「春告鳥の声を聞きながら」毎週ショートショートnote:お題【節分胎教】参加記事
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
一年で1番大切な仕事が終わると、暦上の春、その兆しが訪れる。立春だ。東風が今年の春、その有り様を知らせる。春告が春の歌を歌う。樹の影に隠れ、人の気配を敏感に察知し飛び去ってしまう鶯の代わりに姿を見せるのはメジロ。鶯色の羽、その美しさは早春の象徴だ。
「生まれるまであと半年。誕生の頃は夏真っ盛りね」
授かった新しい命を待ち望む思い。母も父も、周りの人々もそれを感じていた。時は2月に入った頃のこと。春告鳥の鳴き声と、それによく似た鶯色の鳥、その姿は子の誕生を待ち望む母の心を和ませていた。
それは人里でもよく見かける光景だ。ただひとつ、違っていることがある。一年で1番大切な仕事を持つ彼ら。この時期は節分会がある。畢竟、彼らは異形のもの。さりとて、慈しみの心は人のそれ以上かも知れぬ。
かくして、待ち望まれた子は産まれた。子は男児であり、外道丸と名付けられ、長じて酒呑童子と呼ばれることとなったか否かは、名もなき語り部の与り知るところではない。
(了)
拙稿題名:春告鳥の声を聞きながら
総字数:436字
よろしくお願い申し上げます。

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