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「最強の三重人格者」第1話


あらすじ

とある世界で最強の剣士アルデ。彼は世界最強でありながら、さらに強い敵を求めていた。しかし、年齢的に強さのピークは過ぎ、衰えていた。そんな中、転生の宝玉を手に入れる。
また、別の世界では賢者ケトンが世界最強であり、彼もさらに強い敵を求めていたが、ピークも過ぎ、衰えていた。そんな中、転生の魔導書を手に入れる。
二人は転生するも失敗。彼らの意識は、現代日本の会社員『塚藻 式斗(つかも しきと)』に入ってしまう。
塚藻は会社員、最強の剣士、最強の賢者という三重人格者となり、現代ダンジョンを攻略していくことになる。

補足・みどころ

①初期主人公は弱いが、別人格に入れ替わることで最強になる。主人公、もしくはその周辺が理不尽に悪者に追い詰められたとき、人格が入れ替わり、徹底的に撃退できる。

②憑依している最強の剣士、最強の賢者は主人公の才能に気づく。最強の剣士と最強の賢者のもとで修行する主人公の成長も楽しめる。

③最終的に、最強召喚を習得、自身に憑依した最強の剣士アルデ、最強の賢者ケトンを同時に召喚できるようになる。

主要キャラ紹介

主人公:塚藻式斗(つかもしきと)
男性
25歳
やや頼りない中性的な容姿。
異世界の最強剣士アルデ、最強賢者ケトンが転生するも失敗。
転生先の肉体が塚藻であったため、塚藻、アルデ、ケトンの三重人格者となる。
ダンジョン産アイテムの査定、販売員として働いている。

異世界最強の剣士:アルデ
男性
24歳(見た目。転生前は38歳)
金髪で目つきが悪い。
近接戦闘で最強の剣士。
短気で下品だが正義感が強い。
日本の食べ物を気に入り、食事の際には主人公に変わってくれと懇願する。

異世界最強の賢者:ケトン
男性
28歳(見た目。実年齢は200歳程度)
銀髪ロングで中性的なイケメン。
魔法戦闘で最強の賢者。
知的で冷静だが、女性の扱いにうるさい。
日本のアニメや漫画、科学技術に非常に興味を持ち、それらを見せる代わりに主人公に回復魔法を教える。

ヒロイン:神谷原凛(かみやはらりん)
女性
25歳
主人公の幼馴染。
若手有望のA級ハンターで水色の長い髪をたなびかせて戦う。
主人公塚藻に好意を抱いており、ダンジョン産のアイテムをいつも塚藻のところへ持ってくる。

第一話

とある異世界。
「人間風情が!! 砕け散れ!!」
邪悪な魔人が、巨大な剣を振り下ろす。
風圧のみで、周囲の木々が吹き飛び、地面がえぐれる。

しかし……

ガキンッ!!

それを片手で受け止める剣士アルデ。
鈍色のツンツンした金髪に、鋭い目つき、顔に大きな傷がある剣士だ。
受け止めた剣の圧力により、足が地面に沈む。

「なんだかなぁ……お前で最後?」
「バ、バカな!!」

魔人が驚くのも当然である。
人間の兵士が何百、何千といたところで、魔人には歯が立たない。
そして魔人の攻撃は、山をも吹き飛ばすほどの威力だ。
にもかかわらず、剣士アルデはその攻撃を涼しい顔をし、片手で受け止めているのだ。

「もうみんな倒しちまったよ……あれだろ?
 お前で最後なら、もうまともに戦えるヤツ残ってないんだろ?」
「ふ、ふざけるな!! そのような細腕で、我が剣が……何故、何故だぁ!!」

「おい、話聞けよ。 てか、今お前細腕って言った?」
剣士アルデが魔人を睨みつけると、あたりに衝撃が走る。
睨む……ただそれだけの圧力で、魔人は気圧されてしまう。

「この俺の筋肉を!! 細腕って言ったのか!?」
「バ、バカな!!」

「それ、さっき聞いたっての!!」

ズバッ!!

