【全力応援#創作大賞感想】タルトを通して青春の滋味を感じよ!
本日は早時期仮名子さんの「タルトレット・ワンダーランド」の感想文を書かせていただきます。
本格的なスイーツを日常とかけ離れた雰囲気の店で。
大人の女性でも頻繁には行ないません。仲間内での贅沢や自分のご褒美などで、行く場所ではないでしょうか。特に、男性だけでの入店は、かなり勇気がいると思います。
「タルトレット・ワンダーランド」ではそのような店に高校生の、しかも受験生が当たり前のように予備校の合間に出かけます。ちょっと贅沢な高校生だなと思ったその違和感が、私をワンダーランドへと導くきっかけとなりました。
美味しそうなタルトが数多く出てきますが、物語では他にもハンバーガーショップや町中華、カフェ、デパートの屋上、コンビニなど、気軽に利用できる場所や食べ物も登場します。それらは、主人公の心と共に存在感も変化するのです。
最初は恋愛中心だった青春は、話が進むにつれて友情や受験、家族と様々な顔が見えていきます。普段、noteの街で創作で遊ぶ私達大人は「青春ってキュンだよね♪」と第三者的な立場で楽しんでいることが多いです。それはある意味、大人の特権ともいえるでしょう。
でも、本来、辛さや悲しみ、苦みも同時に経験するのが青春です。経験するのは恋愛だけではなく、親との確執やほんの一言で変化する友人関係、決まらない将来と「わだかまりがてんこもり」といっても過言ではありません。
それを乗り越え、大人になって「楽しかったな」と思えようになるのは、仲間や恋人と体験する、
等身大の喜び
の存在が大きいからではないでしょうか。
恋人未満の女の子や友達以上親友未満の同級生との距離を、主人公は、背伸びをして利用する店から、素を見せられる店に移しながら縮めていきます。そして、わだかまりの原因となっていた親との関係も、その過程で少しずつ光が差していくのです。
実はタルト専門店以外にも笑いながら突っ込んだ部分があります。家でのお菓子作りです。
窓を開けて親に内緒?
無理でしょ!
とその抜け感に笑っていたのですが。
こちらも主人公の心が成長していく上で、絶対的に必要な要素でした。私が疑問に思ったことは全て丁寧に謎解きされていました。私の疑問を早時期さんは悟っていたのですか?すごいです!
読後、タルトを買いに走るかも、と思った「タルトレット・ワンダーランド」。でも、私は買いに行こうとか食べに行こうとか思わなかったんです。
生きることとか周囲の人との関係とか、青春など過ぎ去ってしまったにもかかわらず、色々と考えてしまい出かける気になれません。登場人物たちの心の動きに、キュッと心を掴まれ涙ぐみ、物語の滋味を味わうことを優先してしまいました。
昨年、タイミングを外して早時期さんデビューしなかったことを盛大に後悔しています。マイコー、読みに行かないと。
でも、もう少ししたら、タルト買います。
だって美味しそうだったんだもん。食べなきゃ。
