【#シロクマ文芸部 7月②】お題:夜店から(#怪異LABO)
シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今年で3年目の挑戦となります。
1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。
第1話はこちら👇
夜店から流れてくる匂いには鼻をヒクヒク。
腕の中のフロフの動きに私は思わず笑ってしまいました。
「にゃああ!」
癪に障ったのかフロフが抗議の声をあげます。そんな姿もかわいいと思いつつ、
「この暑いのに抱っこしてあげているんだから感謝すべきなんじゃない?いやだったら降りて自分で歩きなさいよ」
文句を言ってやったのですが、道にある水たまりが嫌なのでしょう。下へ降りる気配はありません。何を言われても分かりませんという顔をして鼻で匂いを耳で音をと夜店と祭りを楽しみ始めました。
子猫とはいえ生後一年、結構な重さがあるフロフです。しかも今夜は雨上がりで水たまりがそこかしこにあります。夜店を楽しむ人たちが集まって来るので、その熱気とともにムワンとした蒸気が私に襲い掛かります。フロフを抱っこしている腕もジメっとしてきました。
「ねえ、私の腕って汗まみれで気持ち悪くない?」
そうフロフに聞きましたがツーンと無反応で「わかりません」という態度。
「いつもは汗かいてるとくっついてこないじゃん。人間に戻って一緒に歩こうよぉ。チョコバナナ買ってあげるよ。あれ、猫のまんまじゃ食べられないよねぇ」
魅力的な言葉でフロフを誘惑してみます。耳がピクリとなり体をもぞもぞさせたので、降りるかなと思ったのですが下を見た瞬間、スンとなります。
「あー水たまりが嫌ですか……」
チョコバナナより水たまりへの嫌悪のほうが上回ったようです。
「暑いのになあ、もう。けど……抱っこしてやりますか」
本当は人間の姿になって手をつなぎながら夜店をひやかしながら歩きたかったのに。フロフかわいさで許すことにして、目的の地まで抱っこすることにしました。
「あづぅぅぅ」
そうはいってもたくさんの人の中をフロフを抱っこしながら歩くのはキツいです。
今回の依頼は夜店を抜けた先にあるからと相棒に言われてフロフと来たため、私が毛玉を蒸し暑い中、抱っこして歩くことになってしまいました。
「ねこしゃんだぁ!かぁーいー」
口の回らない幼い少女がフロフを見てはしゃぎます。
かわいいけどね……真夏の猫ちゃん抱っこはつらいんだよ……
その気持ちを隠しながら私は少女に笑みを返しました。
(つづく)
小牧幸助部長、今週もありがとうございました。
《 創作大賞2026参加作品 》
お時間があればお読みください。「読んだよ」の一言で小躍りをします。
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