【短編物語㉓】秋の『主役』と『悪役』
〈この季節特有の物語は約1,100文字で片づけられます〉
朝の公園。掃除のおじさんは今日もほうきを握りしめていた。
「まったく……またこいつらか!」
足もとには、昨日きれいに集めたはずの落ち葉が一面に広がっている。
黄色も赤もオレンジも、豪華なじゅうたん状態。
おじさんは眉間にしわを寄せ、落ち葉を≪宿敵≫のように見つめた。
落ち葉A(ひそひそ)「あ、来たよ。ほうき将軍」
落ち葉B「今日も我々は掃討される運命か……」
掃除する側からすれば、この落ち葉たちは『最強クラスの厄介者』である。
しかし、同じ公園でも『見る人』が変われば世界は一転する。
散歩中の女性は、足もとでふわりと舞う落ち葉に足を止めた。
「きれい……写真撮らなきゃ」
見上げれば、枝先には光を透かす紅葉。
足元には、色を落としてなお輝く落ち葉。
彼女の瞳に映るのは、どちらも同じ『秋の主役』だった。
その絶景へ、ほうき将軍がザッザッと近づいてくる……。
「ちょっと!片付けるの早すぎます!」
おじさん、まさかの≪悪役扱い≫へ降格。
さて、午前中に紅葉を楽しみまくっていたカップルは、午後になって駐車場へ戻ってきた。
「いや〜紅葉きれいだったね〜」
「だね〜最高〜」
……の直後。
「え、なにこれ」
車のフロントにぎっしり貼りつく落ち葉・落ち葉・落ち葉。
彼氏「おいおいおい!誰だよこんなことした奴!!」
彼女「風だよ……自然だよ……」
落ち葉C(小声)「ごめん、風が強かっただけなんだ……」
落ち葉D「もう握力が持たなかったの……」
カップルのテンションは、紅葉100 → 激おこ10 に急降下した。
一方その頃、落ち葉たちは『自然災害の被害者の会』を勝手に結成し、愚痴をこぼしていた。
落ち葉E「昨日なんて雨に叩き落とされたんだよ!?」
落ち葉F「風は容赦ないし、ほんと悪役」
風「いや、仕事ですけど?」
雨「むしろ潤してますけど?」
やがて公園とその周辺はカオスな構図でいっぱいになる。
・掃除のおじさん → 落ち葉と観光客が悪役
・散歩の人 → 紅葉と落ち葉が主役で掃除のおじさんが悪役
・カップル → 車に貼りつく落ち葉だけ完全悪役
・落ち葉 → 風と雨が悪役
・風と雨 → 「知らんがな」
立場が違えば正義も悪もコロコロ変わる。
世界は今日もそんなズレでゆるく回っている。
夕暮れ。
風「そろそろ一吹きしとく?」
雨「軽く降らせとくね」
ザァァ……ヒュウゥ……
落ち葉たち「ぎゃーーー!!やめてーー!!」
おじさん「また増えたぁぁ!!さっきそこ掃除したばっかりだよ!!」
カップル「やめてぇぇぇ!!!」
散歩の人「逆にきれい……✨」
……誰も悪くない。
ただ、それぞれのストーリーが交差してるだけ。
今日も公園はちょっとドタバタしながら平和だ。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございます🍂
【ちょっと雑談】
会社にて。出勤してまずするのは、駐車場の落ち葉掃除。
風が強い日には、昼にも掃除、夕方にも掃除。
そして帰る頃には、見たことない柄の車になってる。
周りが木に囲まれた施設なので、正直 最悪 である。
何も考えずに見るなら綺麗だけど……
事情が変わると、ただの天敵なんだよね (;´・ω・)
