期期間):0円 (会社に払う義務なし)
・4日目〜 :給料の約80%(労災保険からもらえる)
通勤中にケガをして3日間休んだだけなら、お金はもらえません(0円)。
休みが4日目から続いた場合、労災保険から給料の約80%がもらえます。
2️⃣療養補償給付
ケガや病気の治療のためのお金(病院代)です。
時効:2年(治療を受けた日から数えます)
「休業補償給付」と違って、
最初の3日間でも、病院代は自分で払わなくてOK!
ケガや病気をしたその日から、
労災保険が治療費を全額(100%)払ってくれます。
たとえば、
仕事中にケガをして病院に行ったら、その治療費は労災保険から全額支払われます。
⚠️「休業補償給付」と「療養補償給付」は、一緒にもらえる
たとえば、
①あなたが仕事中にケガをして、病院に行き、1週間休んだ。
このとき
💊療養補償給付
➡ 病院でかかったお金(治療費)を、すべて労災保険が払ってくれます。(あなたはお金を出さなくてOK)
💊休業補償給付
➡ 仕事を休んでいる間の給料のかわりとして、
・1~3日目 : 平均賃金の60% (会社からもらえる)
・4日目 :給料の約80%(労災保険からもらえる)
②あなたが通勤中にケガをして、病院に行き、1週間休んだ。
このとき
💊 療養給付
➡ 病院のお金(治療費)は、労災保険が払ってくれます。
通勤中にケガをしてもあなたはお金を出さなくてOK。
💊 休業給付
➡ 通勤中の事故でケガをして会社を休んだときも、
・1〜3日目:0円 (会社も払う義務はない)
・4日目 :給料の約80% (労災保険からもらえる)
⚠️注意
通勤中のケガのとき
「療養補償給付」「休業補償給付」ではなく、
「療養給付」「休業給付」といいます。
通勤中のケガ(通勤災害)のときは、「補償」がつきません。
「補償」という言葉は、「会社の責任があるとき」だけにつく名前です。
・「補償」がつく:会社の仕事中のケガ(業務災害)
➡会社に責任がある
・「補償」がつかない:通勤中のケガ(通勤災害)
➡会社に責任がない
名前に「補償」がつかなくても、
もらえるお金や内容は、ほとんど同じです。
3️⃣ 障害補償給付
ケガや病気が治ったあと、体に障害が残って、生活するのが大変になったり、仕事ができなくなった人がもらえるお金です。
時効:5年(障害が確定した日から数えます)
⚠️ 障害の重さ
障害の重さによって、もらえるお金と回数が違います。
「障害等級」というルールで決めます。
1級がいちばん重く、14級がいちばん軽いです。
・1級~7級(重い障害) :毎月もらえる障害補償年金
・8級~14級(それ以外):一度だけもらえる障害補償一時金
たとえば、
🏥症状が「軽い➡重い」順
・仕事中に骨が折れて、治ったあとも痛みやしびれが残った。
➡14級〜10級くらい:障害補償一時金(1回だけ)
・仕事のストレスやパワハラなどで心の病気になり、普段の生活が辛い。
➡症状による:障害補償一時金(1回だけ)or 年金(毎月)
・工場で仕事をしているとき、機械に指をはさんで、指がなくなった。
➡9級〜7級:障害補償一時金(1回だけ)or 年金(毎月)
・通勤中に交通事故にあって、目が見えにくい・耳が聞こえにくくなった。
➡7級〜5級:障害補償年金(毎月)
・建設の仕事で高いところから落ちて、歩くことができなくなった。
➡3級〜2級:障害補償年金(毎月)
・事故で両目が見えなくなったり、両手や両足が動かなくなったりした。
➡1級:障害補償年金(毎月)
⚠️「障害補償給付」と「療養補償給付」は一緒にもらえる?
