【#毎週ショートショートnote表お題:モンブラン失言】余計な気遣い
昨日、余計な気遣いで悲劇を描いてしまったため、反動で幸せな話を書きたくなりました。
表お題「余計な気遣い」です。

「やっと手に入ったよ」
「なにが?」
本を読んでいた彼女が顔をあげる。
「じゃん!」
彼女の好きなモンブランをやっと買えたのだ。一緒に食べようとしたことがあるのだが、列が長過ぎて諦めていた。その時の彼女悔しがりようが忘れられず、長い時間列に並び今日ようやく手に入れることができた。本当はもっと早くに手に入れられる予定だったが、何度も目の前で売り切れとなっていたのだ。
「何回も列に並んでさ……」
とここまでの苦労を話そうとした時、
「ねぇ、私がダイエット中だって知っているよね?」
と彼女が静かに言う。
ああ!そうだ!俺はその言葉を軽く聞き流していた。だから店の前を通った時、思わずモンブランを食べる彼女の幸せそうな彼女の顔を見たくなり買ってしまったのだ。列に並んでモンブランを買ったなんて失言以外なにものでもないじゃないか。謝ろうと顔をあげると、そこには美味しそうに食べる彼女がいた。失言全てを包み込む彼女の行動がただただ愛おしかった。
(410字)
共に暮らしていると些細なズレが生じます。それは受け手によって喜劇にも悲劇にもなるのが人生の醍醐味と考えるとワクワクするのです。
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