時を茹で上げる【毎週ショートショートnote|お題【釜揚げ師走】参加記事
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
物事の楽屋裏には仕込みがある。何事も準備なしには始まらない。
「AからD地区、完了。配置準備はいいか?」
「了解。引き続きK地区まで作業を続行してくれ」
ここは天界の厨房。先程まではクリスマスの準備に追われていた。それをし終えたあとは休むまもなく年越しの準備に掛かる。
厨房は地上にあるそれらが渾然一体となってひとつになる、寄せ鍋の様相を呈している。釜で茹でられているのは、師走の時間そのもの。
湯気を立てた釜揚げ師走がまたひとつ、地上へと送られていく。釜から揚げられ立ち上る湯気は、人々の営み、その一年が集決算を迎える、その熱気となるだろう。
もういくつねると お正月
(中略)
はやく来い来い お正月
子等の歌声が街に響かなくなって久しい。けれどこの歌詞は老若男女を問わず、師走の心、その中で響いているだろう。
「湯気で呼吸がしにくい。早く今年を仕舞いたいものだ」
そう呟く、天界の厨房、その作業員が、実のところは一番望むところであるだろう。無事地上に年越しが届くことを。
拙稿題名:時を茹で上げる
総字数:476字
よろしくお願い申し上げます。
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