外為特会の基礎㉗:国際協力銀行(JBIC)向け融資に関するこれまでの流れ

外為特会は、国際協力銀行(JBIC)へ外貨を貸し出しています。これは歴史的には、輸銀時代に貸出を実施したことがあるなかで、2008年の金融危機時に、外為特会によるJBICへの融資が再開したという歴史になります。

今回は、2008年以降の流れをごく簡単に振り返ります。まず、下記が外貨準備統計になりますが、この統計から外為特会によるJBICの貸し出し額がわかります。具体的には下記のとおり、注記に記載しています。日銀はJBICに外貨を貸していないと考えられるので、これは外為特会による貸し出しです。

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/official_reserve_assets/data/0802.html


この統計に基づいた、外為特会によるJBICへの貸し出しの推移は下記の通りです。

これをみると、

①2009年頭に貸し出しがスタートして、その後、上昇する
②2012年からさらに上昇する
③2016年にピークアウトしてその後減少

という流れであることがわかります。

まず、①については金融危機時において国内外の事業のひっ迫したことから、外為特会がJBICへの外貨貸出の再開に踏み切るものです。このころについてあまりウェブ上の情報が得られないのですが、例えば、下記の記事があります。大切な点は、当時は一時的な異例な措置と整理されている点です(下記の記事では大臣から「外貨資金の調達市場が厳しいことを踏まえ、臨時・異例の措置として 外為特会から外貨資金を貸し付ける」とのコメントが紹介されています)。

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2009-03-03/KFWT5N0UQVI901

2008年の経緯についてもう少し記載したいのですが、現時点で調べ切れておらず、今後加筆します。ちなみに、Bloombergの記事で、「途上国銀行資本増強ファンド」が取り上げられていますが、これは神田前財務官の本で、そのころの経緯について詳細に記載されています(これはJBICと世銀グループの国際金融公社(IFC)が協力したものであり、JBICは外為特会による外貨調達をしていると思うのですが、その点についてはまだ十分に調べられていません)。

次に、②のフェーズですが、震災を受けて、急速に円高が進んだことによる対応であり、これは「円高対応緊急ファシリティー」と呼ばれているものです。政府が作ったポンチ絵は下記の通りですが、これをみると、「外為特会のドル資金を、国際協力銀行(JBIC)を経由して活用」と記載されており、これにより、②のフェーズでJBIC向けの(外為特会による)貸し出しがふえていくということになります。

https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2011/1125_3-4_zaimu.pdf

この「円高対応緊急ファシリティー」についても、時限的な措置でしたが、それが2013年に「海外展開支援融資ファシリティ」という形で、発展します。

https://warp.ndl.go.jp/web/20150401101012/www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/proceedings/material/zaitoa251106/1-2.pdf

私の理解では、このあたりで、時限的な措置であったものが徐々にJBICに貸し出していくということが常態化していきます。2009年については金融危機、2011年は震災という整理がつきますが、2013年については「2013年3月末を以って終了した『円高対応緊急ファシリティ』では、民間金融機関のネットワークと、外為特会を原資とする潤沢な米ドル資金のシナジーにより、M&A支援等で大きな実績。同ファシリティを発展・改組した「海外展開支援融資ファシリティ」を2013年4月より創設」といったふわっとした説明になります。

次に、③の減少フェーズですが、「海外展開支援融資ファシリティ」が2016 年までの時限措置だったということで、2016年にJBICへの外為特会の貸し出しがピークを迎えます。

その後、下記のように、このファシリティを更新していきますが、コロナ禍で若干上昇するものの、徐々に残高が減少していくという流れになります。
「海外展開支援融資ファシリティ」の更新について | JBIC 国際協力銀行

コロナ禍において、外為特会がJBICへのドル貸し出しを強化した点は下記のように報道が出ています。

国際協力銀行(JBIC)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業の海外事業を支援するため、米ドル融資に乗り出す。政府の外国為替資金特別会計を活用し、通常に比べ低い金利を設定。2020年度は約1兆円分を融資する計画だ。日本企業の間ではドル確保のニーズは強く、JBICは製造業を中心にグローバル展開する大企業、中小企業を幅広く支援する。

国際協力銀、ドルで1兆円の低利融資枠 コロナ対応で供給、企業の海外事業を支援 - 日本経済新聞

今後、目玉としてトランプ関税に対応するために、外為特会が資金をだすということで、2026年以降も減少していくかはわかりませんが、直近までの大きな流れはこのようなものかなと感じています。

もしかしたら、重要な政策が抜けている部分もあるかもしれませんが、必要に応じて加筆・修正します(もし修正点や加筆すべき点があればコメント欄でご指摘ください)。

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