外為特会の基礎⑲:なぜ介入権を政府(財務省)が持っているのか
今回も外為特会のメモですが、今回はなぜ日本政府(MOF)が介入の権利を持っているかという点です。
今回は、今後大幅に修正することを前提に、メモとして記載しておきます。まず、為替介入の権限が政府なのか、あるいは、中央銀行なのか、という観点では、各国で異なります。例えば、白川さんの「現代の金融政策」をみると下記のような記載があります。
主要国の為替市場介入について法的枠組みをみると(BOX参照)、米国では財務省(外国為替安定基金<The Exchange Stabilization Fund:ESF>とFRBが権限をもっており、現実的にも大半のケースにおいては両方が折半で介入している。実際の介入業務はFRBと財務省の両方の代理人であるニューヨーク連銀が行っている。ユーロエリアでは欧州中央銀行が介入権限を有している。英国では大蔵省が介入権限を有している。日本については、英国と同様、政府(財務省)が介入権限を有している(p.286)。
白川さんの書籍をみると、政府が単独で持っているという国は英国などはあるものの、それほど多いとはいえないことがわかります。日本がこのようになっている理由は私の勝手な予測では、そもそも日本の財務省は他国より権限が広い(一方、日銀は他国の中央銀行より権限が弱い)ということを表しています。
歴史的には、ブレトンウッズ体制により固定相場制(1ドル=360円)になるタイミングで、為替の平衡操作(いわゆる介入)が必要になり、その権限が日本政府(つまり、当時の大蔵省に与えられた)ということになります。このあたりの経緯は河上(2016)の冒頭に若干かいてあります。
現在の外国為替資金特別会計の前身である外国為替資金が当時の貿易特別会計に設けられたのは昭和24年5月であるが、この外国為替資金の運営を担ったのは政府の機関である総理府に設置された外国為替管理委員会であり、それ以来日本では政府が外国為替の売買という仕事を担ってきた(p.24)。
河上(2016)では、大蔵省の不祥事をうけて日銀法が改正される中で、外国為替市場における為替介入の権限が日銀の権限なのか、大蔵省の権限なのか、という議論がなされていたと指摘しています。
一方、山脇(1998)をみると、当時の日銀法改正時点では、日銀自身が為替介入の権利をもとめなかった、と整理されています。具体的には、p.226あたりに記載されていますが、そこでは、大蔵省の財務官であった大場氏がプラザ合意の経験により、政府により協調して介入することの重要性をかたり、また、そのプレゼンがうまかったこともあり、為替介入の権限は大蔵省が維持すべき、という方向に議論に傾いていったとしています。当時は、為替介入の権限というより、物価の安定に日銀の理念を絞るべきだ、という形で議論がなされた、と紹介されています。
今回はこれくらいにしますが、このあたりの経緯について個人的にはもう少し深堀してみたいと感じています。確かに介入という性質を考えると、各国間の交渉が重要ともいえ、日本政府が持っていたほうが良いという意見も一定程度合理性があるとも感じました。実際、最近レートチェックが日米で協調してなされた報道があり、その効果は大きいという意見もでています。
「日米連携」レートチェック、意表つかれた市場 協調介入には高い壁 - 日本経済新聞
上記は備忘録も踏まえたメモですが、必要に応じて加筆・修正します。
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