短期国債(TDB)の金利が低く推移していることのメモ

短期国債(TDB)の金利が低く推移していることについてたびたび話題になっています。そのことについて簡単にメモを記載しておきます。

まず、直近(2/7)の6か月の短期国債の金利は0.3756%で決まっています。利上げがなされてTONAが0.48%弱であることを考えるとかなり乖離があることがわかります。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20250206.htm


一方、財務省による借入金の金利がどうきまっているかというと、(先ほど紹介したTDBと同じ年限である)6か月の借り入れで0.585%であり、上記と20bpsくらい開きがあります。

https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/kariire/kari-result250204.htm

Bloombergには、TDBのティッカーがあり、6か月だと、GJGB6MOがティッカーになります(3か月だと、GJGB3MO)。TONAと比較すると(下記の黄色のラインがTONA)、下記の通りで直近利上げがなされる中、むしろ金利が低下していることが分かります。

下記が、3か月と6か月のTDBの推移です。


TDBがTONAや借入の金利より低く推移しており、一物一価の法則がくずれてしまっているようにおもいますが、取引主体の違いで説明される傾向があります。財務省の借り入れは、財務省の入札に参加可能な国内の銀行中心の市場ともいえます。また、単純に短期の資金運用ニーズで決まるマーケットともいえます。担保としての使いにくさも指摘されます。

ちなみに、財務省の「借入金等に係る入札参加者一覧」は下記の通りです。
借入金等に係る入札参加者一覧 : 財務省

一方、短期国債の場合は、純粋な短期の資金運用ニーズに加え、①担保が欲しいという担保ニーズがあることに加え、②ドルを保有している外国人投資家からベーシスの観点で購入する需要があります。イメージとしては、2年債くらいまでは担保玉としての需要が常に一定程度あり、3か月くらいまでは海外の需要が加わるというイメージでしょうか。短期国債の場合、すぐに償還を迎えるので常に需要があるともいえます。

さらに、特に、短期国債の場合、共通担保オペの効果も指摘されていました。ちょうど2年前くらいに、長めの共通担保オペが打たれて、このオペが満期を迎えることなどで、需給が緩んできているという話題もあるようです。
日銀、異例の2年資金供給 国債利回りの低下狙う - 日本経済新聞

なお、財務省がなぜ債券発行だけでなく、ローンをやっているかということは下記で議論しています。該当部分を引用しておきますが、下記の対談を参照していただければ幸いです。
齋藤通雄氏に聞く、日本国債市場の制度改正と歴史(後編)|服部孝洋(東京大学)

そもそも会計によって、債券形態で 資金調達できるところと、借入金や一時借入金としてしか調達できない会計と両方あるんですよ。というより、国債が出せる特会はむしろ限られています。色々な特会に国債発行を認めてしまうと、債券の方が流動性が高くて資金調達がやりやすいので、特会の方で野放図に資金調達をするということになりかねません。なので、財政制度的に、国債を出せる特会がものすごく厳格に縛られているんです。財政投融資のための国債、東日本大震災の復興債、今度で言えば脱炭素のためのGX債など、特会で国債を出せるところは非常に限られていて、それ以外の特会は借入金はできても、 債券は出せないです。

そのあたりになってくると、借入金規定は様々で、この特別会計は借入してもいいとか、あるいは借入金規定がそもそもない特会だってもちろんあるわけです。借入金の入札は国債課がやりますけど、ある特会に借入金規定を設けるのかどうか、なぜこの特会に借入金規定があって、こちらにはないのか、といった制度を作っているのは主計局なんです。その主計局で作った制度に基づいて、国債課は淡々と「この特別会計は借入金ができることになっていて、これだけ借りないといけないね」という感じで、資金調達の手続きは借入金があるのですか、と聞いてもおそらく答えられないですね。「それは財政制度なので主計局に聞いてください」となるだけでしょう。

齋藤通雄氏に聞く、日本国債市場の制度改正と歴史(後編)|服部孝洋(東京大学)

今回は簡単な備忘録ですが、必要に応じて加筆修正します。今年はメモ的に短期の話題を増やしていこうと思います。

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