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僕が数年間ハマっていたラジコンという大人の趣味の世界について語らせてください

皆さん、こんにちは。突然ですが、皆さんは時間を忘れて、文字通り「寝食を忘れて」没頭した趣味を持ったことはありますか?

思い返せば、僕の20代のある時期は、完全に一つの趣味に支配されていました。仕事が終わればそのままある場所へ直行し、休日になれば朝から晩までそこに入り浸る。手は油とタイヤのグリップ剤で汚れ、頭の中は常に「どうすればあと0.1秒速く走れるか」でいっぱい。

ガジェットやテクノロジーが好きで、色々なものに手を出してきた僕ですが、あの数年間の熱狂は、今振り返っても特別でした。

今回は、僕がかつて魂を燃やし、そして今も部屋の片隅で静かに眠る相棒――「RCカー(ラジコン)」という、深く、熱く、そして美しい大人の趣味の世界について、少し長くなりますが、ありったけの感情を込めて語らせてください。






① 「子供のおもちゃ」ではない。高い壁の向こうにいる真面目な大人たち

「ラジコン」と聞いて、多くの人が想像するのは、家電量販店やショッピングモールのおもちゃ売り場に並んでいる、プラスチック製のトイラジコンかもしれません。しかし、僕が足を踏み入れたのは、全く次元の違う「競技用RCカー」の世界でした。

カーボンファイバーのシャシー、削り出しのアルミパーツ、高度なプログラミングが可能なESC(アンプ)、そして精密機械のようなプロポ(送信機)。それはもはやおもちゃではなく、極限までスケールダウンされた「本物のレーシングマシン」であり、最新のテクノロジーが詰め込まれた究極のガジェットでもありました。

ここには男のロマンが詰まっている

そして、この世界への入り口には、明確な「壁」が存在します。それは、金銭的なハードルです。

初期投資として、まともに走るマシンを一式揃えるだけで、軽く10万円は飛びます。さらに、消耗品であるタイヤ、走らせるたびに劣化するバッテリー、そして何よりサーキットの走行料金。セッティングパーツを一つ変えるのにも数千円が飛んでいく。正直に言って、決してお財布に優しい趣味ではありません。

しかし、この「金銭的ハードルの高さ」が、実は素晴らしいフィルターとして機能していました。

中途半端な気持ちでは続けられないコストがかかるからこそ、サーキットに集まるのは、時間とお金をかけてでも真剣にこの遊びに向き合う、情熱を持った「まじめな大人」ばかりだったのです。

サーキットのピットエリアには、自分のマシンと真摯に向き合う大人たちの、心地よい緊張感と静かな熱気が常に漂っていました。マナーが悪く場を乱すような人は皆無で、誰もが紳士的であり、互いのマシンへのリスペクトを忘れない。そこは、真面目な大人が本気で遊ぶための、一種のサンクチュアリ(聖域)だったのです。


② 20代の若造だった僕。人生の先輩たちにめちゃくちゃ可愛がられた日々

この趣味は金銭的、そして時間的な余裕が必要になるため、必然的にサーキットの年齢層は高くなります。メイン層は40代から50代、中には還暦を過ぎても現役でプロポを握る大ベテランの方も珍しくありませんでした。

そんな中、当時まだ20代だった僕は、サーキットの中では圧倒的に「若造」であり、ある意味で珍しい存在でした。

最初は、高級車に乗ってやってくるような年上のベテラン勢の中に一人で飛び込むことに、強烈なアウェー感と緊張感がありました。

しかし、その不安は一瞬で吹き飛びました。彼らは、同じ「ラジコン」という共通の言語を持つ若者を、本当に温かく迎え入れてくれたのです。

「おっ、若いのに珍しいね。どこから来たの?」
「そのマシンの挙動なら、ここのダンパーオイルを少し柔らかくしてみ」

ピットでマシンのセッティングに悩んでいると、まるで自分のことのように親身になってアドバイスをくれるおじ様たち。

時には、「これ、俺はもう使わないから試してみなよ」と、高価なセッティングパーツをポンと譲ってくれることもありました。

レースの合間には、車の話、仕事の話、人生の話。

親子ほど歳の離れた人生の先輩たちと、ラジコンというフィルターを通して対等に語り合う時間は、20代の僕にとってかけがえのない財産になりました。

ジュースをご馳走になったり、時にはご飯に連れて行ってもらったり。

先輩たちからすれば、僕は手のかかる「サーキットの末っ子」のような存在だったのかもしれません。年齢も職業も全く違う大人たちが、フラットな関係で笑い合える。あんなに居心地の良いコミュニティは、後にも先にもラジコンのサーキットだけです。

③ タイムも順位もすべて「自分の腕次第」。孤独で熱い自分との戦い

そして、ラジコン最大の魅力。それは、コースインして操縦台に立った瞬間から、すべての結果が「自分自身のスキル」に委ねられるという、残酷なまでのフェアネス(公平性)です。

