「きらめく粉」毎週ショートショートnote|お題【恋花粉】
たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。
何とはなしに、心がザワザワしている。光が、風がいつもとは違うのだ。何かが混ざって見える。キラっと光る、まるで目に映る世界にラメが散りばめられたように。
目の異常を疑い眼科受診も行ったが、異常は見られず。その他の検査も同じように異常なし、健康体と太鼓判をもらった。
なのに、少しも落ち着かない自分が訝しかった。
「別のことを疑ってみなよ」
幼なじみの声が飛ぶ。くまなく検査して、後は何があるというのか。
「ほら、春じゃん。春と言えばさ……」
春。
春と言えば花の開花の季節か……。天気予報でも「花粉情報」が出ている。杉花粉の影響を疑ってみるべきなのか。アレルゲンのテストはまだ受けていなかった。
「それ、素だよね。狙ったボケなら、それはそれでいいんだけど」
告げてくる唇が少し尖っている。僕の反応が不満なのか。すねた表情だ……それも可愛らしいが。
……。
ん?今、僕は何を言おうとした?
可愛いだと?
【今年の花粉は例年と違った特徴があります。この「新種」の花粉にアレルギーを起こした方は、通常より恋愛傾向が強く出ますので、親しい人との付き合いかたを見直してみてください】
いつもと違う内容の天気予報が画面に表示された。
今年の花粉を、専門家は「恋花粉」と命名したらしい。対処療法について公式発表はまだなされていない。
とりあえず僕は、自分の目に映る幼なじみの彼女が可愛い問題について、少し真剣に考えてみることにした。春が過ぎ、夏が来て、秋と冬を迎えたときに、この心はどう変化しているだろうか、と思いながら。
(了)
拙稿題名:きらめく粉
総字数:642字
よろしくお願い申し上げます。
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