「真珠女」18話【テディ】
【テディ】
帰宅後、最後の力を振り絞り化粧だけ落として布団に入り、そのまま夕方まで一度も目が覚めなかった。こんなに長い時間眠ったのは久しぶりで、外は暗くなりかけていた。
リナをマンションまで送り、タクシーで帰ってきたのは間違いないが所々記憶が抜けているようで不安になる。久しぶりの酒鬱だ、やっぱり葵と一緒にいた方がよかったかもしれない。
化粧を落とすので精一杯だった筈なのに布団の中に香水があった、小さい子供が毎日一緒に寝るんだと大切にしている縫いぐるみのように。記憶も曖昧なくらい疲れていたのに、わざわざ香水を鞄から取り出し布団まで持ってきた事を知り、更に鬱になる。
涼に「二日酔いだ」と言ったらなんて言うだろう、涼に「酒鬱だ」と言ったらなんて言うだろう、涼に「朝の5時過ぎまで飲んでいた」と言ったらなんて言うだろう、考えても涼がなんて言うのか全く想像できなかった。「二日酔いだ」とも「酒鬱だ」とも「朝の5時過ぎまで飲んでいた」とも、涼に言った事がないからだ。
涼への想いはどこにも行かずに私を蝕み続ける、いつまで経っても手放す事ができない、いつになったら楽になるのだろう。
もう死にたいと口に出すとうわぁっと声をあげ泣いた。
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