ポンコツハローワーカーの軌跡 その6
ハローワーカーなんて、ワーキングホリデーみたいな、カタカナにしてるけど、要はプータローである。が、案外忙しくしている。
週2回はパソコン教室に行ってたり、月2回の就職活動として、ハローワークで行われるセミナーなんかにも参加している。
その中で、週20時間までの短期の仕事を入れるのは、なかなか難しい。
なので、1日で7、8時間働ける仕事があるのはありがたい。
7月の3連休、世の中は人手不足のようで、単発のお仕事は結構あった。
7月20日が参議院選挙の投票日で、選挙関係の仕事も、実はたくさんあった。
以前、別の選挙で、期日前投票の、機材チェックの業務を3日間連日でやったことがある。作業自体はとても楽なのだが、待機時間が長い仕事だった。
作業の割に、とても時給がよかったので、選挙の仕事はまたやりたかったのだが、ハローワークのほうが優先で、アルバイトの研修に参加
できなかった。
残念、今回はあきらめて、別の仕事を探すことにした。
トヨタ系列のディーラーの、中古車の洗車作業というのが目についた。
自走員の時には、日常で洗車作業もたくさんあった。
スチームで、ほこりを流して、クロスで拭き上げる、もしくは、車内清掃を、外でやるのかな、屋根下だといいな、と思っていた。
が、女性活躍?、空調整備ってかいてあるぞ。
もしや、屋根つき?もしや屋内?
とりあえず、朝9時半から17時半の仕事だったので、エントリーしてみた。
汗ダクを予想して、着替えや飲み物もたくさん用意していった。
当日、現場に向かうと、担当の社員さんから、声をかけてきてくれた。
作業に来てくれてありがとうございます。
暑いですが、よろしくお願いしますと、こちらが恐縮するほどの
低姿勢でのお出迎えだった。さすが世界のトヨタさんだ。
作業場は屋内工場で、なんとエアコンがきいている。休憩場所や、
更衣室を案内され、作業用のつなぎが渡される。胸にタイミーって、
名札がついてる。わかりやすいな。
つなぎに着替え、作業説明をされる。
工場の中に、外で洗車が終わった中古車が入ってくる。
いくつかの作業エリアを車が経由して、パートごとに清掃され、1台の清掃完了車ができる。
私はエンジンルームの清掃担当になった。
入ってくる車のボンネットをあけ、専用のクリーナーや、艶出し剤を
使って、エンジンルーム内をピカピカにする。
1回の工程は40分で、その間にそれぞれが自分の持ち場の作業をモクモクとこなしてゆく。
タイマーが鳴ると、終わった車はレールで横にスライドされ、次の工程の作業エリアで、次の場所を清掃されていく。
私の場所には、次の車が入ってきて、またエンジンルームの掃除をする、という具合だ。
ずっと同じ場所での作業なので、わかりやすい。
洗剤もブラシ類もセットにしてくれているものを使い続ければよい。
クロスは汚れたら自分で変えていいし、手袋、マスクも用意されている。
水分補給も自分のペースでできる。
モクモク作業はきらいではない。
午前中3台、1時間の休憩を挟んで、午後4台を清掃する。間に10分休憩が
あって、ぴったり17時30分で業務を終了する。
とても、効率的で、無駄がなく、作業環境も車の清掃をやるうえでは最高だ。
と、午前中は思っていた。
モクモクやって、お昼はしっかり休めて、空調もきいている。
サイコーだ!
でも、午後になると、立ったり座ったり、中腰での作業が徐々に体に効いてくる。同じ箇所での作業が続くので、ちょっと飽きてくる。
が、みんなが、同じ40分サイクルでそれぞれの持ち場の作業を淡々と
こなしている。
ポリッシャーで、モクモクとボディーを磨く人、ガラスを磨く人、車内に掃除機を延々かける人。
みんなが同じペースで流れ作業で1台を掃除するため、サボることができない。ちょっと、一服を、自分のペースでしにいくことは許されないのだ。
水分補給とトイレくらいかな。でも、みんな、休憩時間までは行かない。
そこが、無駄のない、システム化された車清掃なんだなーと感心した。
さすがトヨタ。そして、その、システムの通りに、従業員は機械のごとく、働いているのだ。
担当の持ち場は毎日変わるらしい。外で車の洗浄の日も順番にあるらしい。
本来、雇われるとは、こういうことだ。
この会社の、このやり方についてこれる人は、これだけの作業環境を用意しますので、会社の言う通りに、作業してください。
それができる人には、これだけの賃金をお支払いしますので、働きに来てください。
とてもシンプルだ。
でも、中には、できるだけ安く仕事をさせようとか、できるだけ楽な仕事だけしようとか、雇う側も雇われる側も、ズルをするものがでてくる。
世の中、平等ではないけれど、断れない人は必ず存在する。
大変な作業と楽な作業の偏りが出ることは否めないけれど、
この作業場のように、皆が全ての作業を覚え、平等に担当し、効率的に仕事ができる環境を与えられ、情報も、共有する。
会社側も、従業員と管理者がとても近く、管理者が日々の従業員の作業状況を理解している。
私が単発バイトではなく、常勤のパートだったら、ぐうの音も出ない。
整えられた作業環境で、日々モクモクと車を磨くだろう。
思えば、前作、ポンコツ自走員の復讐、なんて文章が書けたのは、
理不尽の巣窟のような作業場で長らく仕事をし、会社にもの言える
立場であったからなのだ。
会社側も現場側も、それぞれ、言い分はある。
でも、働いてもらっている、働かせてもらっている、というお互いを思いやり、ともに、会社の利益を上げていこう、という意識が、明らかに前職場では低かった。互いの不満だけを主張し、断らないものに、作業を押し付ける風潮がまかり通ってしまっていた事が、いけなかったと思う。
同じ時給で雇っているなら、男女関係なく、皆が求められるスキルまで作業ができるように努力し、やむおえず、+アルファの作業をさせる場合には手当という格差をつけるべきで、それで、作業場内の人間関係は円滑になり、現場はスキルアップしていくと思う。
まあ、社長でないので、いくらでも理想論は語れる(笑)
話は逸れたが、トヨタさんでのお仕事は、
ある意味、自分の中の、パートタイム労働の理想形だなと感動し、
常勤の従業員さんに、素晴らしいを連呼していた。
毎日ここで作業している従業員さんには、変わった人だなと思われたことだろう。世の中には、ブラックと言われる過酷、不平等な労働環境がたくさんあるんですよ。私も人生で、そんなに色々な現場を見た訳ではないけれど、ここは素晴らしいので、また募集があれば、働きに来ますと伝えた。
17時半のブザーと共に、作業はきっちり終了となり、
皆、にこやかに、つなぎを脱いで、お疲れ様と挨拶を交わし、帰っていく。
私も事務所に挨拶とQRコードの読み取りに行くと、お疲れでした、体調は大丈夫ですか?また働きに来てくださいとの労いのお言葉をいただいた。
いろんな会社がある。
どう働いても、たかが、時給1100円前後である。
でも、学ぶことは、プライスレス、である。
続く。
