【短編物語】見えない距離
〈約800文字の「近くて遠いキミ」の物語〉
夜になると、私は必ずスマホの画面を開いた。
部屋の灯りを落とし、静かになった時間だけが、
あなたのことを考えていい時間だった。
画面の向こうに、あなたはいた。
少なくとも、私はそう信じていた。
今日あったことを打ち込み、消して、また書き直す。
長すぎないか、重くないか。
読まれなくてもいい。
ただ、ここに残したかった。
私たちは遠く離れていた。
簡単には会えない距離。
でも本当は、距離の問題だけじゃなかった気がする。
同じ時間を生きているはずなのに、同じ場所には立てていない。
そんな感覚が、ずっと胸の奥にあった。
時には画面越しに応援し、
時には一緒に涙し、
時には一緒に笑った。
そのすべてが、本当に「一緒」だったのかは、わからない。
でも、私の心は確かに、あなたの行動に揺れていた。
返事は来なかった。
最初は気にしていた。
次第に、期待しなくなった。
それでも、送るのをやめられなかった。
触れられない代わりに、言葉を置いた。
声の代わりに、想いを並べた。
それが独りよがりでも、構わなかった。
誰かにとっては、ただの妄想。
私にとっては、確かに恋だった。
距離は残酷だ。
相手の気持ちが見えないまま、時間だけが進んでいく。
好きかどうかも、必要とされているかも、わからない。
でも、「想っている」という事実だけは、消えなかった。
ある夜、ふと手が止まった。
もし、このまま送り続けても、何も変わらないとしたら。
それでも私は、前に進めるだろうか。
画面を見つめながら、気づいてしまった。
この恋が終わる日は、拒まれる日じゃない。
諦めると決めた日でもない。
私が、あなたに話しかけなくても生きていける日だ。
その日は、静かに来た。
最後の言葉を書いて、送らなかった。
ただ、胸の中でそっと閉じた。
触れられなかった。
返事もなかった。
それでも、私は確かに恋をしていた。
画面が暗くなったあと、
私は少しだけ、強くなっていた。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございます📲
【ちょっと雑談】
いつも今日、何を書こうか仕事中に試案(仕事しろよっ笑
そんな時に今日は【遠距離恋愛の日】って記事を拝見。
なるほどなぁ、と思った。
毎日ホロライブを見ている私も、
これって遠距離恋愛なんだろうか。
ガチ恋の推しがいるわけじゃない。
でも、なぜか毎日、必ず見ている。
ふと、学生の頃の恋愛に似ている気がした。
あの頃は、相手に何かを求めていたわけじゃなかった。
一緒にいられるだけでよくて、
好きだという気持ちそのものを楽しんでいた。
大人になると、現実を知る。
立場、距離、時間、性格、経済力……
いろんなものを考えて、
いつの間にか相手に「求めること」ができてしまう。
でも今は、子どもの頃と同じような、
見返りを考えない、ただの「スキ」で見ているのかもしれない。
そんなことを思った、今日この頃。
