為替介入は一般会計の財源になりうるか

しばしば為替介入を実施したことが一般会計の財源になるという議論がありますが、この点はミスリーディングだと認識しています。

この図はしばしば引用するのですが、下記のように円買い介入を実施した場合は、政府短期証券(FB)の償還にほぼあてられます。

この点については、元理財局長の齋藤通雄氏が解説しています。

この点については片山大臣も国会答弁で明確に答えており、政府の公式見解です。これが一番正確です。

松田学君 なかなか、最近は積極財政という言葉を言うとマーケットの反応がやっぱり恐れているのかなという感じがして、なかなか踏み込んだ発言、最近余り見えないんですが、国債マーケットの制約のない形で、いわゆる量的な意味での積極財政ということでは幾つかの提案もなされているところですが、例えば、最近の円安による為替特会、外国為替特別会計の実現益ですね、特に最近では大規模介入によって実現した為替の評価益が実現したと、これを活用すべきであるという提案もあったり、あるいは政府が保有する資産を政府系、日本版政府系ファンドとして統合運用をしてその収益を活用するといった提案がなされていますが、最後に、この点についての実現見通しについてコメントいただければと思います。

国務大臣(片山さつき君) 委員御承知だと思いますけれども、外為特会の収益の活用については、介入については私どもお答えをしておりませんので、一般論として申し上げますと、介入で得た円貨というのは償還期限を迎える政府短期証券の償還に充てるということが法令上決まっておりまして、これを財源として活用するということはできない法令上の仕組みになっております。
 その外為特会につきましては、法令にのっとって、為替介入に伴う為替等の売却額が前々月の実勢レートに基づく当該外国為替等の評価額を超えた場合にはそれを売却益として計上するということが、これもルールとして決まっておりますので、一部報道にございますように、過去の円売り外貨買い介入時の為替水準との差で売却益が計算されるのではなくて、今私が申し上げたように、前々月の実勢レートということの、その超えた部分がなるだけでございますから、今巷間言われているようなことにはならないんですが、いずれにしても、その今決まっている方式で売却益が発生した場合にはこの外為特会の決算剰余金に含まれることとなりますが、この決算剰余金につきましては、外為特会で留保する部分を除いて既に一般会計に繰り入れ、防衛財源などにも活用しているというような形で使われているということでございます。

第221回国会 参議院 財政金融委員会 第9号 第221回国会 参議院 財政金融委員会 第9号 令和8年5月26日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム

上記の発言のように、「前々月の実勢レート」をベースにしているため売却益は出ますが、その金額は小さいため、「介入で得た円貨というのは償還期限を迎える政府短期証券の償還に充てるということが法令上決まっておりまして、これを財源として活用するということはできない」と最初に言及しているのだと理解しています。私個人は、現行制度では、一部で言及されるような大きな評価益が一般会計に入れられるわけではないので(しかも、原則的には、決算剰余金に含まれる額の7割のみが一般会計に計上されます。その理由は、「為替介入とは何か」の5章を参照(ただし全額くりいれられることもありえます))、財源としては使えないというメッセージで違和感はありません。

同じ発言は、内閣官房長官も記者会見で言及しています。
令和8年5月18日(月)午後 | 内閣官房長官記者会見 | 首相官邸

一方、とはいえ、外為特会と政府短期証券(FB)についてはテクニカルであり、理解しにくいということはあります。下記の書籍の9章では、FBが公募になる歴史から記載しているので、ぜひご一読いただければと思います(今週の木曜日くらいには書店にならぶと思います)。また、特別会計についても1章さいて説明したため、5章もぜひご一読いただければ幸いです(読者が文部科学省の役人になって概算要求をするという事例を用いた説明になっているため、他の書籍にない読了感が得られると思います)。

国債そのものの理解については下記を参照してください。


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