「障害補償給付」と「療養補償給付」は一緒にもらうことはできません。
①療養補償給付
ケガや病気の治療中(まだ治っていない期間)にもらえるお金です。
②障害補償給付
治療が終わって(もうこれ以上良くならない)、
体に障害が残ったときにもらえるお金です。
つまり、
①治療して治った
➡治療中に「療養補償給付」だけもらえる。
②治療後、障害が残った
➡ 「療養補償給付」と「障害補償給付」を順番にもらえる。
4️⃣ 遺族補償給付
もし労働者が仕事中や通勤中の事故で亡なったとき、
その人の家族(遺族)がもらえるお金です。
時効:5年(亡なった日から数えます)
たとえば、
仕事中の事故で亡なったとき、生活に困らないように
家族が労働基準監督署に申請して、国(労災保険)からお金がもらえます。
⚠️遺族補償給付の種類
①遺族補償年金
➡毎月もらえるお金。優先順位が高い家族が対象。(妻・子など)
②遺族補償一時金
➡1回だけまとめてもらえるお金。
遺族補償年金の対象にならなかった家族。
(父母・孫・祖父母・兄弟姉妹など)
⚠️もらえる順番(優先順位)
遺族補償給付をもらうには、順番や条件があります。
家族がたくさんいるときは、優先順位が高い人からもらうことになります。
家族の生活が少しでも亡くなった人の収入で支えられていたなら、対象になります。
①配偶者(妻・夫)
➡妻はいつでも対象。夫は60歳以上などの条件あり。
➡遺族補償年金(毎月もらえる)
②子ども
➡18歳になるまで、または障害があるとき。
➡遺族補償年金(毎月もらえる)
③父母
➡60歳以上、または障害があるとき。
➡遺族補償一時金(1回だけもらえる)
④孫
➡18歳未満、または障害があるとき。
➡遺族補償一時金(1回だけもらえる)
⑤祖父母
➡60歳以上、または障害があるとき。
➡遺族補償一時金(1回だけもらえる)
⑥兄弟姉妹
➡18歳未満 or 60歳以上、または障害があるとき。
➡遺族補償一時金(1回だけもらえる)
⚠️もらえる順番の例
例① あなたが結婚している(妻・子どもがいる)
✔️あなたが亡くなった
・妻がいる
➡妻が「遺族補償年金」を毎月もらえます。
・子どもが18歳未満(障害がある)
➡妻と子ども、あわせてもらうことができます。
※子どもが18歳以上で自立している・障害がないときは、
子どもは、もらうことができない。(妻だけもらえる)
※ このとき、たとえ一緒に住んでいても、
父母・祖父母・兄弟姉妹は対象外になります。
(妻と子どもが優先)
例② あなたが独身(結婚していない)
✔️あなたが亡くなった
このときは、次の順位の家族に権利がうつります↓
①父母(60歳以上や障害がある場合)
② 孫(18歳未満など)
③ 祖父母(60歳以上など)
④ 兄弟姉妹(18歳未満・60歳以上など)
この人たちは、遺族補償年金(毎月)ではなく、
1回だけの「遺族補償一時金」になります。
⚠️対象外(もらえない人)の例
① 亡くなった人のお金で生活していなかった人
たとえば
・遠くに住んでいて、
お金のやりとり(亡くなった家族からの支援が)なかった兄弟。
・実家を出て、一人暮らし。経済的に自立していた子ども。
⚠️もらえるための条件
①亡くなった人のお金で生活を助けてもらっていたこと。
②18歳未満 または 障害があること。
➡この2つの条件がないと、「子ども」でも、もらえません。
※ただし、
一人暮らしでも、親が学費や家賃を支払っていたなど、
少しでも経済的に助けてもらっていたときは、
対象になるときもあります。
② 優先順位の高い家族がいるとき
遺族補償給付は、順番(優先順位)が決まっています。
①妻(または夫)
②子ども
③父母
④孫
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
この順番の中にいる家族がすでに対象になっていると、
順番の下の人はもらえません。
たとえば、
・妻や子どもがいるとき
➡一緒に住んでいる父母・孫はもらえない。
※18歳未満か障害がある子どもなら、妻と子どもあわせてもらえる。
※ただし、自立した子ども(18歳以上)は、
妻がいるとき、子どもはもらえない。
・妻も子どももいない
➡次の順位の「父母」がもらえたとき、他の家族はもらえない。
③ 年齢や条件を満たしていないとき
遺族補償給付には、年齢や障害の条件があります。
それを満たしていないときも対象外になります。
たとえば、
・夫がまだ60歳になっていない。
・子どもがすでに18歳をすぎている。
・祖父母が60歳より若く、障害もない。
④ 亡くなった人が「業務災害」「通勤災害」で亡くなっていないとき
遺族補償給付は、
仕事中や通勤中の事故・災害が原因で亡くなったときだけ対象です。
病気やプライベート(私生活)な事故など、
仕事とは関係のない理由で亡くなったときは対象外です。
まとめ
遺族補償給付をもらえない(対象外)人とは、
①亡くなった人のお金で生活していなかった人
②妻や子どもが優先されて、
優先順位が下の家族(父母・孫・祖父母・兄弟姉妹など)
③年齢・条件を満たしていない人(18歳以上 or 60歳未満など)
④仕事とは関係ない事故で亡くなったとき
🟢まとめ
似ている名前が多く、混乱してしまいそうになると思います。
漢字ばかりの内容を見ていると難しくて、読む気がしなくなるので、
なるべく誰が見ても分かる言葉で書きたい!と思いました。
もし、
「今回のnoteが参考になった」
「ここの言葉や表現が難しくて分からない」など、
《読んだ感想》や《いいね》していただけると励みになります☺️
ではまた別のnoteでお会いしましょう!