アルデが剣を振ると、魔人の肉体が一瞬で真っ二つになる。

そして、魔人の肉体から虹色に輝く球体が出現する。

「なんだこれ?」

□□□

「剣士アルデ様だ!!」
「アルデ様が全ての魔人を倒してくれたんだ!!」
「最強の剣士だ!!」
「俺も大きくなったら、アルデ様みたいな剣士になるぞ!!」

アルデが国へ帰ると、街はお祭り状態だった。
アルデは世界全ての邪悪な魔人をたった一人で倒してしまったのだ。
人々は魔人の消滅、アルデの帰還を喜び大いに盛り上がった。

「おぅ、楽勝だったぜ!!」

アルデのその一言で、人々はより一層歓喜に沸く。

「さぁ、アルデ殿。 お疲れでしょう。 城へお越しください」
国の大臣や魔法使いらがアルデを迎える。
「いや、別にあんまり疲れてねぇけど」

「食事の用意ができておりますぞ」
「おぉ!! 腹減った!!」

□□□

アルデは猛烈な勢いで豪華な料理を食べ続ける。
「しかし、アルデ殿。 浮かない顔ですな」
「へ? そう見える?」

アルデはバクバクと食べる手を止め、大臣の方を向く。
「えぇ。そう見えますぞ」
「そっかぁ……」

「おおかた強敵がいなくなってしまったとか、そんなところでしょうな」
「ジイにはバレちまうな」
アルデは少し寂しそうにする。

「アルデ殿……」
「結局さ、全力を出すことなんて一度もなかった。
 それだけじゃない……少しずつ……少しずつだけど弱くなってんだよな……俺」

「肉体のピークが過ぎていると?」
「だろうな。敵が弱くて成長できないってのもあるだろうけど」

「魔人が弱いと……?」
世界を恐怖に陥れた魔人。
その強力な魔人をもってしても、アルデが本気をだすことはなかったのだ。

「あ!! そうだ!!」
アルデは急に大きな声を出し、何やら別の空間から荷物を取り出す。
魔人を倒したときに出てきた、虹色に輝く球体である。

「ジイさ、これ知ってる?」
「こ……これは……転生の宝玉……?」

「なんだそれ?」
「その名通り、別の世界へ、別の生命として生まれ変わることができる。
 それも、自らが望んだ世界へと……伝説の中に出てくるそれと酷似していますな」

「へぇ……自らが望んだ世界にね……」

□□□

アルデのいた世界とは別の、とある異世界。

「ド、ドラゴンだぁ!!」
ドラゴンの群れが、街に飛来する。

誰もが街は壊滅すると思った。
ドラゴンは一体だけでも街を壊滅させることができる。
冒険者が束になっても勝てることの方が少ない。
そんなドラゴンが群れをなしているのだ。

誰もが絶望する中、突如魔法陣が現れる。

光り輝く魔法陣から一人の人物が出現し、美しい銀髪がたなびく。
大きな瞳と整った中性的な顔立ちの賢者ケトンだ。

「ケトン様だ!! ケトン様が来てくれたぞ!!」
絶望だった人々の顔に希望が見える。

「安心してください。 さぁ、みんなは建物の中へ入って」
ケトンはにこりと微笑むと、住民たちを避難させる。

そして、片手を上げると凄まじいエネルギーが彼の手に集まってくる。

カタカタと地面が揺れ、空気がピリつく。
ドラゴンの群れでさえも、萎縮している。

「無限の雷撃」

彼がそう言うと、空から雷が落ちてくる。

ビシッ!!
ドゴーン!!
ゴロゴロ!!

無数の雷が、ドラゴンを一匹残らず焼き尽くす。

プスプスと煙をあげ、黒くごげたドラゴンが落ちてくる。

「ケトン様がドラゴンを倒してくれたぞ!!」
街には歓声が上がる。

□□□

「どうだケトン。この国に残って魔法の研究を続けるというのは」
「ありがとうございます」
ケトンは跪く。
国王がケトンを勧誘しているのだ。

「しかし、私がいてはまとまる国内もまとまらないでしょう」
ケトンは最強の賢者だ。
しかし、政治に興味はない。
王国にとどまれば、権力争いに巻き込まれるのは目に見えている。

「平和になった世界では、私は必要とされないでしょう」
「そんなことはない!!」

「それに、私はもう長くありません」
「な!!」

ケトンは魔術によって、若く美しい見た目をしているが、実年齢は200歳をこえている。
魔術によって延命しているが、それも限界に近いのだ。

「ふぅ……(転生の魔導書を使う時がきたようですね)」

□□□

現代日本。

ピピピピ!
ピピピピ!

目覚まし時計が鳴る。
起きる時間だ。
仕事である。
俺は腹をかきながらベッドから起き上がる。

「ふあぁ~あ……」

ん?

ん!?

目の前に半透明の人間が見える。

左には金髪で顔に大きな傷があり、目つきの悪い筋肉質の男。
右には長い銀髪、中性的な整った顔立ちの男。

二人は俺を見て唖然としている。

『『て……転生は失敗だぁ!!』』

「へ?」

第2話以降へのリンク

↓第2話

https://note.com/preview/n492512536a0a?prev_access_key=7edeac765fdcdc735bc0838714985aa8

↓第3話

https://note.com/preview/n66bd09baaf96?prev_access_key=8abde8f10815985bdf5afd6bd383a32d


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