架空食堂|4月のアイスキャンディー
4月なのに、夏のように気温が上がったある日、私は100円ショップに寄った。
先程産直で買ったフルーツが入ったビニール袋とそれを掛けている腕の間に汗が滲むのを感じつつ店内に入る。
保存容器、掃除用のブラシなどをカゴに入れ、キッチン用品コーナーへ。
『ジュースでおうちアイスキャンディー』
と書かれた3連のアイスキャンディー型に目が留まる。
これもなんか使えそう。
そう思い、2つカゴに入れ、レジ前のサイダーとフレーバーウォーターも追加した。
やっぱり自転車で来ればよかったと思いながら、徒歩で部屋まで帰った。
帰宅してドサりと荷物を下ろす。
買ってきたサイダーのペットボトルを開けて直飲みしようとして、ふと手が止まる。
明日も暑いって言ってたよな。
先程のアイスキャンディー型を洗って洗いカゴに。
買ってきたブラッドオレンジは皮を剥いて薄くスライスする。
スライスすると放射状に赤が滲んだオレンジ色が目に飛び込んでくる。
アイスキャンディー型にスライスしたブラッドオレンジ、アイスの棒、先程封だけ切ったサイダーを流し込む。
しゅわりと弾けるサイダーの泡を頬に感じながら、蓋をして冷凍庫にしまった。
残ったサイダーをグラスに注いで、ブラッドオレンジの皮、果肉の残り、氷、コアントローを入れる。
アルコールとサイダーの境目が揺らぎ、泡だけが弾けている。
プランターのミントも摘んで、ハラリとグラスに入れる。
昼から酒なんていつぶりだ。
掃き出し窓のふちに座ってグラスを煽る。
乾燥しているのにぬるい室内で、冷たいオレンジの香りがきゅんと喉を通り抜けていく。
窓際からソファに移動し、テレビをつける。
騒がしいワイドショー、韓国ドラマ
どれもしっくりこないままザッピングを繰り返して、結局サブスクの映画に落ち着く。
そのまま、何本か流し見していく。
昔からミニシアター系の映画が好きで、大学の頃はアパート裏のTSUTAYAで小遣いの限りレンタルしては、パソコンで見ていた。
2本目の映画の途中で、うたた寝していたらしい。
気づいたら日が暮れていた。
久々に無為な休みになってしまった。
冷蔵庫のおかずと冷やご飯をつまみ、シャワーを浴びたところで、冷凍庫のアイスキャンディーを思い出した。
少し容器を捻って取り出すと、キッチンの蛍光灯にオレンジと赤が照らされる。
一口かじると、甘酸っぱさと冷たさが、湯上がりの頭を冷やしていく。
アイスをかじりながらベランダに出てみる。
ひんやりした夜風が沈丁花の香りを運んできて、濡れた髪を通り過ぎた。
キンと冷えた春を、私は口の中で溶かしている。

ブラッドオレンジのアイスキャンディー
材料(アイスキャンディー型4〜6本分)
ブラッドオレンジ 2個
サイダー(柑橘フレーバーのもの推奨)適量
アイスキャンディー用の棒 4〜6本
作り方
アイスキャンディー型をよく洗い、水気を切っておく。
ブラッドオレンジは皮をむき、薄い輪切りにする。型の厚みの半分程度の厚みにする。
アイスキャンディー型にブラッドオレンジのスライスを並べる。型の両面にスライスしたオレンジを1枚ずつはめ込み、2枚のオレンジの間に棒をはさむように差し込むと仕上がりがきれいになる。
型にサイダーを静かに注ぐ。
蓋をして冷凍庫へ入れ、しっかり固まるまで冷やし固める。
ひとこと
炭酸の小さな泡を閉じ込めた、アイスキャンディー。透ける果肉が涼やかな彩りを添える。
甘みが足りないときはサイダーにガムシロップを追加してもよい。
ブラッドオレンジとオレンジジュースのツートンアイスキャンディー
材料(アイスキャンディー型4〜6本分)
オレンジジュース 適量
ブラッドオレンジ 1個
サイダー 適量
アイスキャンディー用の棒 4〜6本
作り方
アイスキャンディー型をよく洗い、水気を切る。
オレンジジュースを型の半分ほどまで注ぎ、棒を差し込み、冷凍庫で固まるまで冷やす。
ブラッドオレンジは皮をむき、薄い輪切りにしておく。
オレンジジュースが固まったら、ブラッドオレンジのスライスを棒を挟み込むように型に入れる。
隙間からサイダーを静かに注ぐ。
蓋をして再び冷凍庫へ。しっかり固まるまで冷やし固める。
ひとこと
透き通るオレンジジュースの層と、ブラッドオレンジを閉じ込めたサイダーの層。異なる色合いが重なり合う、オレンジづくしのツートンアイスキャンディー。
ブラッドオレンジソーダ
材料(1杯分)
ブラッドオレンジの皮 適量(国産無農薬のもの推奨)
ブラッドオレンジの果肉
サイダーまたは炭酸水 適量
コアントロー 適量
氷 適量
ミント 数枚
作り方
ブラッドオレンジの皮は白い部分を削ぎ落とす
果肉は1cm角に刻み、数枚スライスし、グラス内側に貼り付ける
グラスにブラッドオレンジの皮と果肉を入れる。果肉はスプーンなどで軽く潰す
氷を加え、コアントローを注ぐ。
サイダーを静かに注ぎ、軽く混ぜる。
ミントを摘み取り、手のひらで軽くたたいて香りを立たせてからグラスに添える。
ひとこと
コアントローの華やかな香りと、ブラッドオレンジの豊かな果実味。揺らぐ液面の向こうで弾ける泡が、果実の余韻をいっそう引き立てる。
写真は筆者撮影のものを一部chat GPTにて編集