実車のモータースポーツであれば、マシンの性能差やチームの資金力が結果を大きく左右します。

しかし、ラジコンの世界では、皆が同じようなレギュレーションのモーターを積み、同じタイヤを履いています。

マシンのセッティングは重要ですが、最終的にタイムを削り出すのは、プロポを握る自分の指先の感覚、そして動体視力と集中力です。

コーナーへのアプローチ、ブレーキングのタイミング、クリッピングポイントへの正確な寄せ、そして立ち上がりでの滑らかなスロットルワーク。コンマ数秒の遅れが、あっという間に大きなタイムロスにつながります。

操縦台に立っている間は、誰の助けも借りられません。失敗すればクラッシュし、マシンは壊れる。成功すれば、自己ベストタイムとしてラップモニターに刻まれる。すべては自分の腕次第。言い訳のしようがないのです。

僕は、この「自分との戦い」に完全に魅了されました。

他人に勝つことよりも、昨日の自分、いや、1周前の自分の走りをどう超えるか。100分の1秒単位でタイムを削るために、何時間も走り込み、何十回もセッティングを変える。

思い通りのラインをトレースでき、マシンが自分の手足の延長のように感じられる「ゾーン」に入ったときの快感は、他の何物にも代えがたいものでした。それは、限りなく孤独でありながら、最高に熱狂的な自己対話の時間だったのです。

④ お金じゃ買えない速さ。毎日サーキットに通い詰めた「大人の部活」

ガジェットやテクノロジーの世界では、往々にして「最新のものを買えば、すぐにパフォーマンスが上がる」ということがあります。しかし、ラジコンは違います。

どれだけ高い最新式のプロポを買っても、どれだけ高価なハイエンドシャシーを組んでも、それだけで突然速くなる魔法など存在しません。

初心者が何十万円のマシンを走らせても、練習を積んだエキスパートが操る数万円のエントリーモデルに手も足も出ないのがラジコンの世界です。

お金をかければ速くなるわけではない。
結局のところ、「練習がすべて」なのです。

だからこそ、僕たちは狂ったようにサーキットに通いました。仕事が終われば、スーツのままサーキットへ直行し、ピットで着替えてプロポを握る。深夜の閉店時間まで走り込み、クタクタになって家に帰り、泥のように眠る。そして次の日もまたサーキットへ。

スーパーラジコン秋葉原で過ごした日々は忘れられない

そこには、まるで学生時代の「部活」のような光景が広がっていました。

「お疲れ!今日も来てるね」 「昨日のあのコーナー、どうやって抜けてるの?」

毎日のように顔を合わせる仲間たち。時にはタイムを競い合い、時にはクラッシュして壊れたパーツを笑いながら修理し合う。お互いの成長を喜び、ライバルのミスに本気で悔しがる。大人になってから、利害関係の一切ない純粋な「仲間」と、汗(と冷や汗)を流しながら切磋琢磨できる場所があるなんて、思ってもみませんでした。

タイヤの焼ける匂い、モーターの高周波音、ピットに響く笑い声。あの空間は、間違いなく僕たちにとっての「大人の部活」でした。


⑤ これから始まる「子育て」という新たなステージ。そして、いつかまたあのサーキットへ

あれから数年。僕の生活環境は大きく変わりました。 現在、愛する妻と二人暮らしを満喫していますが、その妻のお腹の中には、今、新しい命が宿っています。

これから僕の人生には、「子育て」という、ラジコン以上に予測不能で、手探りで、しかし何よりも尊い、人生最大のプロジェクトが待ち受けています。

ラジコンという趣味は、時間とお金を猛烈に消費します。週末を丸一日サーキットで過ごし、夜な夜なマシンのメンテナンスに没頭するような生活は、これから始まる家族3人の生活には、とてもじゃありませんがフィットしません。

今の僕にとって一番大切なのは、妻を支え、無事に生まれてくる子供を迎える準備をすること。だから、ラジコンはしばらく「お休み」です。すぐにあの熱狂のサーキットへ復帰することは難しいでしょう。

でも、寂しさはありません。これは「卒業」ではなく、あくまで「休部」だからです。

子供が大きくなり、いつか少しだけ僕の手に余裕ができたとき。その時、もし子供が車やメカに興味を持ってくれたなら、今度はかつて僕が先輩たちにしてもらったように、一番身近な先輩として、この素晴らしい世界を教えてあげたい。

プロポの握り方も、コーナーの抜け方も、そして「お金じゃ買えない、練習して努力することの楽しさ」も。

それまでは、この素晴らしい「大人の趣味」が教えてくれた集中力や、仲間との絆、そして何より、一つのことに本気で向き合う情熱を胸に、まずは目の前に迫った「父親」という新しい役割に、全力で挑んでいこうと思います。

数年間、僕の青春(の延長戦)を彩ってくれたラジコン。そして、サーキットで出会ったすべての仲間たち。 本当にありがとう。

いつか必ず、またあの操縦台に立ちます。その日を楽しみにしながら、今日という日を大切に生きていきます。

もし今日の話で少しでも興味をもったらYoutubeでラジコンのことを調べてみてください。
きっと楽しい景色が広がっています。

ラジコンは本当に僕の青春でした。

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