外為特会の基礎㉔:特別会計における剰余金と一般会計繰入ケーススタディ

今回あらためて特別会計に関する書籍を読んでみたのですが、私の印象としては、意外と多くの書籍では、まず剰余金について特別、定義をせずに使っているという印象でした。

今回は剰余金をきちんと定義したうえで、それが一般会計にどのように繰り入れられているかをみてみましょう。まず、特別会計における剰余金とは、特別会計の歳入と歳出の差額という定義です。下記が「特別会計ガイドブック」における外為特会の説明ですが、外為特会の場合、特会が得る歳入と歳出の差額です。

これは利益に近い概念であることから、上記では「毎年度の利益(決算上剰余金)」としています。特別会計ガイドブックでもこのような表現を使ているのですから、私の理解では、ひとまず「利益≒剰余金」と言い換えてもよいとおもいます。

剰余金の一般会計繰入に関する3つの可能性

以下ではどのように剰余金を一般会計に繰り入れるかについて議論をしていきますが、河上(2016)によれば3つの可能性があるとします。例えば、直近の予算、すなわち、昨年12月に成立した、2026年度の一般会計に剰余金を繰り入れるということを考えてみましょう。

①まず、素朴に考えると、来年度(2026年度)の剰余金を見込んで、その7割を入れるという方法です。「はじめての日本国債」の7章をみてもらいたいのですが、実際の予算では、来年度の国債発行額をきめるうえで、来年度の税収を予測して、歳出との乖離を計算し、発行額を決めています。それと同じ方法をとるというものです(税収は予測であるがゆえ、実際の税収とは乖離が生まれる点に注意してください)。

②二つ目は、一般会計に入れるなら、昨年度(ここでは2025年度)、運用して実際に稼いだ利益(剰余金)の7割を入れましょう、というものです。予算全体のプロセスになれていると①は自然ですが、素朴に考えると、②も自然に思われます。

この場合、来年度(ここでは2026年度)の予算の与党案が2025年12月に決定されるということがポイントになります。これも「はじめての日本国債」の7章で書きましたが、与党の予算案の閣議決定は12月末に通常なされるので、「昨年度(2025年度)、運用して実際に稼いだ利益」、すなわち、この場合、2025年度の利益(剰余金)といっても、まだ12月時点では確定していないというわけです(あと残り3か月残っているわけです)。そこで、一案としては2024年度の利益を、積み立てておくなり、2025年度の(外為特会の)歳入に入れるなりして、その7割を一般会計に入れようというアイデアが考えられます。

③三つ目は、そうではなくて、2025年度の利益(剰余金)について、3か月はまだ確定していませんが、その3か月分については予測して、2025年度の利益(剰余金)の7割を一般会計にいれましょう、というものです。これは①と②の折衷案ともいえるものです。河上(2016)は選択としてこの①から③のどれも選択肢としてあり得ると議論していますが、結論をいえば、この③が用いられています。

ちなみに、下記の動画で財務省が③のような形で繰り入れていると説明しています(45分前後です。ただし、これは7割ルールの前の世界ですが)。

実際の事例
上記を前提に、ここから実際の例をみてみましょう。まず、財務省が公表している「令和7 年度特別会計予算」をみると、外為特会のBSとPLの詳細について記載されています。一般会計への繰り入れは、前述のとおり、利益に相当するため、損益計算書(PL)をみます。

下記がその具体例ですが、先ほどのように、2025度(令和6年度)の予測を用いるので、下記の図表をみると、歳入が右(利益)、歳出が左(損失)が記載されており、4.5兆円の利益が予定額として計上されています(ここでは剰余金ではなくて、利益と記載されています。利益とは、プラスの利益とマイナスの損失を比較して、利益が損失を上回った場合の用語として使われるような書きぶりです。一方、剰余金とは歳入と歳出の差額でした)。

https://www.bb.mof.go.jp/server/2025_teishutsu/dlpdf/DL202512001.pdf

この4.5兆円が剰余金に相当するため、この7割(4.5兆円×0.7)である3.2兆円が一般会計への繰り入れということになります。この3.2兆円という金額についてはBSの注記に記載されています。

https://www.bb.mof.go.jp/server/2025_teishutsu/dlpdf/DL202512001.pdf

令和6年度において生ずる決算上の剰余4,572,498,571,343円については、「特別会計に関する法律」第80条の規定により1,371,749,571,343円を外国為替資金に組み入れ、残額 3,200,749,000,000円を同法第8条第2項の規定により令和7年度の一般会計の歳入に繰り入れることとしている。

この3.2兆円はさまざまなところに記載されています(例えば下記の通り)。

https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/budget/fy2025/sankoutokkaibetu2025.pdf

今回は以上になりますが、必要に応じて加筆・修正します。次回は、上記に鑑み、今はなくなった、積立金の処理について議論する予定です。なお、これまでの内容は下記にまとめていますので、こちらをご参照ください。


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