燃えるような日没に【 シロクマ文芸部:お題「夕焼けは」】
小牧さん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
(本文650字)
夕焼けは安らぎを連れてくるはずだった。涼しさが訪れるはずだった。今年の夏はそんな期待をことごとく裏切って、ぎらぎらと照りつける太陽に焦がされて、思考が溶けていきそうだ。
天候相手に文句を言う術があるはずもなく、わたしは小さく溜息をつく。その息さえ、暑い風となって胸が焼けるようだった。
日が落ち夜が訪れ。夜陰の中でようやく息を継げる気がした。そっとドアを開けて、しばし夜風に吹かれてみることにした。
憎らしいほどに照りつけていた太陽も沈み、見上げた夜空には月が浮かんでいる。満月を過ぎ、わずかに欠けた下弦の月が。
ふと、あるメロディが脳裡に浮かんで、そして消えていった。
父は十六夜、母は漁火。
それはキョウジュと呼ばれた音楽家が、シマ唄の歌い手に託した歌だった。
夜道を誘い、朝を導く。父はツクヨミで母はワダツミなのか。それの是非は問うまい。それはひたすらに優しく美しいのだから。夜風はわたしに想う心を取り戻してくれたようだった。
何もかも溶かしてしまうような、春も秋も忘れたかのような、かつてない酷暑の中であっても。
灯火は消えず、灯した灯りは次の担い手に受け継がれていく。それを信じたいと思った夕暮れだった。
十六夜は過ぎ、今はスタージョンムーンを待っている。海の灯火、漁火は、かつて見たあの海で早朝、夜の終わりを照らし続けているだろう。
今はこの街でその光景を想いつつ、わたしは日々を過ぎていく。スタージョンが持つ「実り」を願いながら。
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貼付の動画は、元ちとせの公式チャンネルなのですが(基本、公式を貼ることにしています)プレミアム加入者のみの視聴である可能性が(コメントでご教示いただきました)
興味のある方は、coverですが以下をご覧くださいませ。
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