外為特会の基礎㉘:通貨スワップの条件はどのように決まるか

今回は、外為特会が実施する通貨スワップのメモです。チェンマイ・イニシアティブや、バイラテラルで、外為特会を通じた通貨スワップのスキームがあります。そのキャッシュフローについて備忘録的にメモを記載しておきます。

まず、外為特会が実施する、通貨スワップについては、現在、1ドル30バーツであるとすると、当初、外為特会が1ドルを、例えば、タイに渡して、タイから30バーツを受け取ります。

1年間の契約であれば、1年後に、金利の受払をするとともに、1ドルをタイ政府から外為特会が返してもらい、外為特会がタイに30バーツを返します。このように、当初と満期で、スポットの取引をすることから、通貨スワップと呼ばれます(この商品性は「日本国債入門」の12章をみてください)。

このように、当初と満期で、スポットレートで取引する商品性になっていることはウェブサイトで記載されています。

チェンマイ・イニシアティブの枠組みの下で締結された通貨スワップ協定において、要請国は自国通貨を用いて供与国から交換可能な通貨を購入し、あらかじめ定められた時点において、購入取引時に適用された為替レートで、以前に購入したその交換可能な通貨を用いて自国通貨を買い戻す。

The Central Banks of China and Korea Signed Currency Swap Agreement

一方、期中の金利はというと、「SOFR+〇〇bps」という形で、SOFRにスプレッドを乗せることで調整されると理解しています。この〇〇bpsがどれくらいになるかで、この通貨スワップがドルの出し手にとってどれくらいのコストになるかが決まるというわけです。この点については下記の論文で記載されています(ソースはAMROとのこと。もっとも、現在は古くなっている可能性にも注意してください。以前は、LIBOR+150bpsだったようです)。

金利および手数料:CMIMスワップの金利は、6ヶ月物担保付翌日物金利(SOFR)に150ベーシスポイント(bps)の初期プレミアムを加算した利率が適用されます。更新ごとにプレミアムに50bpsが加算され、プレミアムの最大上限は300bpsとなります

CMIMのスワップ借入金利の算定式には、基準金利とプレミアムが含まれている。AMROの情報源によると、現在の基準金利は6ヶ月物の担保付翌日物金利(Secured Overnight Financing Rate)に0.428%のスプレッド調整を加えたものであり、ベトナム国家銀行(SBV)はこの基準金利を単に「6ヶ月物F-SOFR」または「フォワード・ルッキングSOFR」と呼んでいる(SBV 2022)。この基準金利に加え、CMIMは150ベーシスポイント(bp)の初期プレミアムを課しており、更新ごとに50bpずつ増加する。プレミアムの最大値は300bpに上限が設けられている。2022年3月以前は、CMIMはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を基準金利としており、同様のプレミアムが150bpから始まり、180日ごとに50bpずつ増加し、最大300bpまで上昇する仕組みであった(Ciorciari 2011; SBV 2022)。CMIMはこの金利の慣行をCMIのBSA(銀行支援協定)から借用したものである。Ciorciariは、CMIのスワップに設定された比較的高い金利は、「CMIが安易な資金供給の手段にはならないという、貸し手や西側のオブザーバーに対するシグナル」であったと説明している(Ciorciari 2011, 931)。p.143をAIで翻訳

"ASEAN + 3: The Chiang Mai Initiative" by Benjamin Hoffner

AMROから出ているワーキングペーパーについてもLIBOR時代のものは記載があります。

当初の借入金利および満期から90日後の最初の更新時の金利は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に150ベーシスポイント(bps)を上乗せした水準に設定された。その後、追加の更新時には期間に応じた金利が適用され、具体的には2回の更新につき50bpsが加算され、上限は300bpsとされた。

The-CMI-and-CMIM-by-Beomhee-Han.pdf


もっとも、チェンマイ・イニシアティブはいまだに発動されたことがないという意味で、この値はこれまで実際の経済活動に現れたことがありません。

一方、これまで実施したことがある通貨スワップとしては、中央銀行が金融危機時に実施したスワップがあります。これについては公表されており、中銀のスワップの場合、OISをベースにしているようですね。事前に、OIS+25bpsと決めておいて、その時のOISを見て決める、という方法です。

2020年3月15日の週、オフショア・ドル資金市場が逼迫したことを受け、カナダ銀行、イングランド銀行、日本銀行、欧州中央銀行、およびスイス国立銀行との既存のスワップ協定が改定された。具体的には、スワップ手数料が米ドルオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)レートに50ベーシスポイントを加算した水準から、OISレートに25ベーシスポイントを加算した水準へと引き下げられ、7日物オペの実施頻度が週1回から毎日へと増加し、さらに84日物のスワップが提供されるようになった。

The Fed - Recent Developments

中銀の場合は、下記のようにプレスリリースに記載があるということだとおもいます。
FRB: CLBS Report, Monetary Policy Tools, November 2012

外為特会のドルの貸し出しをみると、「通貨スワップ」と「為替スワップ」という表現が混在していますが、基本的に、マーケットで使われているように、期中で金利を受払するスキームは通貨スワップ、金利差をフォワード価格に反映して取引するものは為替スワップと表現しているのだと理解しました。このあたりも以外と書いていないことだとおもいます。

今回は簡単なメモになりますが、必要に応じて加筆・修正します。これまで記載した外為特会のメモは下記より読めます。


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